11 全体が毛深い、フラサバソウの花 別名:ツタバイヌノフグリ
所在地 板橋区高島平三丁目1 都立赤塚公園
科.属など ゴマノハグサ科のクワガタソウ属 二年草
見どころ  オオイヌノフグリ、イヌノフグリなどと同じ仲間です。直径5ミリほどの淡青紫色の花を1個つけます。花期は4〜5月。大抵の花の和名は漢字で書きますが、フラサバソウは和名なのに書けません。この花は日本で最初に発見したのはフランスのフランシェとサヴァチェという植物学者でした。ところがその後、見つからなかったので、日本にはないと思われていました。しかし日本の植物学者が発見して、最初の発見が間違いでなかったことを証明し、名前をつけるときにそのフランスの植物学者の名前、フランシェの「フラ」とサヴァチェの「サヴァ」をとって「フラサバソウ」と名前がつけられました。
 
 日本には江戸時代に入ってきた帰化植物です。葉から茎から萼にいたるまで、長い毛が生えています。葉の形は特徴のある切れこみがあるので、はじめて見てもすぐにフラサバソウとわかります。「オオイヌノフグリ」に似ていて、ずいぶん毛深い感じだなと思って写真を撮ったのですが、調べてみたら、いままでに聞いたことのない花名でしたので驚きました。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.7
03 花がヤマブキに似ている、ヤマブキソウ(山吹草)の若葉と花


調布市野草園
2012.4.10 撮影者:石川佐智子

八王子市片倉町 片倉城址公園   
撮影日2012.4.25 八城幸子撮影
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城跡公園
科.属など ケシ科 クサノオウ属 多年草
見どころ  

          ヤマブキソウの大群落
   八王子市片倉町 片倉城址公園   撮影日2012.4.25

片倉城址公園のカタクリが終わるとヤマブキソウが素晴らしいと聞いていたので、いつ咲くのか心待ちにしていました。谷の斜面一面に咲き誇る様子は、まるで黄色いジュウタンを敷き詰めたような美しさで、息をのむほどです」八城幸子
 和名は黄色い花の色がヤマブキに似ることによりますが、ヤマブキの花弁は5枚で、ヤマブキソウの花弁は4枚です。片倉城跡公園は毎年「カタクリの花」が終わった頃、一面黄色いジュウタンのように咲き誇るそうですが、今年は「カタクリ」も遅かったので、まだ若葉だけでした。花が咲くのが待ち遠しいですね。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.6
07 清楚な感じの十字型の花、ユリワサビ(百合山葵)の花
所在地 東京都町田市東玉川学園3-3165 昭和薬科大学薬用植物園内
科.属など アブラナ科ワサビ属 多年草
見どころ  地下の根茎はワサビより細く短い。根出葉は下部がふくらんだ長い柄をもち、卵状腎形で基部は心形となります。葉の長さ幅は2〜5センチ、縁は波状の鋸歯です。茎は細く、数本が伸び、長さ13〜15センチになり、横に伏します。茎につく葉は有柄、小型で互生します。花期は通常3〜5月に小さな白い花を咲かせます。なお、食用にもなり、早春莢がつき先にまだ花が残っている頃、葉や花茎を湯通ししておひたしやあえものに、また刺身のつまにも細かく刻んで薬味などにしても美味しいです。和名は根茎がユリ根のようであることから名付けられました。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.7
12 日本最古の染色に用いた植物、ヤマアイ(山藍)の花
所在地 東京都板橋区赤塚5-17-14 区立赤塚植物園
科.属など トウダイグサ科ヤマアイ属 多年生草本
見どころ  山地の林内に群生します。深い緑色が印象的な植物です。雌雄異株で、4〜5月に花火のような緑白色の花を咲かせます。トウダイグサ科なのに、杯状花序ではなく、また茎を切っても乳液を出さないという変わり者です。つぼみの時は萼全体が球形をしていて、花が開くと3裂します。雄しべは15〜20本あり、花床の中心に束生しています。雄花は、高い位置にあり多量の花粉を出します。現在の藍染めが渡来するまでは、日本における最古の染色に用いた植物でした。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.5
17 力強さを感じさせます、ラショウモンカズラ(羅生門葛)の花
所在地 東京都港区白金台5-21-5  国立科学博物館付属 自然教育園内
科.属など シソ科ラショウモンカズラ属 多年草
見どころ

ラショウモンカズラ複数の株
2012.4.21 星薬科大学薬草園
岩田忠利撮影
 茎は直立して高さは15〜30センチくらいで、葉は対生し、2〜3センチの葉柄があり、卵円形で先は鈍く尖り、鈍鋸歯があります。花期は4〜6月で、花冠の長さは4〜5センチであり唇形の鮮やかな紫色の花を、2〜3個のまとまりになって数段につけます。名の由来は花を横から見た姿が、その昔、渡辺綱(頼光)の切り落とした鬼女の腕を連想させることから、切った場所の羅生門に因んで付いたそうです。
 
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.8

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2012.4.07〜4.11 掲載20種

01 耳たぶ状に張り出している、ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)の花
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城跡公園
科.属など サトイモ科 テンナンショウ属 多年草
見どころ  本州、四国の山野の林内に生える多年草です。この仲間は区別が難しいのですが、仏炎苞と称する部分の口辺部が耳たぶ状に張り出しているので区別しやすい。よく似たマムシグサと比べると、仏炎苞の口辺部が耳状に大きく開出しています。この形態的特徴がミミガタテンナンショウの名の由来となっています。
 ※サトイモ科の仲間、ムサシアブミ(武蔵鐙)の実と花茎の芽吹きが4ページbPに、ウラシマソウ(浦島草)の花が7ページ36に載っています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.6
05 ラッパ状の花、エンゴサク(延胡索)の花
所在地 東京都町田市東玉川学園3-3165 昭和薬科大学薬用植物園内
科.属など ケマンソウ科コリダリス属 落葉多年草
見どころ  中国原産で享保年間に日本に薬草として伝えられます。草丈は20センチほどで葉は長楕円形、紫色の筒状の花を咲かせます。薬用としては根を乾燥させたものを使います。血の巡りを良くして、気分を爽快にする作用があります。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.7
10 石垣の隙間などに生えるツル植物、ツタバウンラン(蔦葉海蘭)の花 
所在地 横浜市港北区綱島西4丁目 道路脇植え込みの中  
科.属など ゴマノハグサ科ツタバウンラン属
見どころ

ツタバウンランの群生
同じ場所  2012.4.25
 別名はツタガラクサ。ヨーロッパ地中海沿岸地方原産。日本には、大正元年に観賞用として渡来したそうです。葉っぱは手のひらを広げたような形で、ツルでどんどん伸び、20〜30センチになります。道のコンクリートの隙間からも芽を出していました。葉柄の脇から花茎を伸ばし先端に紅紫色の花をつけます。花は唇形で径10ミリ、上唇は2裂し先端は丸く、下唇は浅く3裂し、中央には黄色で2本の隆起物があります。花期は6〜8月です。
 
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.6
15 疲労回復や風邪に効く、ネギ(葱)その花
所在地 横浜市港北区箕輪町2丁目 畑
科.属など ユリ科ネギ属 多年草
見どころ  原産地は中国西部・中央アジアとする植物で日本には中国、韓国経由で10世紀以前には渡来していました。ネギは昔からビタミンB1を多く含み、疲労回復や風邪に効くことで知られています。しかも胃を刺激して消化液の分泌を促すので、食欲を増進させます。さらに生で食べると発汗作用があります。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4..22
16 絶滅危惧種に指定されている貴重な植物、ノウルシ(野漆)の花
所在地 東京都港区白金台5-21-5  国立科学博物館付属 自然教育園内
科.属など トウダイグサ科トウダイグサ属 多年草
見どころ  

ノウルシ花の群生
 ノウルシは海岸や川辺の草地に生える多年生の早春植物です。比較的まれな植物であり、絶滅が心配される植物のひとつです。高さ40〜50センチになる多年草。葉は長楕円形〜披針形で互生し、裏面に白い軟毛があります。茎の先には5枚の葉を輪生し、それぞれの葉腋から杯状花序をつけます。花序の下に黄色い苞葉があり、遠目にはそれが花のように見えます。傷をつけると乳液が出て、それが肌につくとウルシと同じようにかぶれることからこの名が付けられました。絶滅危惧U類(VU)に指定されています。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.8
02 小柄な草で、早春に花が咲く、セントウソウ(仙洞草)の花
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城跡公園
科.属など セリ科セントウソウ属 多年草
見どころ  別名はオウレンダマシ。低地〜山地の林内に生える多年草で、北海道から九州まで分布する、日本固有種です。「セントウ」の由来には諸説ありますが、人里離れた仙人の住まいを「仙洞」といい、そのような所に自生しているという意味と、他の花々に先駆けて咲くことから、「先頭」をきって咲くという説もあるようです。別名:オウレンダマシといい、これはオウレンに似ていることによります。
 ※セリバオウレン(芹葉黄連)の花が9ページ13に載っています。 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.6
06 雑草とは思えない、キランソウ(金瘡小草)の花と群生

撮影:石川佐智子
所在地 東京都町田市東玉川学園3-3165 昭和薬科大学薬用植物園/東京都千代田区皇居東御苑
科.属など シソ科キランソウ属 多年草
見どころ  

キランソウの群生
皇居東御苑 北澤美代子撮影
 別名は地獄の釜の蓋、弘法草。地面に平たく這い蹲ったような植物で、葉をロゼット上に出し、匍匐枝を横に伸ばします。全体に細毛があります。茎葉は対生、形は長楕円形の倒披針形をしています。葉縁は波状、葉の裏側は紫色をしています。陽春になると数本の茎をのばして節ごとに、濃紫色の唇形の花を数個ずつつけるようになります。弘法大師が、この草が薬になることを教えたから、コウボウソウ(弘法草)とも言われています。

 煎じた汁は風邪薬や高血圧の薬になります。地獄の釜の蓋は 薬効があるため、「地獄へ行く釜にふたをするほどの効き目がある」ことで名づけられたとも言われています。(石川佐智子)
撮影者 石川佐智子/北澤美代子 撮影日 石川 2012.4.7
北澤 2012.4.7
20 若葉と地下にできた鱗茎(球根)を食用にする、ノビル(野蒜)
所在地 横浜市港北区大曾根 鶴見川の土手
科.属など ネギ科ネギ属の多年草
見どころ
 葉は細長く30〜50センチほど伸び、葉の断面は三日月形で中は空洞になっています。鱗茎は白い球状で、直径1〜2センチほどに。5〜6月頃になると花茎を伸ばし、先端に花をつけます。ネギとニンニクの間のおいしさが魅力です。今はあまり食べなくなりましたが、以前は畑の隅の雑草の中からノビルを摘んで、膨らんだ白い部分(種球)を細かく刻み、味噌に入れてネギ味噌にして食べ た記憶があります。

ノビルの花(左)と根(上)
港北区樽町の鶴見川岸 
 2012.6.4 撮影
 
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.10
04 花と葉を別々に出す、キツネノカミソリ(狐の剃刀)の葉

4月のキツネノカミソリ茎葉
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城跡公園
科.属など ヒガンバナ科 ヒガンバナ属の多年草
見どころ
早春のまだ他の草が生えていないうちに、狭長の葉を球根から直接出して球根を太らせ、多くの草が生い茂る夏頃には一旦葉を落とします。8月なかば前後、花茎を 30〜50cm ほど伸ばし、先端で枝分かれした先にいくつかの花を咲かせます。葉の形、花と葉を別々に出すところ、および有毒植物である点などではヒガンバナと共通しますが、花の形、葉と花を出す時季は異なります。名前の由来は葉の形がカミソリに似ているところから、オレンジ色の花がキツネの体色をイメージさせるところからきています。

キツネノカミソリの花

上のNO.3のヤマブキソウの後にキツネノカミソリが群生し、谷がオレンジ色に染まります
片倉城址公園 2012.8.16 撮影    
 
  ※ヒガンバナ(彼岸花)の花と茎葉が8ページ19に載っています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.6
08 摩り下ろすと大根のように白い、セイヨウワサビ(西洋山葵)の葉
所在地 東京都町田市東玉川学園3-3165 昭和薬科大学薬用植物園内
科.属など アブラナ科セイヨウワサビ属
見どころ  別名はホースラディッシュ。ヨーロッパ原産、ホースラディッシュまたはレフォールと呼ばれます。日本では、明治時代に食用として導入されました。日本が原産の本わさびは、大きく沢わさびと畑わさびに区別されます。沢わさびは、渓流やきれいな湧き水を利用して栽培されたものを言います。また、畑わさびは比較的湿気の多い畑やビニールハウスを利用して栽培されたものを言います。5月ころ白い花を咲かせます。どちらも立派なわさびになるまで、厳しい自然の中で2〜3年ゆっくりと育ちます。西洋わさびは、すりおろすと大根のように白く、本わさびに比べて大きいのが特徴です。西洋料理ではローストビーフのつけ合わせなどに使われています。
 ※ワサビの葉は10ページNO.12に掲載されています。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.7
09 有毒植物として有名、ハシリドコロ(走野老)の花
所在地 東京都町田市東玉川学園3-3165 昭和薬科大学薬用植物園内
科.属など ナス科ハシリドコロ属 多年草
見どころ  早春に葉に包まれた新芽を出し、全長は40〜50 センチ程度に成長します。葉は長さ20センチ弱になり、柔らかくて両面無毛。花期は4〜5月。釣鐘状の暗紫紅色の花を咲かせます。夏先には休眠状態に入るため枯れて夏から冬までは見ることができない典型的な春植物です。全草柔らかく、食べられそうな印象がありますが、有毒植物として有名です。薬用としては鎮痙・鎮痛作用があり、ロートエキスとして鎮痛薬や目薬に使用されています。和名は、食べると錯乱して走り回ること、また、根茎がトコロ(野老)に似ていることから付けらました。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.7
13 隠れて、暗紫色で見つけにくい花 コシノカンアオイ(越の寒葵)の花
所在地 柏崎市西山町 大崎雪割り草の里
科.属など ウマノスズ草科 カンアオイ属
見どころ  新潟・湯沢方面の植物園へ野草を見に行った折、案内の人からの説明をうけ、珍しい花でしたので撮影してきました。コシノカンアオイは,主に日本海側の多雪地に生えるカンアオイ属の仲間。カンアオイに似ていますが,花が大きく、また葉は厚く黒ずんだ光沢があります。 花は長さ1.5センチほどで,萼裂片は開出し萼筒の基部はくびれることはないそうです。萼裂片は無毛。花は早春に地表近くにつけますが、落ち葉の下に隠れていることが多く、目立ちません。
 ※カンアオイ の花が、7ページNO.27に載っています。
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.7
14 鮮やかな明るい朱赤色の筒状の花 エリカファイヤーヒースの花
所在地 新潟県長岡市越後丘陵公園
科.属など ツツジ科エリカ属
見どころ  原産地は南アフリカです。冬は室内の窓辺が無難ですが、エリカファイアーヒースは他のエリカよりも若干耐寒性に優れているので、暖地では露地植えで越冬も可能です。ただし霜に当たると枯れてしまいます。暑さに弱いために、真夏は風通しのいい半日陰の場所が良いようです。ギザギザした葉を持つ枝先に、色鮮やかな長い筒形の花を下向きに数個まとめて咲かせる半耐寒性常緑低木です。花は長い筒形で、枝の頂部に数個散形についてぶら下がり、花色はご覧のような鮮やかな明るい朱赤色です。
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.7
18 ひっそりと咲いている、ヤマルリソウ(山瑠璃草)の花
所在地 東京都港区白金台5-21-5  国立科学博物館付属 自然教育園内
科.属など ムラサキ科ルリソウ属 多年生草本
見どころ  落葉樹林の林縁や道端などの適度に湿った場所に生育します。根生葉はロゼット状となり、長さ7〜20センチですが、開花期の葉は小型です。葉は両面有毛で、密に白毛があります。4月〜5月にかけて、直径1センチほどの淡い紫色から淡い紅色の花を次々と付けて美しい。和名は山瑠璃草であり、花の色に由来します。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.8
19 全草有毒で、根は特に有毒な、シュロソウ(棕櫚草)の新芽と花
所在地 横浜市緑区寺山町291 県立四季の森公園
科.属など ユリ科シュロソウ属 多年草
見どころ
 北海道から本州の中部地方にかけて分布し、山地や亜高山の草地や林の中に生えます。新芽がオオバギボウシに似ていて、誤って採取して誤食してしまうケースがあるそうです。シュロソウの和名の由来は、枯れた葉柄がシュロの毛のようになって残ることからきています。花期は6〜8月で、茎先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、暗い紫褐色をした花径1センチくらいの花をたくさんつけます。
        シュロソウの花 片倉城址公園 2012.7.23撮影
 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.10

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