05 全草に悪臭がある、ドクダミ(毒痛み、毒溜み)の花 別名:ジゴクソバ(地獄蕎麦) 
所在地 横浜市港北区新吉田町の民家 
科.属など ドクダミ科ドクダミ属の多年草
見どころ  住宅周辺や道ばたなどに自生し、特に半日陰地を好みます。開花期は5〜7月頃で、茎頂に4枚の白色の総苞(花びらに見える部分)のある棒状の花序に、花弁も、萼もなく、淡黄色の雄しべと雌しべがあります。強い臭いや、毒と付く名前のせいもあり、毛嫌いされる植物の一つですが、本来は毒草ということではなく、民間薬として腫れ物、皮膚病などに利用され、「十薬」とも呼ばれます。解毒や痛み止めの薬という意味の「毒痛み」か「毒溜め」から名前の由来とされています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2011.6.19
04 緑の葉が深赤に紅葉する、コキア  別名:ホウキグサ(箒草)

深紅に染まったコキア

3万株のコキアを植栽した丘
所在地 茨城県ひたちなか市ひたち海浜公園
科.属など アカゲ科ホウキギ属
見どころ

コキア(箒草)の若葉 
藤沢市長久保公園 2012.8.26
八城幸子撮影
 斜面1万2,000平方メートルにモコモコとした愛らしい姿の3万株のコキア(和名は、ほうき草)が植えられています。秋は真っ赤に紅葉し、斜面を美しく飾っていました。コキアは枝や葉を乾燥させてほうきの材料となる植物で、緑の葉が深紅に紅葉します。紅葉の適温は朝晩の気温が10度以下だそうです。
撮影者 大田孝子 撮影日 2010.10.13
06 早春の陽を浴びて開く、フクジュソウ(福寿草)の花と実 別名:ガンジツソウ(元日草)    


2012.3.1 調布市野草園
雪の中のフクジュソウ
石川佐智子撮影
所在地 横浜市鶴見区馬場2丁目20-1「鶴見馬場花木園」
科.属など キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草
見どころ  


2012.4.10 フクジュソウの実
県立四季の森公園 
八城幸子撮影
 北海道から九州まで分布するが、やや寒地性の草花です。光や温度に非常に敏感で、昼間でも日に遮られると花がしぼみ、日が当たると、いつの間にか花が開きます。寒い時期に咲くので、花びらを開閉することで花の中の温度を下げないようにしているのだそうです。お正月には、福寿草の花と南天の実とセットで 、「難を転じて福となす」という縁起物の 飾り付けがされます。名前も、めでたい「福寿(幸福と長寿)」の草の意味があります。根と茎は有毒。花が終わる頃、人参の葉に似た、細かい葉が出てきて一面に広がります。花期は2月〜4月ころです。
 ※一輪の福寿草の花を横から拡大した姿をご覧ください。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.2.28
08 海岸の崖に生える多年草、ハマトラノオ(浜虎の尾)の花と茎葉
所在地 横浜市鶴見区馬場2丁目20-1 鶴見馬場花木園
科.属など ゴマノハグサ科 ルリトラノオ属 多年草
見どころ  

ハマトラノオの葉
2012.3.19 鶴見馬場花木園

 生育環境である海岸沿い岩場の開発により絶滅の危機に瀕しています。海岸の崖に生える多年草で、草丈は20〜40センチ、葉は長い楕円形で対生してやや肉質で艶があり、茎の先に長い穂になった花序を作り、紫色の花を多数つけます。名前の由来は総状花序を「虎の尾」にみたてて名付けられました。
 写真左のハマトラオの葉は海岸性の葉らしく9ページNO.2のハマボッスの葉のように分厚い感じがします。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2011.9.19
09山地の草地や林緑に稀に生える、シキンカラマツソウ(紫錦唐松草)の花
所在地 北海道帯広市紫竹ガーデン
科.属など キンボウゲ科カラマツ属
見どころ  
 山地の落葉広葉樹林の縁や林の中に生える多年草です。姿形がカラマツソウ(唐松草)に似ていて、花びらが直径1センチにもならないほどの、薄紫の小さな花が木の形(?) に咲いています。
 薄ピンクの花は通りすがりの人がだれでも足を止めて眺めこんでしまうほどの楚々とした美しさ……。花弁に見えるのは、じつは萼片だそうです。「紫錦」とは薄紫の美しい花の意味がこめられたもの。草丈は70センチから150センチまで伸び、可憐な花を咲かせ、か弱そうに見えますが、花後はたくさんのタネを周囲に散らしあちこちに芽を出す、逞しい野草でもあります。
 ※仲間のカラマツソウの実が7ページNO.15に載っています。
撮影者 大田孝子 撮影日 2011.9.21
12 香辛料に! ワサビ(山葵)の葉と花
所在地 東京都八王子市堀之内1432-1 東京薬科大学薬用植物園
科.属など アブラナ科ワサビ属 多年草
見どころ

2012.4.10 ワサビの花
調布市野草園 石川佐智子撮影
 日本原産、草丈は30〜40センチ、花径は約3ミリで白い花を3〜5月に咲かせます。古くは奈良時代から薬用として使用されていたと考えられています。さらに江戸時代に入ると寿司、蕎麦の普及とあわせ、広く一般に普及・浸透していきました。山間の渓流の水辺に生え、栽培されます。
 
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.6

07 繁殖力盛んな雑草、スズメノカタビラ(雀の帷子)の花
所在地 調布市深大寺南町1-25 調布市野草園
科.属など イネ科ナガハグサ属 1〜2年草
見どころ  全国のどこでも見られるので、日本の在来種のように思われますが、麦などに付着してかなり昔、渡来した帰化植物だと言われています。カタビラとは単衣の着物のことで、花の形が着物の襟を閉じたように見えることからの命名。草丈10〜25センチの高さで株状になり、根は浅くても抜きにくく、草取りの農作業では手こずらされます。葉は、線形で先が尖ります。2月頃から夏まで、茎の先に4〜5センチ程の円錐状の花序をつけ、3〜5ミリの小穂に卵形で淡緑色の花をつけます。繁殖力が盛んで、一面に群落をつくることがあります。 道端や人家の周囲、空き地、畑地などにいたるところに生育します。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.1
10 ダイコンの葉に似ている、ダイコンソウ(大根草)の紅葉、花と葉

早春2012.3.4のダイコンソウ

夏、2012.7.19 ダイコンソウの葉
所在地 東京都港区白金台5-21-5  国立科学博物館付属 自然教育園内
科.属など バラ科ダイコンソウ属  多年草
見どころ
 私が見たときは横に広がっていましたが、草丈は50センチくらいになります。葉はダイコンの葉に似ていて茎の上部の葉は心臓形です。7〜8月ころ、花径2センチくらいの黄色の5弁花をつけます。名は葉がダイコンの葉に似ていることから名つけられました。

花が意外に綺麗です
2012.7.19 自然教育園

花が散った後のダイコンソウ
2012.8.19 自然教育園
 
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.4
02 ミズバショウの仲間、ザゼンソウ(座禅草)の花 別名: ダルマソウ(達磨草)
所在地 東京都小平市中島町21−1 東京都薬用植物園
科.属など サトイモ科 、ザゼンソウ属の多年草 別名: ダルマソウ(達磨草)
見どころ  

仲良しザゼンソウ
長岡市宮本町雪国植物園 2012.4.7
大田孝子撮影
 僧が座禅している姿に似ていることから付いた名前です。ミズバショウと同じように、花が終わる頃に葉がのびてきます。花には悪臭があり、英語名は「スカンクキャベツ」と呼ばれています。ザゼンソウの花は花弁のないたくさんの花が集まり棍棒状になっています。このような花の集まりを「肉穂花序」と呼んでいます。この花序を包む大きな苞が仏炎苞です。開花期は2月から5月頃です。全草有毒で、口にすると舌やのどに刺激があり、炎症を起こします。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.2.24

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20 株の姿が野鳥のキジが休むムシロに例え、キジムシロ(雉筵)の花
所在地 調布市深大寺南町1-25 調布市野草園
科.属など バラ科キジムシロ属 多年草
見どころ

キジムシロの花の群生   調布市野草園
  2012.4.10 石川佐智子撮影
 草丈5〜30センチ。全体に荒い毛があり、葉は全て根生。5〜9枚の小葉を奇数羽状につけます。花期は4〜5月で、花径は1〜1.5センチ。花弁は5枚。黄色の花をつけます。名の由来は、花後の葉が放射状に展開し、その株の姿がキジが休むムシロに例えられたことによるそうです
 。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.18
 
18 花茎に花が一輪だけ咲く、アズマイチゲ(東一華)の花
所在地 神奈川県津久井郡城山町川尻4307 城山かたくりの里
科.属など キンポウゲ科イチリンソウ属 多年草
見どころ  

2012..3.27 片倉城跡公園
八城幸子撮影
 日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や山麓の日当たりの良い場所に生育します。茎につく葉は柄を持って3枚が輪生し、3出複葉です。花期は3〜5月、春一番に咲く野草のひとつです。草丈は15〜20センチになり、花径2〜3センチの花弁状の萼片を持つ花を1個つけます。花弁に見えるのはすべて萼片で、8〜13枚あリ、花弁はありません。裏側は薄い紅色を帯びています。近縁の「キクザキイチゲ」に似ているが、浅く3葉に切れ込んだ葉の形が特徴です。葉をだらりと垂れるように展開するのが「アズマイチゲ」の大きな特徴で、この点でよく似た「キクザキイチゲ」や「イチリンソウ」などと識別できます。また、葉の鋸歯が尖らないことも、「アズマイチゲ」の識別ポイントだそうです。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.3.15
19 キクに似た花を一輪だけつけるから、キクザキイチゲ(菊咲一華) 別名:菊咲一輪草
所在地 神奈川県津久井郡城山町川尻4307 城山かたくりの里
科.属など キンポウゲ科イチリンソウ属 多年草
見どころ

近縁種のユキワリイチゲ
2012.2.3 石川佐智子撮影
8ページNO.14掲載

 本州近畿地方以北〜北海道に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育します。草丈は10〜30センチ。花期は3〜5月で、花径2〜3センチの白色〜紫色の花を一輪つけます。花弁に見えるのはすべて萼片で、10枚前後あります。春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がるころには、地上部は枯れてなくなり、その後は翌春までの長い休眠期に入ります。これらの早春植物(ユキワリイチゲや、アズマイチゲなど)を「スプリングエフェメラル」(春のはかない命)と呼ぶそうです。
 よく似た花の「アズマイチゲ」は、葉の先に丸みがあり葉が垂れていて、「キクザキイチゲ」は葉は垂れていないで、名のとおり菊の葉のように切れ込みが深いです。
 
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.3.15
15 毛槍のような花穂が茎先につく、スズメノヤリ(雀の槍)の花 別名:スズメノヒエ(雀の稗
所在地 神奈川県津久井郡城山町川尻4307 城山かたくりの里
科.属など イグサ科スズメノヤリ属 多年草
見どころ  どこでも見られる雑草です。葉は7〜15センチ、先が尖った細長い線形で、縁には長い白毛があります。冬には小さなロゼット状で生育し、春に10〜30センチの花茎を出して、茎の先に赤褐色の小花が多数集まった花序をつけます。地下の根茎は「シバイモ」と言って、飢饉のときに食べられたそうです。名前の由来は花の形が毛槍に似ているため。花期は4〜5月です。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.1

2012.02.28〜03.19 掲載20種

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11 草丈が高くなり、ロケットのような形になる、ビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花)の花  

花の拡大
所在地 横浜市港北区綱島上町、早渕川の川岸
科.属など ゴマノハグサ科モウズイカ属 二年草
見どころ
 明治時代に渡来し、もともと観賞用に栽培されていた植物ですが、河原や荒れ地に広く野生化しています。ロゼット状をした基部から、翌年の夏、長い茎先に総状花序を伸ばし多数の黄色い小花を咲かせます。葉は、柔らかい毛が密生して「ビロード」の布に触るような感触がします。花はあまり開かず、密集して咲き、葉は下に行くほど大きくなります。 ”もうずいか”、とは「ひげの生えている人」のことらしい 。
  原産地は地中海沿岸で、地中海気候は夏に雨が降らないので、全草綿毛で覆い、乾燥に耐えられるようになっているらしい。髪が太くなる効果が期待できる育毛剤にも利用されます。広く野生化しているとありますが、私は初めて見ました。
 
撮影者 北澤美代子 撮影日 2011.7.30
13 バニラの芳香を放つ、ニオイカントウ(匂款冬)の花
所在地 東京都八王子市堀之内1432-1 東京薬科大学薬用植物園
科.属など キク科フキ属 多年草
見どころ  地中海沿岸が原産地で日本には昭和初期に園芸植物として渡来しました。葉も花も蕗によく似ています。花期は3〜5月でバニラに似た芳香を持ちます。 
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.6
03永い眠りから目を覚ましたその神秘的な美しさを満喫できる、コダイハス(古代蓮)

行田のコダイハス

ハスの実
2010.9.16立川市国立昭和記念公園
八城幸子撮影 

所在地 埼玉県行田市「古代蓮の里」
科.属など ハス科多年性水生植物
見どころ  ハスはインドが原産です。ここ行田で永い眠りから目を覚ました行田蓮の、その神秘的な美しさを満喫できる「古代蓮の里」。古代蓮の里公園内では、6月中旬にかけて12万株42種類の花蓮を見ることができます。花弁の数が少ない原始的な形態を持つ行田の古代蓮は昭和46年に公共施設工事の際、地中にあった1400〜3000年前の種子が自然発芽し開花したもので、地名から「行田蓮」と名づけられ保護されています。その他にも中尊寺の金色堂須弥壇から発見され、800年ぶりに発芽に成功した「 中尊寺ハス」があります。
撮影者 大田孝子 撮影日 2010.7.17
14 種子につく綿毛を脱脂綿などに利用、ケブカワタ(毛深綿)の実 別名:リクチメン

実は先が尖った卵形。割れると綿毛の中から種がでます。
所在地 東京都八王子市堀之内1432-1 東京薬科大学薬用植物園
科.属など アオイ科ワタ属  一年草  低木
見どころ  

2011.8.28撮影 都立薬用植物園
 一年草として栽培される低木です。花期は夏〜秋、実は直径3センチから5センチの卵形で、先が尖がっています。熟しますと下部が裂け、割れると中から綿毛に包まれた種子が出ます。種子から綿実油が採れ、石鹸、ロウソクなどを作ります。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.3.6
01 葉の先端から赤くなる、アメリカフウロソウ(アメリカ風露草)の葉と花


上下画像は同日、2012.2.28
港北区新羽町杉山神社近くの畑

八城幸子撮影
所在地 横浜市港北区日吉本町5丁目 鯛ケ崎公園
科.属など フウロソウ科フウロソウ属 北アメリカ原産の1年草
見どころ  

八王子市片倉町片倉城址公園  2012.4.19 八城幸子撮影
 70年ほど前の昭和初期に京都市伏見区深草で初めて見つかった そうですが、今では本州、四国、九州の道端や荒れ地などどこでも見られます。春から8月にかけ、葉の付け根から長い柄を出し、先に淡紅色や白色の小さい花を数個つけます。石垣の間や割れ目など栄養分の無い所に生えると、栄養不足から株は成長しないで葉が紅葉するのだそうです。この種は下痢止めの民間薬として知られるゲンノショウコなど、日本にはもともと自生している仲間が多いそうです。
 ※ゲンノショウコをご覧ください。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.2.28
17 濃紫色の深く5裂した唇形の花が咲く、サワギキョウ(沢桔梗)の花
所在地 神奈川県箱根町仙石原817 箱根湿生花園内
科.属など キキョウ科ミゾカクシ属 多年草
見どころ  北海道から九州、東アジアに分布し、平地や山地の湿地に生育しています。草丈は50〜100センチ位になり枝分かれせず、すくっと立っています。8〜9月ころに花径2.5〜3センチの濃紫色の花を咲かせます。美しい山野草であるが、有毒植物です。名前の由来は水の多い湿地に生育するからだそうです。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2010.10.14
16 ハート型の小さな葉と輝くような黄色の花が魅力、ヒメリュウキンカ(姫立金花)の花

所在地 横浜市港北区新吉田東5丁目 民家の庭
科.属など キンポウゲ科キンポウゲ属 多年草
見どころ  原産はイギリスですが、ヨーロッパからシベリアにかけて広く分布している野草です。日本には園芸用として渡来。名前の由来は、日本原産の「リュウキンカ」(属はちがう) に似ているから。別名は英名「オウシュウキンポウゲ(欧州金鳳花)」です。茎が立上がって高さ30センチ前後になる形のものを「リュウキンカ」というそうです。「リュウキンカ」は湿地、流れのそばに生育するのに対し「姫リュウキンカ」は通常の庭で生育し、小さな球根でたちまち地面を埋め尽くしてしまう繁殖力の旺盛な植物です。
 水中のリュウキンカよりも早く咲き出し、やや厚めの艶々の葉も初夏には枯れてしまいます。地面の中に球根のような根茎を残して、夏の間は休眠に入ります。リュウキンカは2花、姫リュウキンカは1花と花の付き方が違います。花びらの数も5枚と8枚、形も微妙に違います。花期は2月〜5月で、花径は2〜3センチほどの花です。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.3.11