18 イネ科の小穂としては変わった形をしている、カズノコグサ(数の子草)の穂
所在地 横浜市緑区新治町 恩田川 小山橋付近の田んぼ
科.属など イネ科ミノゴメ属の一年草
見どころ  北海道〜九州の水田や湿地に生える雑草です。わが国へは、弥生時代にムギ(麦)の伝来とともに渡来しました。4月から7月ごろ、水田の畔などに生え、高さは30〜90センチになり花序をだします。カズノコグサの名前は穂の形がニシンの卵である数の子に似ていることからつきました。穂は初め緑色をしていますが、熟してくると黄色に変わり、いっそう数の子に似てきます。別名で「カエルツリグサ」とも呼ばれます。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.20

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09 酸味はほとんどなく甘く美味しい、カジイチゴ(梶苺)の花と実
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など バラ科キイチゴ属 落葉低木
見どころ
 わが国の在来種で関東以西、海岸の山地に自生しています。葉は互生し、やや厚く、掌状に3〜7裂(5裂が多い)し、普通、刺がありません。カジイチゴ名前の由来は、葉が「梶の木」の葉に似ていることから。 花は直径3〜4センチの5弁花。果実は直径約1センチ、5月頃、橙黄色に熟し、甘く、 食べられます。酸味はほとんどありません。庭木としてよく栽培され、地下茎で横に広がります。 花期は 4〜5月 。

カジイチゴの実
港北区新吉田町 畑の畔
 2012.5.20
八城幸子撮影

実の拡大
八城幸子撮影
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21
08 ヘビイチゴと名前は似ていますが実が違う、ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)の花と実
所在地 東京都品川区荏原2丁目 民家の駐車場
科.属など バラ科ヘビイチゴ属 常緑多年草
見どころ  駐車場の隅っこ、一坪ほどの地面を這って埋め尽くし直径約2センチの黄色い花をいっぱいつけていました。北海道〜九州の半日陰に生え、葉は濃い緑色をした3枚の小 さい葉です。副萼片が花弁より長い。果実は2〜2.5センチで、果床は濃紅色、そう果にはしわがなく、光沢があります。花期は4〜6月。ヤブヘビイチゴの名は、藪の中のような日陰を好むことから付けられたようです。
 これに対しヘビイチゴのそう果には光沢がありません。また、実が全体に小さく、花は1.2〜1.5センチで 花弁と副萼片が同じ長さで目立ちません。

ヤブヘビイチゴの実
光沢があります

ヘビイチゴの実
光沢がない
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21
20 ポピュラーなキイチゴの仲間、クサイチゴ(草苺)の花と実
所在地 横浜市緑区新治町 恩田川の付近の草地
科.属など バラ科 キイチゴ属 多年生草木
見どころ

港北区新羽町 山の傾斜面
 撮影日 2012.5.13 
 日本各地に生育する落葉の小低木ですが、高さは数十センチしかなく葉も草質で、イメージは多年生草本です。明るい林縁や草地に生育し、早春に地下茎から新しい茎を出し、白い5弁花を開花させます。5月のおわり頃から6月始めにかけて、あっさりとした甘みの果実が稔ります。
 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.21
19 家庭菜園でもおなじみのイチゴ(苺)の花と実
所在地 横浜市緑区新治町 恩田川 小山橋付近の田んぼ
科.属など バラ科オランダイチゴ属 多年草
見どころ
 アメリカ大陸原産。日本には江戸時代にオランダから渡来し、作物として栽培されるようになったのは200年前頃からで、本格的に栽培されたのは明治5年からです。白い5弁花で、花が終わると花床部がどんどん肥大してきて実になります。赤い実に点々とある「つぶつぶ」はイチゴの種です。(一般に種は実の内側にありますが、イチゴは外側です)
 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.20
11 欧米で果物と同様の調理で食用にされる、マルバダイオウ(丸葉大黄)の花

花の高さ約1メートル。強風で倒れないよう支柱が
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など タデ科ダイオウ属
見どころ

2012.5.25 変化した花の色
 シベリア原産で日本には明治初期に渡来。漢方薬でおなじみのダイオウ(大黄)と比べ、薬効が少なく、葉に水分が多いことからショクヨウダイオウ(食用大黄) という別名がある。英名は「ルバ ーブ」。同大学の植物園の係りの人の話では、欧米では野菜の一種として扱い、茎を砂糖で甘味を付けてジャムにしたりパイの具にするなど、果物と同様の調理で食用にされるそうです。日本でも長野県などでジャム加工用に栽培されているとか。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21

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12 花の形が舞楽の伶人の冠に似ていると、アズマレイジンソウ(東伶人草)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など キンポウゲ科、トリカブト属 多年草
見どころ  関東〜中部地方の主として日本海側で、山地の林内や林縁に自生しています。直立または蔓性で草丈80〜100センチ。根元から出ている葉には長い柄があり、一見してゲンノショウコに似ています。茎に付く葉は小さく、葉柄は短い。トリカブトに似た形で長さが2.5〜3センチの淡紅紫色の花が総状につき、下か 順に咲きます。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21
13 お寺の屋根の宝鐸に似る、キバナホウチャクソウ(黄花宝鐸草)の花と実
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など ユリ科チゴユリ属 多年草
見どころ

写真左のキバナホウチャクソウの実
2012.5.25 
 別名はキバナアマドコロ(黄花甘処)。朝鮮半島、中国原産の耐寒性多年草でホウチャクソウ の黄花種です。 林縁、林下のやや湿った所にに生えています。丈はせいぜい40センチくらいまで。茎は直立。上部は分枝し、花の初めは立っていますが、だんだん垂れ下がってきます。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21
14 古代エジプトの墓からも発見され、薬効があるという、コロハ(胡廬巴)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など マメ科の一年草(属名は不明)
見どころ
 強壮、鎮痛、消化吸収など幅広い効能の薬草として、またスパイスとしても利用されています。ギリシャ付近や西アジア原産。日本には中国の胡を経由して渡来したというのが名前の由来のようです。古代エジプトの時代から香辛料として使われ、古代エジプト人の墓からも発見されているほど、人とのかかわりが長い植物です。
 和名のコロハは英名を「フェヌグリーク」と言い、その種子は最近の研究で、、母乳の出を良くする効果、糖尿病の血糖値を下げ体脂肪を減らす効果があると注目を集めだしています。また種子のお茶は強壮作用があり消化を良くするのだそうです。
 。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21

2012.4.21〜4.23 掲載20種

01 江戸時代に薬草として栽培、アカヤジオウ(赤矢地黄)の花
所在地 東京都小平市中島町21−1 都立薬用植物園
科.属など ゴマノハグサ科ジオウ属 多年草
見どころ  江戸時代に薬草として栽培されました。草丈10〜30センチ、葉は倒卵形〜長楕円形でしわが多く全草に腺毛が密生しており、6〜7月ごろになると20センチほどの花茎をのばし、その先に数個の淡紅紫色の花をつけます。花は横向きで長さ約3センチの筒状で、先端は、くちびる状になっています。薬効としてはホルモンの分泌を促進させ、増血効果があり、貧血や虚弱体質の改善に用いられます。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.20
04 色彩の豊富さと艶やかさで「虹の花」とも呼ばれる、ジャーマン・アイリス
所在地 横浜市港北区大曽根 鶴見川沿い
科.属など アヤメ科アイリス属 耐寒性多年草
見どころ

2012.5.2 同じ場所
 ジャーマンアイリスとは、地中海沿岸〜中近東原産のゲルマニカ種といくつかの原種アイリスとの交配により人為的に作られた園芸品種群です。とても高貴で豪華な花を咲かせる宿根アイリスであり、古くからヨーロッパで愛されてきました。同じアヤメ科アヤメ属のハナショウブが湿地帯の酸性の土壌に生えるのに対して、ジャーマンアイリスは大変乾燥に強く、暑さや寒さにも強くアルカリ性の土壌を好むのが特徴です。20世紀初頭からヨーロッパで生まれたジャーマンアイリスは、1920年ごろにアメリカに渡り、人気が爆発し盛んに品種改良されました。従って品種が豊富であり、現在でも交配により新しい品種が生まれています。花の色も白,黄,青,赤,紫,オレンジ、ピンク,茶,黒と、その色彩が豊富です。
 
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.20
03 アイスクリームのような珍しい花、ユキモチソウ(雪餅草) の花 
所在地 東京都小平市中島町21−1 都立薬用植物園
科.属など サトイモ科テンナンショウ属  多年草
見どころ  別名はカンキソウ(歓喜草)。草丈30センチほど。真ん中の白くふくれた部分がまるで、お餅のように見えました。春に開花。花穂を包み込むような仏炎苞(ぶつえんほう)は、上部が直立しています。その中に先端が丸く膨らんだこん棒状のものがあります。これを白い餅に見立てたのが名前の由来です。4〜5月ころに花の見ごろを迎えます。花と見えているのは、これもサトイモ科特有の仏炎苞で、本当の花は中の白い雪の餅のような肉穂花序の下に隠れています。別名カンキソウ(歓喜草)とも呼ばれています。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.20
06 夏の花として日本人に親しまれてきた、ゼニアオイ(銭葵)の花
所在地 横浜市港北区綱島東1丁目 民家の庭
科.属など アオイ科ゼニアオイ属
見どころ  ゼニアオイは地中海沿岸原産の帰化植物。河川敷や線路脇の空き地、高架橋の下などの荒地に生育する強健な越年性の2年生草。小さな花がいっぱいつけます。劣悪な環境にも生育ができるのは地中海気候にも適応した種であることも 関係します。よく似た花にウスベニアオイがありますが、見分けが難しく、ゼニアオイは茎が一般的に無毛で、葉が大きくほぼ円形で切れ込みが浅いことです。ウスベニアオイは茎にまばらに長毛があります。その他、タチアオイ(立葵)と似ています。花期は5〜8月。
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.20
02 ナルコユリの花に似ている、オオアマドコロ(大甘野老)の花
所在地 東京都小平市中島町21−1 都立薬用植物園
科.属など ユリ科ナルコユリ属 多年草
見どころ  草丈60〜100センチ程度。山地の林内のやや暗いところに生える多年草。茎はやや角張り、弓なりに伸びます。葉はほんど無柄。葉は互生し、長楕円形。花期は5〜6月ころ、葉の腋より釣鐘状の長さ2〜2.5センチの白色で先が緑色の花を2〜4個つけます。ナルコユリは茎が丸く、アマドコロには稜があります。「アマドコロ」というのは、根を食べると甘い味がすると言う意味で付けられました。昔は澱粉製造用に使われました。オオアマドコロの根茎は滋養強壮の効果があるといわれています

 ※ナルコユリの葉は3ページNO.25に掲載されています。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.20
05 小さな花をたくさんつける可愛い花、リモニウム・ペレジー
所在地 横浜市港北区綱島西 綱島商店街内の植え込み
科.属など イソマツソウ科リモニウム属
見どころ  大西洋のカナリー諸島が原産です。海岸沿いの荒れ地や砂浜、岸壁などに生え、高さは30センチほどになります。茎の基部は木質化し、葉は円形から広卵形でロゼットを形成します。3月から9月ごろ、花茎を伸ばして、小さな薄紫色の萼に白色の花を咲かせます。花冠はわずかに萼からでています。濃紫色の花が美しい宿根性のリモニウムです。葉は平滑な広卵形で長さ20〜30cm程度。花茎が30〜60cm伸びて、よく分枝し、円錐花序を形成します。高さは30センチほどになります。葉は円形から広卵形でロゼットを形成します。花期は3月から9月ごろまで。 
撮影者 大田孝子 撮影日 2012.4.20
07 花に香りがある、キバナノクリンザクラ(黄花の九輪桜)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など サクラソウ科サクラソウ属の多年草
見どころ  原産地はアフリカ北部、地中海沿岸地方、西アジアなど。草丈は10〜20センチくらい。茎は直立し毛が生えています。根際からはへら形の葉が数枚生え、葉には柄があり、縁には不規則な切れ込みがあります。葉の表面には皺があり、葉のつけ根は狭くなって柄とつながっています。開花時期は4〜6月。花の真ん中に橙色の斑があり、萼片は白色を帯び、5枚です。雄しべは5本、雌しべは1本。そして花には香りがあります。
 花や葉は、去痰や鎮静などの薬効があります。英名はカウスリップ(cowslip)で、これは牧場によく生えていたことからつけられた名前です。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21

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15 ビール党の諸君! セイヨウカラハナソウ(西洋唐花草)をご存じですか?
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など アサ科(クワ科)カラハナソウ属 多年生
見どころ  ヨーロッパ南部〜西アジアの原産。山形、岩手、長野、山梨地方での栽培が多い。北海道、本州中部以北の山地や林縁に自生するカラハナソウに似ています。雌雄異株の多年生のつる性で、茎の生長は早く、葉柄には短いかぎ状の毛が あります。8〜9月に、松毬(まつかさ)状のホップ果穂を摘み取り、陰干しして乾燥したものを、布袋に入れて振り、黄色のホップ腺を集めてビール原料のホップにします。このホップ腺が、ほろ苦さや芳香、腐敗を防ぎ、濁りりを抑えて、泡立ちをよくします。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21
16 落ち葉に埋もれて咲く、タマノカンアオイ(多摩の寒葵)の花
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城跡公園
科.属など ウマノスズクサ科カンアオイ属
見どころ  環境省指定の絶滅危惧種です。この仲間(カンアオイ属)は、自生地が限られていてその地域特産種になっていることがほとんどです。多摩丘陵で最初に確認されたので「多摩の」です。短い茎は地上を這い、花も地上に接してつくので、茎は立ちあがりません。葉陰に径2センチほどで長さ1センチほどの暗褐色の筒型の花を数個つけます。花筒はガクで筒状の裂片の先が波型に開きます。特有の臭気があります。
 ※カンアオイの花が7ページNO.27に、コシノカンアオイの花が14ページNO.13に載っています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.19
10 清楚な花からは想像できない実が生る、ヤマシャクヤク(山芍薬)の花と実
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など ボタン科(以前はキンボウゲ科)ボタン属 多年草
見どころ

花からは想像できない
ミッキーマウスツリーのような実
 中部地方〜九州に分布している野生のヤマシャクヤク。北海道〜九州に野生しているベニバナヤマシャクヤクがありますが、どちらも花は中国原産のシャクヤクよりも小さく、古くは薬用に用いられていました。秋に太く短い根を堀り上げで、水洗いして刻んで乾燥させ、腹痛の鎮痛剤に。写真でご覧のように花は純白で清楚な感じ。この花を天ぶらにすると美味しいそうです。実は、ミッキーマウスツリーの実のように異形、花からは想像できない形です。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.4.21

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17 別名を「ウシゼリ」「タゼリ」と呼ぶ、タガラシ(田枯・田辛)の花と実
所在地 横浜市緑区新治町 恩田川 小山橋付近の田んぼ
科.属など キンポウゲ科キンポウゲ属の多年生
見どころ  日本中の水田や用水路などに生える雑草で、有毒植物です。タガラシの名前は、葉に辛味があるからという説と、田にはびこって田を枯らすからであるという説があります。草全体に有毒な成分を含み、食べると口内炎や胃腸炎を起こします。春先の田に黄色い花を咲かせているので、目につきます。ケキツネノボタンに似ていますが、ケキツネノボタンは球形の金平糖のような形の果実をつけます。タガラシはだ円体の果実の集まりです。 
 ※ケキツネノボタン(狐の牡丹)の花が、16ページbXに載っています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.20