題字 書家・新舟律子
その1

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01. 世界最大の移植難工事に耐えた老桜2本

この老桜2本の秘話はテレビで放送、一躍有名になりました
名 称 岐阜県指定天然記念物
荘川桜(しょうかわざくら)
樹 種 2本ともアズマエドヒガン
樹齢&
大きさ
450年以上(推定)。樹高20m/21m 目通り幹周り5.9M/4.9m
所在地 岐阜県高山市荘川町中野
行き方 東海道新幹線「名古屋駅」下車、名鉄BC(バス乗り場)で高速バスに乗り、「牧戸車庫」で下車し徒歩73分。またはJR高山駅からのバスコースもあります。

ポスターの複写です
生い立ち&
見どころ
 左の写真は観光ポスターの複写です。私が荘川の桜の木を見たのは平成17年10月のことで、木の天辺のほうは紅葉し始めていました。
 2本の桜の木にまつわる“老桜物語”はテレビで拝見していました。それを自分の目で確かめたくてツアーに参加しました。
 照蓮寺、光輪寺という二つの寺にあった巨木のエドヒガンザクラ。それが昭和28年(1953年)に持ち上がった日本最大のダム、御母衣ダム建設計画。174世帯の住民の家屋敷や田畑とともに2本のサクラも湖底に沈むことになっていました。
 このダム建設事業の最高責任者、時の初代電源開発公社総裁・高崎達之助は「村の象徴であるこのサクラを何としてでも救いたい」と言い出し、奔走しました。ときに74歳でした。日本一の桜の研究家・笹部新太郎に“移植”を嘆願。樹齢400年もの老桜を掘り起こし、果たして活着するか自信の無い笹部に対し、高崎はこう言いました。
 「笹部さん、早々に移植にかかってください! 1万人の労働力と機械器具の類は何でもありますから」。世界移植史上空前の工事が始まりました。2本の重量73トン、移動距離600b、高低差50b・・・・。その老木の姿は無残でした。幹も枝葉もほとんどすべて切り落とされ、もちろん根も・・・、まさに根こそぎ、です。
 私が訪れたときには、そんなドラマがウソかのごとく写真のように四方に枝葉を伸ばし堂々とした姿を見せていました。 
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 平成17年(2005年)10月25日


02. 横に49bも伸びる日本一の松 遊龍松
写真右端から右方向にもほぼ同じ長さで伸びています
名 称 国指定天然記念物
善峯寺の遊龍松
樹 種 五葉松
樹齢&
大きさ
樹齢600年。樹高2.3m 横に長く49b 目通り幹周り1.6b
所在地 京都府京都市西京区大原野小塩町1372  善峯寺境内
行き方 JR京都線「日向町駅」下車、もしくは阪急京都線「日向駅」下車、阪急バス66号善峯寺ゆき(30分)で「善峯寺」下車し徒歩8分
生い立ち&
見どころ
 全長49b・・・。巨木というよりは日本最長樹です。写真では長すぎてその姿のすべてを収めることができず、右側に曲がった半分が写っていません。長くうねった胴のような幹が腕のように何本も何本も枝を伸ばしています。平成6年に松くい虫の被害に遭い、食われた患部を3bほど切り詰めて現在の49bになりました。まさに龍が低空を這って遊ぶ、そんな光景は圧巻です。松くい虫の被害に遭う前の遊龍松のパノラマ写真6ページNO.31をご覧ください。
 
 この寺、善峯寺は、徳川5代将軍綱吉の生母・桂昌院が幼い頃母に連れられお参りした“桂昌院ゆかりのお寺”。桂昌院は応仁の乱で焼失したこの寺を復旧させ、200石と山林25000坪(寺の案内書では3万坪)を寺領としました。いま、境内の回遊式庭園を一回りすると40分はかかります。境内にはこの遊龍の松のほか樹齢300年の枝垂桜、高野槙、紫陽花、もみじなど四季折々の花があり、楽しめます。また標高300bにある奥の院からの京都市街や比叡山の眺めは素晴らしい! 京都へお越しの節は、善峯寺へ足を延ばしてみては?
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 2007年12月2日


                            
03. 日本の紀元と同い年、樹齢2600年の楠

人間と同じ生き物の樹木、その命がなんと2600年も。まさに、もう神様ですね
名 称 大山祇神社御神木 大楠 樹 種     
樹齢&
大きさ
樹齢2600年 樹高15.6b 根回り20b
所在地 愛媛県今治市大三島町宮浦 大山祇(おおやまずみ)神社境内
行き方 瀬戸内しまなみ海道大三島IC下車 大山祇神社まで約15分

気が遠くなるほど長い長い年月を経た姿
 生い立ち&
見どころ
 大三島は、瀬戸内しまなみ海道の中間に位置し、国宝とロマンの島として有名です。天照大神(あまてらすおおのかみ)の兄神の大積大神が祀られています。海の神、武人の神として、戦いに赴く武将たちは武運を祈って、出陣したそうです。宝物館には、全国の国宝重要文化財の、武具、甲冑のうちおよそ8割が、ここに集められているそうです。
 境内をぐるりと囲む約200本の楠群は,かなり大きいもので植物的にも貴重とされ、国の天然記念物に指定されています。 中でも中央神門の前にある、乎千命(おちのみこと)お手植えの楠の木は、なんと樹齢2,600年・・・。その姿は根回り20メートル.高さ15.6メートル。わが国の建国以前、490年も前から生き続けるその生命力を眼の前にすると、畏れ多く、身が引き締まる思いがいたします。
 この大木は幹が大分腐朽している所もあるのに、大きな枝をいっぱいに広げています。そんな御神木を眺め、拝殿に手を合わせていると、とても心が癒され、穏やか〜な気持ちになったのでした。これから先、この大木は、いつまで生き続けてくれるのでしょうか? 長い歴史と、大いなる自然の営みに感心し、身の引き締まる思いがいたしました。 
取材・撮影 北澤美代子 撮影年月 平成21年(2009年)3月


04. 南アフリカで見た巨木、樹齢2000年のバオバブ
名 称 南アフリカ最古の バオバブ 樹 種 バオバブノキ
樹齢&
大きさ
樹齢2000年 樹高約25b 幹周り20b
所在地 南アフリカ共和国のビクトリアの滝へ行く途中ザンベジ・ドライブ沿いで見ました。
行き方 成田空港から香港で乗り換え、ヨハネスブルグ空港。その後はツアー観光

これほどの巨木で捨てるところがないとは、凄い! さすがアフリカの木
 生い立ち&
見どころ
 この巨木は樹齢2000年に達するといわれます。今後さらに1,500年は生き続けると専門家は断言しているそうです

 バオバブ(baobab)はマダガスカル、オーストラリア、インドなどの乾燥地帯・サバンナに生育し、乾季に落葉する広葉樹。樹幹に水を蓄えており、乾燥気候に非常に強い。樹高25m、 幹の直径7mに達するものもあり、その一種。年輪が無いため樹齢の判定は難しいそうです。世界的には一属8種が知られ、アフリカにあるのはアフリカ・バオバブ一種のみです。
 バオバブの木材は全て使用可能。幹は木材、葉は香辛料や薬となり、樹皮は布やロープの素材に使われます。果実は食用に供され、また樹冠に棲息するキツネザルの食物となっているため、バオバブの木は「猿パンの木」とも呼ばれています。 
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 撮影日2009年7月12日


05. 南アフリカでは通称“アンブレラ・ツリー”
クワ科の木。いろんな植物が絡みついた幹
名 称 南アフリカ 
アンブレラツリー
樹 種 アカシアの一種
樹齢&
大きさ
樹齢不明 樹高・幹周りは写真でご想像願います
所在地 南アフリカ共和国のボツワナ・チョべ国立公園の近く
行き方 成田空港から香港で乗り換え、ヨハネスブルグ空港。その後はツアー観光
 生い立ち&
見どころ
 アカシアの一種で通称「アンブレラー・ツリー」と呼ばれています。傘の骨のように枝を広げ、葉で覆っている様は、ほんとうに傘、アンブレラのような樹姿をしています。アフリカのサバンナではよく見かける木ですが、とても印象深い木です。見るたびに木陰でゆっくり昼寝したくなるような、そんな親しみのある木ですね。訪れた7月はこちらでは真冬。でも日中は 20度ほど、朝でも5度くらいまでしか下がらず、快適です。

 多数に分かれた枝には豊富な乳液が含まれており、枝を傷つけると乳液が滴り落ちます。クワ科の仲間 の“母親”のようなこの木の周りに、さまざまなつる性植物や宿り木が絡みつき、幹の太さの何倍かに“着太り”して見えます。  
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 撮影日2009年7月11日


06. 熊野古道、大門坂の夫婦杉と杉並木
熊野古道入り口に樹齢800年の夫婦杉
名 称 世界遺産「熊野古道」 
大門坂の 夫婦杉(めおとすぎ)
樹 種
樹齢&
大きさ
樹齢800年 樹高55b 幹回り8.5b
所在地 和歌山県田辺市中辺路町近露2474-1
行き方 羽田空港からJAL南紀白浜便で南紀白浜空港へ。同空港から明光バスで紀伊田辺駅まで。駅前から竜神バスで本宮町へ。
 
熊野古道両側に並ぶ杉並木
生い立ち&
見どころ
 熊野古道は熊野参詣道といわれ、その“道”が2004年7月に世界で2例目の世界遺産となりました。熊野三山、いわゆる熊野本宮大社、熊野速球大神、熊野那智大社に詣でる人たちが通る全長約500メートル、高低差約100メートルの“大門坂”という石畳道です。

 鳥居をくぐると「振ヶ瀬橋」という小さな橋があり、ここが俗界と聖地とを振り分ける境の橋。この橋を渡るとすぐ樹齢約800年の夫婦杉・・・。石畳を歩く人たちを夫婦仲良く古道の左右両側に立ち、800年も見守ってきたのです。夫婦杉に続く古道両側は何百年という歳月を経た杉並木。
 
 古来から多くの参詣者たちを受け入れてきた熊野古道。その面影をもっとも色濃く今に残している場所がここです。また、日本三大古道の一つに選ばれております。
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 2009年 4月 9日


         
07. 熊野詣のお守り、熊野速玉神社の梛の葉

平安末期、平重盛手植えの梛。推定樹齢1000年
名 称 国指定天然記念物
熊野速玉神社御神木ナギノキ(梛)
樹 種
樹齢&
大きさ
樹齢1000年(推定) 樹高20b 幹周り6b
所在地 和歌山県新宮市新宮1
行き方 きのくに線「新宮駅」から徒歩約15分
生い立ち&
見どころ
 熊野速玉大社の境内に立つ推定樹齢1,000年の梛(なぎ)の大木です。平安末期、熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男)の手植えと伝えられ、幹周り6b、樹高20b、梛としては日本最大です。
 「熊野三山」とは、熊野速玉神社、熊野本宮大社、熊野那智大社のことで、古くから「熊野詣」で多くの信仰を集めてきました。熊野速玉神社を詣でると“現在のご利益”、熊野那智大社が“過去のご利益”、そして熊野本宮大社が“未来のご利益”があるとされています。 
 ナギは熊野速玉神社、いわゆる熊野権現の御神木で、その葉は、笠などにかざすことで魔除けとなり、熊野信仰のお守りとして帰りの道中を守護してくれるものと信じられていました。また、身の穢れを祓い清めるお祓いの木と広く使われてきました。
 その所以(ゆえん)は、葉と実にあります。ナギはマキ科に属する針葉樹でありながら、広葉樹のような光沢のある葉です。縦に細い平行脈がたくさんあって、主脈がありません。そのためナギの葉は縦には簡単に裂くことができますが、横には枯れ葉であってもなかなかちぎることができません。葉の丈夫さからナギには「コゾウナカセ」、「チカラシバ」の別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる慣習があったそうです。
 花期は5〜6月。実は球形の紫色で種子が10〜11月に熟し、この種子から取れる油は神社の灯火に使われました。この実が、二つ並んで実を結ぶことから夫婦円満・縁結びのご利益があるとされます。
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 2009年 4月 9日



08. “隠れ銀杏”の伝説がある鶴岡八幡宮の大イチョウ

1000年も生き続け、樹高30メートル、幹の太さ7メートルもの巨木が、まさか風で突如倒れるとは?!
名 称 神奈川県指定天然記念物
鶴岡八幡宮御神木 
大イチョウ
樹種 イチョウ
樹齢&
大きさ
樹齢1000年余 樹高30b 幹回り7b
所在地 鎌倉市雪ノ下2-1-31 鶴岡八幡宮境内 
行き方 JR・江ノ電鎌倉駅徒歩10分
 


この写真撮影から7カ月半後、平成22年3月10日早朝、強風で根元から折れる
生い立ち&
見どころ
 本宮に登る61段ある石段の左手にあるイチョウの木。高さ30メートル、幹周り7メートルもある大木です。

 今から約800年前のこと、建保7年(1219年)1月27日、源頼家の子で八幡宮の別当を務めていた公暁(くぎょう)は、この銀杏の木の陰に潜んで待ち伏せ、3代将軍源実朝を殺害したという伝説があります。そのため、この木は隠れ銀杏≠ニいわれています。 しかし、こんな説もあります。樹齢1000年余りのこの木が、約800年前の当時、人が隠れることのできる太さにはまだ生長していなかっただろうという説です。
 真偽のほどは、この大イチョウのみぞ知る、ではないでしょうか。

 ※このご神木のイチョウはこの写真の撮影から約7カ月半後の平成22年3月10日早朝、強風のため根元から折れました。倒れた巨木は3つに切断され、根元から高さ4メートルまでの1本が移植されました。本宮関係者・地元鎌倉市民らの再生への強い願いと努力によって、なんと倒壊から約1カ月後、切られた千年の古株に“新芽”が確認されました。

 倒木から34日後、新芽の芽出しの模様を「木花−world」18ページNO.8に掲載しました。
 
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 平成21年(2009年)7月26日



09. 3代将軍家光の手植え、芝東照宮のイチョウ

2本仲良く並んで、しっかり地に根を張って、素直にまっすぐ天に向かって伸びています
名 称 東京都指定天然記念物
芝東照宮の イチョウ
樹 種
イチョウ(銀杏)
樹齢&
大きさ
樹齢350年以上(推定) 樹高25.5b 幹回り6.45b
所在地 港区芝公園4丁目8番地の10 芝東照宮  
行き方 都営三田線「 芝公園駅」から徒歩3分
生い立ち&
見どころ
 芝東照宮は、江戸時代は隣接する増上寺の安国殿でしたが、明治初めの神仏分離令により芝東照宮となりました。
 徳川家康を祀る東照宮のひとつに、イチョウの巨樹があります。東照宮創建時に徳川3代将軍家光が植えたという「手植え」のイチョウです。
 日比谷通りから東照宮に入ると、社殿向かって右手にこのイチョウの巨樹があります。
 左手には、やや若いイチョウが植えてあります。右手の巨樹は、これはさすがといった大きさ。これだけの太さの樹が、素直にまっすぐ立ち上がっている姿にはほれぼれとします。高さ5bほどのところから幹が分かれ、枝も広がりすっきりして気持ちのいい樹です。
 戦前には文部省の天然紀念物に指定されていますが、戦後は国の天然記念物には指定されず、1956年になって東京都の天然記念物に指定されています。
 東京のど真ん中、周りには芝公園があり、静寂そのものです。のんびり独りのイチョウ見物は、心休まる癒された一日になりました。 
取材・撮影 石川佐智子 撮影年月 平成21年(2009年)7月4日



10.戸塚の永勝寺、横浜市最長寿の樹木。イヌマキ

横浜市内で最長寿、樹齢1020年
名 称 横浜市指定名木古木
永勝寺の イヌマキ
樹 種 犬槙
樹齢&
大きさ
樹齢1020年 樹高20b 幹周り2.55b
所在地 横浜市戸塚区下倉田町1021 永勝寺  
行き方 JR東海道線戸塚駅東口から「見晴橋」行きで、「下倉田中央」バス停下車徒歩5分

左が樹齢1020年のイヌマキ、右が樹齢620年のイチョウ
生い立ち&
見どころ
 「永勝寺」の山門前に立つと、右手奥にイチョウ、左手前にイヌマキと、巨木が2本、寺を守るかのようにそびえています。
 このイヌマキは、高さ20メートルで、針葉樹にしては葉が扁平で主脈がはっきりしています。植物で「イヌ」という言葉を頭につけるものは、「もとの種と比較して(姿や材質が)劣る」という意味を含むことが多く、「イヌマキ」自体を「マキ」と呼ぶこともあるそうです。その「もとの種」がどの植物を指すのかはよく分かっていないようですが、緑豊かなその姿を見ていると、その名前の付け方に少し首をかしげたくなります。
 その材は、防水性、抗蟻性にも富むそうで、私たちの生活に役に立ってくれているのですから、その名は“名誉毀損”では?
 鎌倉時代、親鸞がたびたび説法に訪れたといわれる永勝寺。「この大きな木々はその歴史をず〜っと見てきたのでしょう」とご住職のお話でした。
取材・撮影 山田紀子 撮影年月 平成21年(2009年)7月26日

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