その12
題字 書家・新舟律子

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61.ワインの栓になる元街小学校のコルクガシ 別名コルクの木


131年前、日本で最初に植樹されたコルクの木です

名 称 横浜市指定名木古木
元街小学校の
コルクガシ(コルク樫)
樹種 ブナ科
コナラ属
樹齢&
大きさ
樹齢 131年 幹周囲 2〜3m 
枝張り8〜20m  樹高 約20m
所在地 横浜市中区山手町36 横浜市立元街小学校 校庭内
行き方 JR根岸線「石川町」下車、徒歩約10分。バスを利用する場合はJR根岸線「桜木町駅」下車。 J番系統 バス停「代官坂上」下車 徒歩2分

樹皮は厚いコルク層。これを剥がしくり抜いてコルク栓を作ります

枝葉は威勢よく、まだまだ生長しそう。たくさんのコルクが採れそうですが・・・

生い立ち&
見どころ
 元街小学校は閑静な高級住宅街にあり、公立小学校とは思えない感じです。インターホンで来意を告げると、「写真撮影だけならいいですよ。」門扉を開けてくださいました。正面玄関で職員の方が待っていて「コルクガシ」の場所を教えてくださいました。
 
 校庭から少し離れた所に表示板があり、「コルク樫の大木。明治12年に日本で初めて苗木を試しに植えた木だといわれています」と表示。
 
 コルクガシはその名のとおり、ワインの栓などに利用されるコルクが採れます。樹幹の表面には、厚いコルク層ができ、これを剥がし、くり抜いてコルク栓を作ります。このコルク層は再生するため、10年経てば再び収穫できます。コルクの主な産地であるポルトガルやスペインには、この木を使った多くのコルク工場があります。
          
 岩田会長が「このコルクガシとキリンビール発祥の地は何か関係があるかもしれませんね。興味深いですね」とおっしゃる。

 山手本通りエリスマン邸前の坂道を降ると正面に北方小学校に出合います。ここの校庭に清水の湧き水がでる池があり、その井戸水を使ってビールが造られました。それは明治2年、アメリカのコープランドという人が日本で初めてのビール工場をここに作り、「スプリング・バレー・ビルワリー」(泉の谷という意味)と名付けました。明治40年、このビール工場を日本のキリンビール会社が譲り受けました。ここが日本におけるビール工場発祥の地。小学校を正面に見て右折するとキリン公園があり、キリンビール発祥の地であることを記念し1937(昭和12)年に設立されました。
         
 現在のキリンビールの工場は、この山手の工場が大正12年の関東大震災で倒壊し横浜市鶴見区生麦に移転しました。
  結局、コルクガシとの関係はよく分かりませんでした。

撮影・文 石川佐智子 撮影日 2010年9月.1日


62.洋式公園・テニス・ヒマラヤスギの、日本発祥の地・山手公園


カメラに収まらない大木に生長した日本初の植樹のヒマラヤスギ

名 称 横浜市指定名木古木
山手公園の
ヒマラヤスギ

樹種 マツ科
ヒマラヤスギ属
樹齢&
大きさ
樹齢 131年 樹高 約20m 目通周 2〜3m 
枝張り 8〜20m     
所在地 横浜市中区山手町230 山手公園内
行き方 JR根岸線「石川町」下車、徒歩約10分。バスを利用する場合はJR根岸線「桜木町駅」下車。J番系統 バス停「山手町」下車 徒歩5分

横浜山手のなだらかな斜面をいかした、開園したばかりの明治時代の山手公園。茂っていない木々の間を浜風が吹く。植樹したばかりのヒマラヤ杉はまだ若木。
 公園内にモデルの人物数人が直立不動で立っているのが、不自然で滑稽。いかにもカメラ普及の明治初期らしい。

この写真はいわゆる「横浜写真」といわれる日本最初のカラー写真。これは白黒写真に絵筆で色づけしたもので、日本を旅した外国人に土産物として珍重されました。
             (岩田忠利所蔵写真)

生い立ち&
見どころ
 横浜・山手のヒマラヤスギは、名木古木の9ページNO.49に掲載されている新宿御苑のヒマラヤスギと“兄弟苗木”です。
 
 明治時代初期、横浜の外国人居留地に住んでいた英国人ヘンリー・ブルックは、明治12年(1879年)インドのカルカッタから種子を輸入し居留地をイギリス風の景観にと横浜・山手居留地一帯に植えました。

 山手公園は横浜開港期に山手の居留地に暮らした外国人たちのために造られた公園です。開園は1870年(明治3年)のことで、日本にはまだ「公園」という概念が存在していなかった時代です。「日本初の西洋式公園」として誕生した外国人専用の公園で、一般の日本人の立ち入りは禁止でした。
 
 ここに何面かのテニスコートが作られ、明治11年(1878年)日本初のローンテニスを行い、初のテニスクラブが設立されました。日本テニス発祥の地と言われ、園内には「横浜・山手・テニス発祥記念館」があり、無料開館されています。

 公園を包み込むように茂る木立は大木も多く、その中にヒマラヤスギの大木が、たくさん植えられています。静かな園内にテニスを楽しむ人たちの明るい笑い声が聞こえてきます。

撮影・文 石川佐智子 撮影日 2010年9月.1日


63. 旧東海道テクテク旅。知立宿の永安寺・雲竜の松


東西17メートル、南北24メートルの枝ぶり。とてもカメラに入らないのが残念でした!

名 称 愛知県指定天然記念物
永安寺の
雲竜の松
樹種 マツ科
マツ属クロマツ
樹齢&
大きさ
推定樹齢300年以上 目通り幹周り3.7m 
樹高4.5m 枝張り東西17m/南北24m
所在地
愛知県安城市浜屋町北屋敷17 永安寺
行き方 新横浜駅から新幹線のぞみで1駅先の名古屋駅で東海道本線新快速豊橋行きに乗り換え、安城駅下車、徒歩30分
生い立ち&
見どころ
 私たちの東海道テクテク旅は、家康のふるさと、岡崎宿を後にして日本のデンマークといわれる、のどかな田園風景が広がる知立宿へ。昔は馬市や木綿市が立つ市場町で賑わったそうです。
 
 知立宿界隈の名所のひとつ、永安寺の「雲竜の松」を見学に立ち寄りました。枝が地面を這うように横に伸びる、見事な枝ぶりの松の木の前に、こんな文面の案内板が建っています。
 
 「永安寺は、浜屋町の庄屋・柴田助太夫の霊をまつる寺です。助太夫は1677年(延宝5年)に貧しい村人のために助郷役の免除を願い出て刑死したと伝えられています。この寺を覆い包むように横に枝を広げて伸びる黒松の巨木は、助太夫の自宅の庭にあったものか、寺を建てるときに植えたものか不明ですが、樹齢は300年と推定されます。この松は、中心の幹が上へ向かって伸びず、分かれた幹が地を這うように伸び、その形が雲を得て、まさに天に昇ろうとする竜を思わせるので「雲竜の松」と呼ばれています」

 自分の身を犠牲にして村人のために勇敢に行動した柴田助太夫。彼の魂がこの雲竜の松には宿っているのか、竜が地面を這って迫ってくるような凄さを感じました。
 
 ※篠山文子さんのホームページ平成の東海道53次」知立宿編をどうぞ!

撮影・文 篠山文子 撮影日 2008年6月8日


64.師岡熊野神社の原生林は、社叢林として県天然記念物


本殿裏の山道は「みくまの通り」という大木が生い茂る、昼なお暗い遊歩道。大都会のこんな身近でも森林浴ができるのです

名 称 神奈川県指定天然記念物
師岡熊野神社の
社叢林
(しゃそうりん)
樹種 アカガシなど樹木各種
樹齢&
大きさ
アカガシ4本は樹齢410年 幹周囲 2〜3m  樹高 約20mなど横浜市指定名木古木が9本
所在地 横浜市港北区師岡町1137-1 師岡熊野神社境内
行き方 東横線大倉山駅下車、東口から徒歩10分

樹齢410年アカガシの古木4本のうちの1本は本殿左手に

正面石段を登った右手にも樹齢410年のアカガシの古木が

生い立ち&
見どころ
 師岡熊野神社の創建は奈良時代後期の神亀元年(724年)というから今から1286年前のことです。現代でも関東地方における熊野信仰の本拠地として、また、横浜北部の総鎮守の森として古代から現代に至るまで広く篤い崇敬を受けています。
 
 本殿の周りには横浜市指定名木古木がアカガシ(樹齢410年)4本、アカガシ(同370年)1本、シラカシ(同210年)2本、イチョウ(同370年)1本、イヌシデ(同160年)1本の計9本も生え、由緒ある神社の風格を感じさせます。

 本殿左手の山道の上り口に神奈川県が建てた表示板があります。
 「神奈川県指定天然記念物  師岡熊野神社の社叢林
 
 この樹林はアカガシを中心とした常緑広葉樹林である。アカガシ、スダジイ、ケヤキ、コナラ、ヤブツバキ、モチノキ、ヤブニッケイ、イロハモミジ、シロダモなどが高木層と亜高木層に生育している。アカガシの胸高直径は1.2メートルに及ぶ生育の良い大木である。
 低木層と草本層の種類は少ないが、アカガシ、アオキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ヤブニッケイ、オオイタチシダ、テイカカズラ、ジャノヒゲ、オモト、ヤブラン、ヤブコウジ、マンリョウなどのヤブツバキクラスの種群がほとんどを占めている。
 針葉樹の植栽もみられず、各階層に常緑広葉樹の種群がバランスのとれた形で生育している。
 市街地の中に残された極めて自然に近い林は、郷土林として学術的にも価値の高いものである」

 上記の社叢林は、表示板の脇を上った山道は「みくまの通り」という横木を並べた急勾配の階段になっています。うっそうと木々が茂り、昼なお暗い道。女性の一人歩きは慎んだほうがよさそう。お友だちとご一緒の、いろんな常緑広葉樹や植物の観察に最適なコースとしてお薦めします。

撮影・文 岩田忠利 撮影日 2010年9月.4日


65. カナダ・バンクーバー島のレッドシーダー(赤杉)

幹の裏側に苔がたくさん付着しています

名 称 ポートアルバーニの
レッドシーダー
樹種 スギ科
樹齢&
大きさ
樹齢は確定ではないですが、地元の人たちは200年ぐらいだと言っています
所在地 カナダBC州バンクーバー島北部・ポートアルバーニ
行き方

撮影・文 今泉慶子 撮影日 2010年9月4日


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