その11
題字 書家・新舟律子


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56.旧東海道テクテク旅。藤枝宿の須賀神社ご神木、楠


藤枝の街の変遷を見続けて500年。しっかり根を張ってその周囲15メートル余

名 称 静岡県指定天然記念物
須賀神社の楠
樹種 クスノキ科
クスノキ属
樹齢&
大きさ
推定樹齢500年以上 幹周囲 10.9m; 枝張り東西 21.2m; 枝張り南北 27.9m; 根回り 15.2m; 樹高 23.7m
所在地 静岡県藤枝市水守安楽町 須賀神社
行き方 JR藤枝駅からバス新静岡行、八幡宮前下車徒歩5分

枝葉は天を突く高さ24メートルほど

生い立ち&
見どころ
 「旧東海道を歩いてみよう!」と思い立ち、主人と二人で2007年5月20日、日本橋を出発しました。
 昔の人は、一日約40キロほど歩き、旧東海道53の宿場を江戸から京都まで13日前後で踏破したそうですが、こちらは20キロほど歩くのに、足にマメができたり、筋肉痛に悩まされたり、たいへんな難儀です。めざす宿場を歩いては横浜の自宅に帰ってまた、次の宿場まで自宅から電車で通って、続きを歩き出す。そんな気ままな旧東海道53次テクテク旅・・・。
 
 藤枝宿は日本橋から198.5km、22番目の宿場町です。ここまでの道中、名所や旧跡で何本もの古木や大木、由緒ある名木に出合いました。三島宿の三島大社のキンモクセイのように樹木そのものが、黙って人の世を見続けてきた名物や名所となっています。
 
 須賀神社の御神木、クスノキも
その一つです。森のように見える一角に近づくと枝ぶりも見事な巨大なクスノキ。昔は田中藩の城下町で、塩商人が行き来して栄えていた当時から現在までこの木はご神木として住民に大切にされてきました。枝葉は神社の甍をしのぐ勢い、その樹勢に圧倒されました
 

 須賀神社の近く、太慶寺というお寺さんの樹齢700年「久遠の松」を見ましたが、その見事な姿をカメラに収めず、ここに紹介できないのがとても残念です。

 ※篠山文子さんのホームページ平成の東海道53次」藤枝宿編をご覧ください。

撮影・文 篠山文子 撮影日 2008年1月.25日


57. 旧東海道テクテク旅。藤川宿で出合った、双幹の楠

朱色の鳥居、その先にこんもりとした丸い緑の塊が

名 称 岡崎市指定天然記念物
山中八幡宮の
クスノキ
樹種 クスノキ科
クスノキ属
樹齢&
大きさ
推定樹齢300年以上 目通り幹周り7.7m 
樹高18.5m 
所在地
愛知県岡崎市舞木町字宮下 山中八幡宮
行き方 名電名古屋本線「名電山中駅」から東海道を歩いて約20分
生い立ち&
見どころ
 去年5月に日本橋を発った私たちの旅は、それからかれこれ1年。これまでに320キロ歩いたことになります。いよいよ徳川家康生誕の地、愛知県岡崎市に入りました。そもそも、家康この世にいなかりせば、足にマメをつくって東海道を歩いていなかっただろうに・・・なんて遠い昔に思いを馳せ、ひたすら黙々と歩くのみ。

 そう、家康公の運輸・交通大改革・・・。出発地から目的地まで同じ人や馬が荷物や便りを運ぶのではなく、宿場ごとに人馬を交替して運ぶ“宿場伝馬制度”。それを全国の街道に先駆け、東海道に導入した人、それが家康公でした。それは慶長6年<1601年>のことです。

 そんなことを考えながら名鉄藤川駅と山中駅の中間、国道1号線を歩いていました。ふと、右手を見ると、新緑に映えるこんもりとした緑の塊。それは山中八幡宮のクスノキ巨樹2本が形作る光景です。
 この神社には、本殿の南下に鳩が窟という洞窟が今も残っていて、今から447年前の1536年に起きた三河一向一揆の際、若い徳川家康が逃げ隠れた洞窟として有名です。小高い場所にある、きれいに清められた神社でした。
 藤川宿には家康が幼少のころ修行した法蔵寺というお寺があったり、家康公ゆかりの話が徐々に増えてきます。
 
 ※篠山文子さんのホームページ平成の東海道53次」藤川編をどうぞ!

撮影・文 篠山文子 撮影日 2008年4月.28日

58. 旧東海道テクテク旅。庄野宿、川俣神社のスダジイ


幹はまっすぐ立ち上がり、左右バランスよい枝、半球形の樹冠は剪定でもしたかのようです

名 称 三重県指定天然記念物
川俣神社の
スダジイ
樹種 ブナ科
シイ属
樹齢&
大きさ
推定樹齢300年 樹高約15m、幹周り5m以上 
東西18.6m、南北15.5m
所在地
三重県鈴鹿市庄野町 川俣神社
行き方 近鉄平田駅からバス20分、庄野橋下車徒歩5分
生い立ち&
見どころ
 私たちの行脚は三重県鈴鹿市に入り、いよいよ、あと9宿で念願の京都三条です。この庄野宿は、前の石薬師宿からの距離が25町(2.7Km)と短く、すんなり通過、なんとなく得した気分です。田んぼの畦道をゆっくりと進むと、昔の面影が残る街並みに。

 この地区にはなぜか同名の川俣神社がいくつかあり、ここ川俣神社はその一つ。延喜式内、川俣神社の境内には三重県の天然記念物に指定されているスダジイの木があり、どっしりと存在感あるもの。立ち上がった地上2メートルほどの高さで多数の大枝に分かれ、ご覧のように見事な半球形の樹冠です。これほどの大木をどなたかが立体的に剪定でもしたかのような立ち姿ですね。幹に空洞も枯れ枝も無く、元気はつらつ、躍動感みなぎるものです。
 
 ※篠山文子さんのホームページ「平成の東海道53次」庄野宿編をどうぞご覧ください!

撮影・文 篠山文子 撮影日 2008年7月7日


59.国の天然記念物。都内最大、善福寺「逆さイチョウ」

野球のバットよりはるかに大きい気根が何本も垂れ下がる様は圧巻!

名 称 国指定天然記念物
善福寺の
逆さイチョウ
樹種 イチョウ科
 雄株
樹齢&
大きさ
推定樹齢750年 目通り幹周10.4m 樹高20m
所在地 東京都港区元麻布1-6-21 善福寺
行き方 地下鉄日比谷線「広尾駅」下車、徒歩25分

たくさんの気根が垂れ下がっているため枝が逆さに生えているように見えることが名前の由来ですが・・・

イチョウの枝葉が境内を覆う。左下は親鸞聖人の銅像。その左に福沢諭吉夫妻の墓、歌手越路吹雪の碑などがある

生い立ち&
見どころ
 連日の猛暑。きょうも太陽がジリジリ照りつけるなか、日比谷線広尾駅を降りめざす元麻布・善福寺を探し通行人や交番で道を尋ね、ようやく参道入り口「麻布山前」に辿り着きました。「麻布山」は善福寺の山号、この名が現在の「麻布」の地名になったという名刹です。
 参道右側には金蔵寺・真福寺・善正寺、左側には光善寺・善光寺・善通寺・専光寺・西福寺と、八つの寺を従えるように建つ、大きな名刹であるのには驚きました。杉並区の善福寺は当寺の奥の院だったとか。東の浅草浅草寺と並ぶ、西の善福寺と言われていたそうです。

 山門をくぐってすぐ左の墓地の中に「逆さイチョウ」の巨樹。昭和20年の東京大空襲で本堂が全焼した際、このイチョウの木も被災と聞いていましたので、老樹の傷みを心配していましたが、眼にしみるような鮮やかな緑の枝葉を威勢よく青空に広げ、元気です。
 この巨木をカメラに収めようとバックすると、足元に歌手・越路吹雪の碑。私の背後、逆さイチョウといつも対面しているかのような位置に慶応義塾の創設者・福澤諭吉夫妻の墓がありました。
 2月3日の命日は慶應関係者の墓参で賑わったり、とくに受験シーズンは慶應受験の若者がたくさん訪れるそうです。
 
 「名木古木」を訪ねて回る小さな旅は、行く先々で意外なものと出合い、今まで知らなかった新しいことを発見する、刺激的な旅であることが分かりました。
 
 さ〜て次は、30分ほど歩いて日比谷線六本木駅に出て、日比谷公園の大木をめざします。

撮影・文 岩田忠利 撮影日 2010年8月.28日


60.都民に慕われる、日比谷公園の「首賭けイチョウ」


根元から直立した姿は美しい!

名 称
日比谷公園の
首賭けイチョウ
樹種 イチョウ科
樹齢&
大きさ
推定樹齢350年 目通り幹周り6.5m 樹高21.5m
所在地 東京都千代田区日比谷公園 松本楼前
行き方 日比谷線「日比谷駅」下車、14番出口から徒歩1分

首賭けイチョウの周りにはきょうもテラスで食事する人、スケッチする人、私のように写真を撮る人、たくさんの人たちが集まります

生い立ち&
見どころ
 日比谷公園は霞ヶ関官庁街の緑のオアシス。土曜日の昼下がり、レストラン松本楼のテラスにOLや家族連れが賑やかに食事中。イチョウの木の周りにはキャンパスを立てた女性6人が一心に絵筆を走らせています。みな、このイチョウの大木の魅力に引き寄せられた人たちです。

 根元にある表示板によると、この大イチョウは昔の日比谷見附(現在の日比谷交差点)にありました。
 今から111年前、明治32年(1899年)、道路拡張工事で切り倒されるところでした。その現場を見た、日比谷公園の設計者、本多静六博士は東京市参事会(現都議会)の星亨議長に面会を求めて樹木の大切さを力説、480メートル離れた現在地に移植させました。
 これほどの大木が根づくかが疑問視されましたが、本多博士は「首にかけても移植させる」と強調し実行、それが見事に活着し成功しました。以来、この大イチョウは「首賭けイチョウ」と呼ばれています。

  ちなみに本多博士が手がけた公園は日比谷公園、北海道の大沼公園、福島県の鶴ヶ城公園、埼玉県の羊山公園、明治神宮、長野県の臥竜公園、石川県の卯辰公園、福岡県の大濠公園など多数。

撮影・文 岩田忠利 撮影日 2010年8月.28日


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