その10
題字 書家・新舟律子


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51. 日本三大桜のうち最も人気が高い、三春滝桜

毎年4月中・下旬に四方に広げた枝から薄紅の花が流れ落ちる滝のように咲き匂うことから、「滝桜」の名があると言われます
名 称 国指定天然記念物
三春滝桜
樹種 バラ科
サクラ属
紅枝垂れザクラ
樹齢&
大きさ
目通り幹周り9.5m 樹高13.5m 樹齢1000年以上
所在地 福島県田村郡三春町大字滝字滝久保
行き方

JR東北新幹線・郡山駅下車・乗り換え(東京⇔郡山・約80分)。郡山駅で磐越東線に乗り換え、三春駅下車(郡山⇔三春・約13分)。4月10日ころから駅前から花見の臨時バスが運行。大人1000円で何度でも乗り降りできます。


小雨降る早朝の滝桜。角度を変えると、また“異なる美しさ”を見せてくれます
生い立ち&
見どころ
 「日本三大桜」といえば福島県三春滝桜、岐阜県根尾谷の薄墨桜、山梨県山高神代桜ですが、最も人気の高いのがこの三春滝桜・・・。

 江戸時代の天保年代(1830〜1843)、国学者で家人の加茂季鷹(かものすえたか)がこの滝桜の美しさを短歌にしたことからその名が広く知れわたり、三春藩主の御用木として保護されました。
 1000年を超える風雪に耐えた巨樹であるだけでなく、樹高は12m、根回りは11m、幹周りは9.5m、枝張りは東西22m、南北18m、四方に枝を広げた紅枝垂桜の美しさと貫禄は、まさに日本の桜の代表格です。

 大正11年(1922年)上記の桜2本とともに国の天然記念物に指定され、平成2年(1990年)には「新日本名木100選」の名木ベスト10に選ばれ、桜の名所ランキングでは常に第1位の評価を得ています。

 私が訪れた前年、平成17年(2005年)1月の大雪で枝が十数本折れる被害に見舞われたことは大変残念でした。しかし、写真のようにその優麗の美は筆舌に尽くしがたいものがありました。


撮影・文 堤 英 撮影日 2006.04.29

  

52. 三春町で特に人気の高い、三春の福聚寺桜


竹林をバックに枝を大きく垂れる様は、迫力満点!
名 称 福島県三春町名所100選
福聚寺桜
樹種 バラ科
サクラ属
紅枝垂れザクラ
樹齢&
大きさ
樹齢推定470年 
所在地 福島県田村郡三春町大字滝字御免町
行き方 JR東北新幹線・郡山駅下車・乗り換え(東京⇔郡山・約80分)。郡山駅で磐越東線に乗り換え、三春駅下車(郡山⇔三春・約13分)。4月10日ころから駅前から花見の臨時バスが運行。大人1000円で何度でも乗り降りできます
生い立ち&
見どころ
 竹林の中にある大きな枝垂れ桜の2本。 この福聚寺(ふくじゅうじ)は芥川賞作家の玄侑宗久さんが住職を務めておられるお寺、また三春藩主の田村家の墓所もある大変由緒ある寺院です。境内の2本の紅枝垂桜は、三春町内2000本の桜の名木の中でも特に人気の高い桜です。
 
 見頃は4月中旬から下旬。静かなお寺の境内へ枝を大きく垂れる姿はバックの竹林の濃緑色にアップされ、前面のソメイヨシノの淡い桃色とのコントラストと相まって一段と美しさと迫力を増しています。
 
撮影・文 堤 英 撮影日 2006.04.29

        

53. 滝ざくらの“娘”、田村家の枝垂れ地蔵桜


滝桜の娘は、御年400歳です
名 称 福島県三春町名所100選
田村家の地蔵桜
樹種 バラ科
サクラ属
紅枝垂れザクラ
樹齢&
大きさ
樹齢推定400年
所在地 福島県田村郡三春町大字滝字高野
行き方 JR東北新幹線・郡山駅下車・乗り換え(東京⇔郡山・約80分)。郡山駅で磐越東線に乗り換え、三春駅下車(郡山⇔三春・約13分)。4月10日ころから駅前から花見の臨時バスが運行。大人1000円で何度でも乗り降りできます
生い立ち&
見どころ
 滝桜のある所の東隣、旧庄屋だった田村家屋敷内に7本の紅枝垂れ桜があります。紅枝垂れの薄紅色の花が菜の花の黄色に映え、一段と際立って見えます。
 この木は滝桜の子苗といわれ、地元では樹齢推定が400年ながら“娘”と呼ばれています。
 
 今は滝桜の近くの畑には苗畑があり、滝桜の“子ども”として全国各地へ記念樹や街路樹として買われていきます。桜の苗木には「接木もの」と「実生もの」がありますが、どちらにも一長一短。 接木苗は接いだ木と同じ花が咲きますが、寿命が短い。実生苗は寿命は長いが、親木と同じ花が咲くとは限らず、その同じ花の確率は3割と低い。

 滝桜の子が親の血を継ぎ、400歳。“彼女”の、ますますのご健勝を祈ります。
 

撮影・文 堤 英 撮影日 2006.04.29



54. 関東では珍しい、鎌倉宮のオガタマノキ(招霊の木)

地上3メートルほどの高さに〆縄
名 称 鎌倉宮の
  オガタマノキ
樹種 モクレン科
オガタマ属
樹齢&
大きさ
樹齢推定約130年 目通り幹周り4m 樹高約20m 
所在地 鎌倉市二階堂154
行き方 JR横須賀線「鎌倉駅」から岐れ道を左折、徒歩15分

 

幹に空洞も枯渇もなく、綺麗な木肌
 
生い立ち&
見どころ
 鎌倉宮は後醍醐天皇の皇子・大塔宮護良親王[おおとうのみやもりながしんのう]を祭神として、1869年(明治2)明治天皇により創建された神社です。鎌倉幕府が倒れ、親王は建武中興で征夷大将軍となりましたが、足利尊氏と対立してこの地に幽閉され殺されました。
 
 広い境内のかたわらにオガタマノキ(招霊の木)が立っていました。これほど太く、背の高いオガタマノキに出合ったのは初めて。幹に空洞も枯渇が全然なく、樹勢はすこぶる良い木です。
 そもそもオガタマノキといえば、関東以西の太平洋側に自生する木。この木の枝が神事に使われることから関西・四国・中国・九州地区の神社によく植えられていますが、関東では大変珍しい木です。
 
 神楽『高千穂の舞』は、天照大神が天岩戸に隠れられた折、岩戸の前で天鈿女命(巫女)が調子よく面白く舞ったのが始まりで、このとき女命(巫女)が手にしていた鈴がアガタマノキの実といわれ、関東以西の神社に植えられるようになりました。

 この木も鎌倉宮創建時の明治2年(1869年)に植樹されたことが推測できます。
 

撮影・文 石川佐智子 撮影日 2010.08.17



55. 樹齢2000年、国の天然記念物。中川の箒杉 

バス停「箒杉」を降りると、樹高45メートルの巨木が目に入り、疲れも暑さも吹っ飛んでしまいました
名 称 国指定天然記念物
中川の箒杉
樹種 スギ科
樹齢&
大きさ
推定樹齢2000年。樹高約45m 目通り幹周り約12m、
根廻り18m
所在地 神奈川県足柄上郡山北町中川702
行き方 小田急線「新松田駅」下車 富士急バス「西丹沢行き」に乗車し約1時間、バス停「箒杉」下車、徒歩2分  ※ バスは1時間に1本です。
 幹の太さ12メートルに近づくと圧倒されます

御年2000歳というのに、枝も葉も威勢よく、この箒杉は不死身のようです
生い立ち&
見どころ
 「国指定天然記念物」とはどんな樹木かと興味津々、新松田駅からバスに乗り、丹沢湖からバス停十数個を過ぎ、山北町の中川温泉まで行って来ました。
 静かな山間の中、バス停「箒杉」で下車すると、あっと驚く大きな木が目の前に凛と立ち、疲れが一気に吹き飛びました。

 樹齢は神奈川県内で最高齢と推定されています。当然、国の天然記念物で、圧倒されるほどの高さと幹の太さがあり、枝もまだまだ元気です。 
 
 この地域は江戸時代、杉、ヒノキ、ケヤキなどの伐採が禁じられており、緑多い地区でありました。 しかし、近年になり、杉のある斜面の杉林までが、ほとんど伐採され、今では茶畑に変わっています。
 そのため昭和47年の丹沢集中豪雨の時は、宝木沢一帯に土砂崩が発生、多くの樹木が流されました。しかし、ただこの箒杉だけが残り、土砂崩れを防いでくれました。もし地中深くしっかり根を張ったこの箒杉がなければ 土石流の被害はもつと大きくなったといわれています。それ以来、この箒杉は宝木沢の集落を救った杉として地元民から感謝され、今では地元の“御神木”として大事に守られています。

 「ほうき」杉の名前の由来は、この地の地名 「宝木沢」からとったとも、また樹形が箒に似ているところからきたとも言われています。 
撮影・文 石川佐智子 撮影日 2010年8月24日



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