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第10信 日本とカナダの関係(その1)         2007/04/27
カナダにとって日本は2番目に大きな貿易相手国
 前号では「桜は日加友好のシンボル」とご紹介いたしました。今号は日本とカナダの関係(その1)と題し、私のバンクーバー滞在4カ月間に見聞きしたことを取り上げます。
 駐日カナダ大使館のウェブサイトには、日本・カナダ関係の概要として;
<カナダと日本は、過去75年以上にわたりビジネスパートナーとして、より良い世界の構築を目指して協力し合い、太平洋を挟んだ隣国としてダイナミックな関係を保ってきました>。
<2国間貿易は1950年代以降急激に拡大し、今日カナダにとって日本はアメリカについで2番目に大きな貿易相手国となっています>。
<1970年代からは、文化・学術交流も順調に増え、また1990年代からは各界・各層における交流も活発になりました。安全保障とODAにおける政府レベルの2国間協力は緊密度を増しております>。

1986年バンクーバー万博会場と北方の山々




カナダの国技でもあるアイスホッケーは「氷上の格闘技」といわれる激しいスポーツ。さる 4月24日はアメリカのアトランタとバンクーバーのプロアイスホッケーリーグ戦があり、 市内は大騒ぎとなりました。

横浜はバンクーバーとの姉妹都市
 この2国間協力は経済人や政府関係者はもとより、学者、アーティスト、若者、そしてあらゆる分野の人々によってエネルギッシュに推進されております。市民レベルの姉妹都市関係の構築は、横浜市・バンクーバー市をはじめ、千葉市・ノース・バンクーバー市、軽井沢町・ウィスラー町、箱根町・ジャスパー町など、72の姉妹都市・友好都市関係があります。
 横浜市とバンーバーの姉妹都市のケースは、バンクーバーに住む日系カナダ人から強い提案・要望が出され1965年に提携されました。今でも市立高校生の交換留学制度、ブリティッシュ・コロンビア大学と横浜市立大学との学術交流、図書交換など地道な交流が続けられています。なお、横浜港とバンクーバー港は姉妹港。また本年は横浜・バンクーバー航路開設120周年を迎える記念の年です。

 駐バンクーバー日本総領事館。首都オタワにはりっぱな日本大使館の館があり、日章旗を建物に掲げているでしょうが、こちらは総領事館のため市内のビルの8~9階にあり国旗を掲揚する状況にありません。
 

 新渡戸記念公園。以前の5000円札の肖像画の新渡戸稲造博士が、1933年にバンフで行われた国際会議の帰途にビクトリアで亡くなりました。博士を偲んで1960年に造られた庭園です。市内にあるブリティッシュ・コロンビア大学の校内に位置しております。

暮らし易さから多くの日本人シニア在住
 アメリカのマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングの最近の調査で、世界で最も高い「生活の質」を楽しめる都市の発表がありました。
215の世界の主要都市をリストに挙げ、39のカテゴリーを設定し、様々な角度から評価を下したもの。総合評価でトップはチューリッヒ、2位がジュネーブ、僅差で3位にバンクーバーが入り、トロント15位、オタワ18位、モントリオール22位、カルガリー24位となっています。
 バンクーバーの人口は約300万人ですが、駐在員、移民などを含めた日本人は1%の3万人と言われています。私の日本人の知り合いに、日本の商社、メーカー、航空会社などを定年退職しカナダ永住権を取得して現在バンクーバーに住んでいる方が数多くいます。
 しばらくは日本に帰国する考えは無く、またすでにお墓を用意している方も多くいらっしゃいます。55歳以上の入会資格で退職移住者を対象にした「桜楓会」は、現在150人ぐらいの会員がいて、音楽鑑賞・講演会・バス旅行・ゴルフ大会・健康講座・新年会・忘年会・マージャン大会などのイベントを通した会員間の親睦を図っています。私は移住者になるための経済的なバックボーンと勇気がありませんが、早速お仲間に入れていただきました。カナダの生活のし易さに加え、このようなグループが存在し活動を通じ会員の皆さんが有意義なカナダ生活を享受できるからなのでしょう。特別入会させて頂いたご恩を感謝しつつご紹介いたします。

 去る4月21日ブリティッシュ・コロンビア大学のアジアン・センター図書館で図書館のオープンハウスで、日本の文化が紹介され、詩吟朗読、書道、日本舞踊のパーフォーマンスが披露されました。




 ダウンタウンの外れの幹線道路に「KURUMAYA」という中古車販売・修理をしているクルマ屋さんがありました。日本人経営者かどうかは分かりませんが、屋号から日本人を目当てにしていると推察されますが・・・? かなり日本人ばかりでなく、手広く商売をされているように思います。




 こちらは、東京でいえば小銀座、ロブソン通りのほぼ中央にある「コンビニや」です。1階の入り口は狭いのですが、2階にも展開しており、日本の食料品はもとより、DVD・CD・本・古本・雑貨・カラオケ・へアーサロン、引越し、プレーガイド、旅行、さらに掲示板など、すべて日本語で対応できます。これは屋号も、扱い商品から日本人向けのコンビニエンス・ストアーの総本山的存在です。

日本人も移民すれば立派なカナダ人
 外国人がカナダで暮らし易さを感じる要素として、人種を問わず隣近所の人と仲良く生活ができると同時に、国籍の同じ人同士が楽しく、気分良く日常生活ができる周りの理解も大切です。土地の風土、地域の風習、環境が大きく影響するものです。
 カナダは移民の国と言われ、多民族・多文化国家です。公用語は英語とフランス語のバイリンガルであり、単純にカナダ人の出自と申告する人々は人口の19%と少ない。純イギリス系が17%、純フランス系9%、先住民族の北米インディアン、イヌイットは3%、中国人・韓国人・日本人を含めたアジア人が26%、その他の26%は少数民族と混血のため数字は見当たりません。民族の強烈なナショナリズムやイデオロギーから誕生した国ではないのです。つまりカナダでは日系移民の人は決して外国人でなく自国民として生活ができる国なのです。日本では、どうでしょうか?

 ダウンタウンから10数キロ郊外のニューウエストミンスター(元州都)にある日本人牧師の教会です。日曜には日本語の礼拝と同時に英語による礼拝が行われており、常時40~50人の日系移民が参加されています。
 

 通常の礼拝前に子供向けの賛美歌を歌う時間でギターも入っているのでびっくりしました。




 日本発祥の学習塾が進出しており、日系2世を対象にしているとは限らないようです。


 バンクーバーに住んでいる、ある画家の展覧会のオープニング・パーティーに行きました。そこには日本人のギターとカナダ人のサキソフォンのバンドが軽快なジャズを奏でておりました。


 追伸
 先々号は私の家内のレポートでしたが、多くの方から「女性のレポートが良い」、「身近に感じる」との声がありました。お世辞とも受け取れますが、次号以降考慮させていただきます。(ヒガンでいる訳ではありませんので、念のため!)。
 

第9信 待望の北国の春、到来!             2007/04/01
暦の上ではもう春になって1カ月が経ちました。当地もやっと春めいてきました。日本で私が住んでいた所では「猫」が春の到来を告げてくれたとも記憶しています。
港町バンクーバーでは、動きが妙に活発になっているカモメや鳩がその役割をしているように感じます。日本と違って、カラスは生存競争の末、“メージャープレイヤー”ではないようです。

日本色一色、「バンクーバー桜祭り」
今週には関東地方で桜の満開の便りが聞こえてきています。バンクーバーでも3万6000本もの桜がこの街の春のシンボルとなっております。ワシントンのポトマック河畔の桜に負けません。
昨年に引き続き「第2回バンクーバー桜祭り」と称し、去る3月22日に市長、日本総領事が参列のもと、イベントの幕が開けられました。当日は生憎の雨模様でしたが、満開の桜の下で、和太鼓の演奏、裏千家のお茶会や日本舞踊の出し物・・・。群集の中に居ると、しばし海外に居る自分を忘れてしまいます。4月21日までの1カ月間、バンクーバーの各地で英語の“Haiku”コンテスト、フォトコンテストを始めとし、レガッタ、生け花、寿司作り、日本書道、折り紙のワークショップなどが企画されています。
ところで、この祭典の”Haiku” コンテストの本年度の最優秀作品に選ばれた4点は
カナダ人の作:   Street Hockey Young Boys Shoot Cherry Petals Into The Net
アメリカ人の作:  Cherry Blossoms in Every Upturned Face a Child’s Eyes
ポーランド人の作: Cherry Blossoms Just a Little Piece of Blue Sky
ユース の作:   Glistening On The Field’s Dew Cherry Blossom Light
と発表されております。講評は皆様各自でどうぞ!

桜は日加友好のシンボル
バンクーバーの桜は,1930年代初頭に横浜市と神戸市から500本の桜の木が贈られたところから始まるそうです。これは第一次世界大戦で戦死した日系カナダ人の鎮魂のためにスタンレーパークに植樹されました。
その後、1958年当時の在バンクーバー日本総領事館が両国の永遠の友好関係を願って約300本を市に寄贈。そのころから日加友好のシンボルとして桜が植えられました。それから半世紀、まさに街が一斉に薄いピンク色に染まった感がします。あの長かった冬の鬱陶しい雨よ! しばらくオサラバを!

こんな光景、こんなスポットに出くわしました!
バンクーバーという街は、多くの人から暮らしやすいと評価されておりますが、どこの国、どこの地方、どこの町にも長所と短所はつきものです。敢えて短所とも言える部分も含めて報告いたします。

その1
ペットが残す“お土産の処置”をしない人に対する注意書きは「罰金500ドル(約5万1000円)以下」という立て看板。しかし、改正され現在は「2000ドル(20万円)以下」になっているようです。現実には罰金を科せられるようなことは滅多に無いことと思いますが・・・。東京、横浜あたりと比較して、当地の方が整然としていると思われます。

その2
Starbucks Coffeeの発祥の地はここから150キロも離れていないシアトルであるせいか、街の至る所に乱立し、他を圧倒しています。一番の繁華街のロブソン通りの中心的な交差点内に2つのスタバー(スターバックス)があり、一方の店に入り、筋向いの店を写しております。

その3
同じ位置からの写真に、いつの間にか現れた「物乞い」の若い、あどけない女性・・・。家出をしたのか、もしくは金には不自由しない家庭からの社会勉強の経験のためか? 早く自立をして、生業に就き、立ち直って欲しいと思いましたが、残念ながらドラッグの常習犯のようでした。街や駅では帽子を逆さに置いて金を求めたり、平気で ”Change ?”と言って通行人に近寄って来ます。
日本(東京)でも街中でホームレスの人を時々見かけますが、カナダではバンクーバーが一番ホームレスの数が多いと言われています。気候と市当局の対応の違いに拠るものだそうです。

その4
左側のウクレレを弾く男。一人で日向ぼっこをしながらウクレレを弾いていたところに、不貞の輩とおぼし者が近づき、1つのウクレレを楽しそうに交互に弾き出しました。そのうち、なぜか、その輩は立ち去りました。本当の狙いは何だったか分かりません。同性結婚が認められている国です。


第8信 マダム悠美子さんが見たカナダ人の暮らし   2007/03/21
私はヒデ坊の妻です。第8信は岩田会長からのお勧めで、女性・主婦の立場からバンクーバーにおける市民生活に関するレポートを書くことになりました。


ノイローゼ防止の施設

 こちらの冬はほとんど毎日が雨の日で、もうウンザリでした。3月に入り、やっと陽の光りが差し込む日数と時間が多くなりました。
 この頃、あちこちで花のつぼみがふくらみ、もうすぐ花が咲きそうです。なんと待ち遠しかったことでしょう。
 冬(11月ー2月)の悪天候のため、多くのマンションにはプール、ジム、卓球台、ビリヤード台などの設備があります。ノイローゼにならないための必需品なのでしょう。
 しかし、こちらの友人の話では、プールの殺菌剤が強くて水着の色落ちが激しく、高価の水着の着用は止めた方が良いそうです。

所変われば、品変わる
さて、私は主婦の立場から毎日のように行っているバンクーバーのマーケットについてレポートしましょう。
 まず、日本食は米・味噌・醤油をはじめお菓子の類まで、すべて手に入ります。でも、日本の2倍ぐらいの値段になっています。そして、なんと野菜の大きなこと!! 
ナス・ズッキーニ・キュウリは30センチくらい、ピーマンも人の手ほどもあります。
どんな肥料をやっているのかが心配です。それとも、種類が違うのかもしれませんが・・・。
「ファイヤー・ドラゴン・フルーツ」といって、炎のような赤い美しい20センチくらいの果物があります。切ると、なんとスイカと反対の色です。皮が赤く、食べるところが白く小さいゴマのような種が沢山あります。味は、うっすら甘いだけ。1個300円くらいです。

「Star Fruit」といって、切り口が星の型になります。シャキシャキとして淡白なリンゴのような感じです。ちなみに「FUJI」というリンゴもあり、日本のと同じ種類でとても美味しいです。

魚売り場に行ってビックリ!!
 大きな水槽が沢山あり、カニ、エビ、魚、貝類(アサリ、ムール貝、つぶ貝etc.)が生きた状態で売っているのもあります。好きなのをザルに入れ、重さを量って、カニなら半分に切ってもらいます。すぐ熱湯で茹でて食べると、とても新鮮、甘いのです。値段は20センチほどの甲羅のカニで900円ぐらいの安さです。ムール貝は、フライパンに入、蓋をして蒸します。そして玉ネギ、トマトをすりおろして、塩・胡椒、ほんの少々ニンニクも摩り下ろします。それを混ぜたのを少々つけて食べると美味しいと店の人に聞きました。お試しください。
 各家庭にカキをこじ開ける道具があります。少々の玉ネギ・トマトの微塵きりに塩・レモン汁をかけて食べてください。日本のようにゴロンゴロンしているのと、ヨーロッパに有るようペラペラなのと2種類あります。

赤とグレー、2種類のポスト
 通常の赤いポストの他に、道路の所々にグレーのポストのようなものがあります。このグレーの箱にはレターなどを入れられる口は見当たらず、しっかり鍵が掛かっています。
 こちらの人に尋ねますと、これは大きく地域別に車で郵便局員が来て、レターなどを郵便番号別にドサーッとグレーのその箱に入れて行き、それを地元の郵便配達人が各家庭に配るシステムになっているようです。

日本人と異なるファッション感覚
 女性、男性共にファッションセンスは絶対に日本の方が優れています。多くの人がレストランでも、ジャンパーとパンツで行くし、スーツ姿の人はめったにお目にかかれません。私の知人(男性)も「いま仕事から抜け出して来た」と言っても、ジャンパーにジーンズ姿でびっくりしました。不動産関係の仕事の方です。
 また、私の友人のご主人(カナダ人)は「SHAW」という通信関係の会社に勤めているサラリーマンですが、やはりジャンパーにスラックスで出勤なさるそうです。
 日本に居た時のように、おしゃれして出掛けると浮いてしまいますので私もセーターにスラックス姿でレストランに出かけられ、気楽ですが、ちょっぴり拍子抜けしてしまいます。
 ダウンタウンの中心に出ますと、フランス、イタリアの有名ブティックのお店はちゃんとありますが、お客さんの入っている店は、あまり見かけられません。
 ブランド品を持っていても誰も無視!! 猫に小判のような気がします。でも、
「日本へ帰るまでに何かを・・・」と心の隅で計画をねっています(私は免税で買えるので)。

言語は英語とフランス語だそうですが
 カナダ東部のケベック州ではフランス語しか喋りません。世界的に有名なあのタイタニックの映画のエンディングソングを歌ったセリーヌディオンが、この州の出身ですね。このバンクーバーでも交通標識や色々な商品には必ず英語とフランス語が併記されています。
 しかしどうもフランス語を話す人は余り居ないようです。小・中学校でも第2国語(?)が必須科目のようですが・・・。バンクーバーはイギリスの影響の方が大きいのです。
 多分、カナダ最大の都市、トロントの方に行けばフランス語が通じるのではないでしょうか?

日本と違うバンクーバー、エトセトラ

1)交通ルールは車右側通行で右折する車は赤の信号でも歩行者が居なければ右にすぐ曲がってもOK。
私のように慣れない歩行者にとっては「危ない!」と、ドキッとする場面がたびたびあります。

2)陽の光を求めて、また、地震が無いということで壁がほとんど無く、全部がガラス張りと思えるようなマンションばかり。友人の家は28階という物凄い高さ。そして床からすぐガラス。どこかがムズムズして生きた心地がしませんでした。地震のある国で育った私たちは熟睡できないでしょうね。
 そのガラスはすべてペアガラスで3センチほどの真空の空間があるので、音と外気温が部屋に伝わらないようになっています。今の日本のマンションもそうなっているのでしょうか?
 
3)空気がきれいなことと人混みが無いということで、空気中に雑菌がないのです。
寒い所へよく外出していますが、喉のエガエガ感がないし、まだ風邪も引いていません。

4)電車やバスの中でも、携帯電話のおしゃべりはOKのようです。まぁ、自由の国ですから大きな声で話したり笑ったり・・・。バスの後ろの席でそれをやられると、煩くて大変です。
 また、バスの運転手さんは乗客と普通に会話をしています。ある日、真っ赤なジャケットに白髪のショートへアーの素敵なマダムがバスを降りるときのことでした。と、下車口に座っていた同年輩のオジ様が、皆にも聞こえる大きな声で、マダムに「君はなんて素敵なんだ!赤いジャケットが良く似合っているよ!」「あら~、そう~、どうもありがとう!」と言ってバスを降り、オジ様に手を振っていました。なん素敵な場面でしょう。日本では見られない光景ですね。微笑ましいと言うか? 自由と言うか?

5)私は近くの図書館へよく行き、そこで本を読んだりします。 一度に4冊を3週間借りられます。
アジア人はお行儀が良く、椅子に腰掛けて読んでいますが、こちらの人は椅子が空いているにも拘わらず、なんと床にゴロンと寝転んで本を読んでいることが多いのです。なんと自由奔放なのでしょうか。日本人には到底、真似ることはできませんね。
 

第7信 バンクーバー交通バリアフリー(バスの巻)   2007/03/07

路線バスには長距離バスと市内バスに分けられます。また、市内バスには日本の“ちいバス“
に相当する小型の近距離市内バス、また昔からの高床式で旧式のバス・電動のトロリーバス(二両連結式も含む)もあります。運賃は市内電車(スカイトレーン)と丸っきり同じでゾーン体系で、ワンゾーン2.25ドル(約250円)、ツーゾーン3.25ドル(約350円)、スリーゾーン4.5ドル(約470円)であり、市内電車との乗り換え自由。
シニアー(65歳以上)・子供は、それぞれ1.5ドル(約160円)、2ドル(220円)、3ドル(約320円)と格安。なお、土曜日、日曜日はグレートバンクーバー内であればすべてが最低運賃のワンゾーン運賃となります。
今回バリアフリー対応のバスとして取り上げたのは、市内バスの新型の低床式バスで、サービスエリア全体に占める割合は25~40%ぐらいと思われます。バス時刻表には路線毎のバリアフリーサービスの可否が明記されています。


バスの運転手さん 気は優しくて力持ち!!
乗客を乗せ始めるまでは、[SORRY]と[Not In Service] の表示。さて、乗客を乗せる場合、前方車輪のエアサスで10センチぐらい車高を下げ、乗り降りをし易くする。 10センチほどステップが低くなるので、歩道の高さを利用して乳母車も赤ちゃんを乗せたまま、後に続く乗客をほとんど待たせずにスーっと乗車できます。 埋め込んだ四角い硬い板が、運転台の方からせり上がり、歩道の上に橋渡しのように乗り込み、スロープとなる。
 
車椅子乗り込み その1
その上を車椅子が滑らかに昇るように乗車。乗車後は、2つある車椅子の専用のコーナーの1つに本人は乗ったまま納め、運転手が車椅子をベルトで固定する。 運転手が作業の確認が済むまでそのスロープに使った四角い硬い板を立てたまま、通常の乗客の乗り込みをストップ。
 
車椅子乗り込み その2
友達と一緒に、これからバスの乗り場へ。ちょっとその前にコーヒーを友達に頼んで買ってもらった。 バスが到着して、運転手が車椅子のまま乗り込めるように橋渡しのスロープを操作中。 ステップ盤にそのまま乗り込む。その後は、バス車両内の専用スペースで二重のシートベルトを友達が掛けてくれました。私は車内まで尾行すればストーカーと間違えられるといけないので、ここでお見送りしました。
 
車椅子乗り込み その3
重度の身障者用の担架とも言えそうな2台の車椅子を2人の付き添い(看護士でしょうか?)と運転手が連携プレーで手際よく。
 
車椅子乗り込み その3 車椅子降車のケース
2台の車椅子は左右に別れ、車椅子専用コーナーで備え付けのシートベルトでタイダウン。運転手が手馴れた作業で極めてスムースに。(車内に入れないため外から覗くも、ハッキリ撮れていません) 到着したバスの最後に降りる乗客ですが、運転手に付き添いされて歩道に。電動の車椅子ではなく、手動でした。おばあさんは、慣れないのか・・・細い手でマーケット方向に自力で動き出しました。私はその車椅子を押してあげようか、どうしようかと思案していたら、若い青年がおばあさんに近づき声を掛け、50㍍ほど先のマーケットの入り口まで押して、その後は立ち去りました。 日本人の私にできることはないだろうか? と思い、マーケットの中に入ってみました。
 
車椅子降車のケース
マーケットの中は手動でスムースに動いて、自分のペースでショッピングを楽しんでおられました。 困っている様子もない。 ところで、彼女の帰りのバスまで尾行を続けようかと思案しました。しかし、この辺で・・・。 なぜか車椅子に管理番号がついている。多分右足首の骨折で、治るまでの間、車椅子のリース屋所有の車椅子なのでしょうか? 早く骨折が治れば良いね・・・と念じておばあさん、さようなら!!
 
 
運転手さん、お疲れさま! また、ひと働きの前の休息!
2時間ぐらいの担当区間の乗務が終わり、次の担当区間の運転開始までの休息。お客様にはご迷惑を掛けないよう少し離れた所で一服。制帽でなくテンガロンハットが印象的でした。 担当区間の折り返しのようですが、前便到着しだい、お客が乗り込み、本来乗車料金を収受したり、定期券をチェックしなければならないのでしょうが? 一服しながら、これから先の道路混雑情報のチェックでしょうか?  乗客は自己申告ですでに乗り込みました。まだ気温は8度C以下ですが、寝ぼけ予防の安全運転のため(?)半ズボン、半袖で運転台へ。
 
 
少々の故障修理は後にして、まずは庶民の足の確保を最優先…
バスの中の自動改札/乗車券発売機は故障( Out Of Service)ですが、直してなんか居られない。通常、硬貨のみの器械が収受して、お釣りも出せません。運転手は監視だけでノータッチ。この時乗り込んできた眼鏡の彼女の顔には、運賃無料のバスを不思議がった様子はうかがえませんでした。
 
その他スナップ写真
その一 その二 その三
“ちいバス”に似ており、こちらでは「Community Shuttle Operators」と呼ばれ、特定短区間を走る約20人乗りのバスですが、料金体系運用時間等は普通のバスと同一。バスの後方には、車椅子を吊り上げる装置があり、収納する特別なコンパートメントがあります。
後方は、カナダ国内を横断するVIA鉄道やアメリカへ行くアムトラックが発着するパシフィック・セントラル駅。この駅舎に寿司屋さんが一軒あります
無料で自転車まで運んでくれます。車椅子利用者とは反対にバス区間はバス利用し、元気良く自転車通勤でしょうか? バンクーバー市民にとっては、日本の駅周辺の放置自転車問題などは考えられないでしょうね。バス時刻表に路線毎の自転車の搭載可能なタイプのバスか否かかが明記されています。 日章旗を掲げた日本の右翼とは違うようです。でも、カナダ国旗をなびかせて、なんとなく勇ましい車椅子の示威行進という感じです。
 
<所感>
このバンクーバーのバリアフリーと同様のシステムを、日本のような人口密度の極めて高く(産業・文化の集積度も高いでしょうが)、既にそれなりの都市計画が進行してしまっている国で実現することは、トテモ考えられないですね。
歩くことの不自由な人が、格安に且つ他人に頼らずして享受できる福祉のレベルの差を痛感します。
第6信の「電車の巻」も同様ですが、狭い国土を責めてもどうしようもない。何十年前から検討されている“首都機能の移転”が仮に実現できたとしても、トテモこのシステムを導入することは困難でしょう。絶望感を感じざるを得ません。
しかし、現在の世界第2位の経済大国日本を維持・発展させながら、格差社会の是正に向け、時間とコストは掛かっても日本に合った地道な工夫・改善・改革をすることが求められていることでしょう。
なお、ハッキリしたデーターが無いのですが、この交通システムは相当の赤字経営であるとの噂です。時間をいただき、内容を精査したいと思います。
 


第6信 バンクーバー交通バリアフリー(電車の巻)   2007/02/20

車椅子のおばあさん、独り電車に乗って買い物に・・・
    Sky Trainのメトロタウン駅からブロードウェイ駅まで約8キロ
フィルムの各コマをクリックすると拡大した画像が別ウインドウでご覧頂けます。
ブラウザーにInterNetExplorerをお使いの方は文字サイズを”中”以下でご覧下さい”大”以上では画像と説明文の配列が崩れます。(WEB管理人の技量不足で今後の課題とさせて頂きます)

ある快晴の日、郊外のバスセンターで一人の車椅子のおばあさんを見つけました。2月になってもサンタの帽子でした。
付き添いが居ないのですが、その小さな電動車椅子のスピードは速く、私は駆け足しなければ追いつきません。駅に向かうようです。歩道から交差点の横断歩道へとスムーズに運転ができます。交通信号の押しボタンの高さも問題なし。
もう、先に駅のエレベーターの前に着いていました。右側に券売機がありましたが、買い求めた様子はありません。
エレベーターの押しボタンの高さも問題なし。さあ! 駅のエレベーターに乗り込みます。
エレベーターがホーム階に着けばエレベーターの出口は反対側でそのまま前進して、そこはもうホームです。15㍍ほどで電車の乗降ドアー。電車が到着。
車椅子優先ですが、まず降りる人が優先。次は車椅子。それから健常者。ホームからおばあさんが車椅子のハンドルを前進させればそのままスムーズに乗車。
電車は動き出しました。2~3駅を過ぎても降りる気配なし。15分ほど経過。
目的の駅に着いたようです。降車側に車椅子の向きを変えるかと思いきや、そのままバックしてホームに移動。もちろん誰の手も借りず。
何食わぬ顔して(私の想像ですが)電車から降りた所から15㍍ほど先のエレベーターに向かった。これ以上、おばあさんを追いかけるのも気が引けたのです。「おばあさん、さようなら!」。
しかし岩田会長の顔が浮かんで、日本バリアフリー現状を改善するためには…と、心を鬼にして、この後は地上階まで階段で駆け降りました。しかし、地上階には見当たりません。 「まぁ~、いいや!」と心の中で「お元気でネ!」と囁いた。
駅から100㍍ほど先のマーケットがあったので、念のためと思い、入ってみました。野菜売り場で買い物をしているではないですか、おばあちゃんが?! きっと私が尾行してデジカメで撮っていたことは感づかれなかったでしょう。
「おばあさん、20分も追跡してしまってゴメン! ゴメン!」「日本も、そのうちに真似して良くなるから許してね!」と心の中でお詫びをしながらスーパーマーケットを後にしました。


随所に工夫と思い切りが・・・・・
トランスリンク社が市バス、スカイトレイン、シーバスの3つの交通機関を運営しています。この電車はコンピューター制御による無人運転の軽鉄道(東京の地下鉄・大江戸線の車両の大きさとほぼ同じ)。市中心地は地下で、郊外はほとんどが高架を走ります。車両は2~4両編成です。郊外電車はありますが、観光客にとってはバンクーバーで唯一の鉄道サービスで、山手線よりちょっと狭い環状線です。
2010年の冬季オリンピックに間に合うように空港~ダウンタウン間の新線を着工中です。

前面に運転台のような窓がありますが、一般のお客が座れる席です。
右が券売機、左は回数券を差し込み、日にち・時間を刻印するバリデーション機。
運賃はゾーン制で市内バスと共通切符です。90分以内の乗り換えは追加運賃無しで電車からバス、あるいはバスから電車に乗れます。運賃は、ワンゾーン2.25ドル(約240円)で駅の数で約5~6駅(8kmぐらい)とバスに接続(最初の駅の出発から90分以内)して乗れます。それを超えるとツーゾーンとなり、3.25ドル(約350円)となります。
ホームに券売機がある駅もあります。
駅のフォームは当然まっすぐです。これは4両編成です。
電車とホームの間隔は5センチ以内と思われます。私のジョギングシューズの親指の部分が見えます。もちろんその高低差は1センチ以内と思われます。車椅子はショックもほとんど無くスムーズに乗降できます。また、乳母車も親がただ押したり引いたりするだけで、寝ている乳飲み子もスヤスヤ…なぜか、赤ちゃんの泣き声を聞いたことがありません。
これなら乳母車を押す乗客は楽ですね。
ホームには逢引の自転車まで登場。このまま電車に平気で乗り込みます。(そこはカット)
無人運転であると同時になんと改札口は無く、ホームにも駅員が居ません。監視カメラで集中コントロールをしていますが、安全面では心細い感じがします。ましてや無賃乗車をしても判りません。しかしイベントがあって混雑するような日は監視員が出動しますが、検札員は見たことがありません。キリスト教で律しているのでしょうか?

(追伸)2007/02/25着信
 第6信の原稿に「一度も検札を見たことがない」と書いたら直後、なんと、今朝スカイトレイン(バンクーバーの電車)に乗ろうとしたら、二人の警官がホームに居ました。
 近寄ってみると一人の男性を二人の警官が取り巻いており、最後に違反切符みたいな物を渡したあと、今度は私が乗った電車の車両に乗り込んできました。
 「切符を見せろ!」と、この私に尋問! 当然ですが、私はパスしました。 次に隣の乗客が尋問を受け、無賃乗車だったようで、次の駅で二人の警官と一緒に降ろされました。罰金は150ドル(約16000円)です。
 また、帰りの電車に乗ろうとしたら、ホームに向かう昇りのエスカレーターに二人のスカイトレインの職員が切符の所持だけを確認しておりました。背景はなんら分かりませんが、レポートに書いた直後で不思議な思いをしました。
 やはり、キリスト教の教義でコントロールができる訳はないんですね。


(感想)
日本の新幹線に代表される世界屈指の鉄道製造技術と運用技術は我々日本人の誇りです。それは、安全で定時性を確保した大量高速輸送時代の利用者ニーズであったのですが、関係者の大変な努力と工夫で成し遂げたことだと思います。
すでに東横沿線の各駅にもエレベーターの新設工事がされて、「バリアフリー対応」をされているように窺えます。しかし、これからの日本人の高齢化社会に対処するには少し角度を変えた取り組みと展開が必要ではないでしょうか?
次の第7信は“バンクーバー交通バリアフリー(バスの巻)”をレポートいたします。

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