
450年の風雪に耐えた木はしっかり地に根を張り、苔むし、いかにも日本の柿木で最初に栽培された木らしい貫禄を感じさせます
人間でいえば450歳。今なお、たわわに禅寺丸柿の実をつけた古木。小粒で種子は多いが、黒いゴマがたっぷりで上品な甘さ、お茶請けに最適です。この禅寺丸柿がいま、柿生地区の地域活性化の“主役”になっています
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生い立ち&
見どころ |
柿は東洋の特産物で、日本・朝鮮・中国に200種近くが野生化しているそうですが、甘柿として最初に発見されたのは、鎌倉時代前期、健保2年(1214年)のこと。それが現川崎市麻生区の禅寺、王禅寺でした。その柿の木は「禅寺丸」と名づけられ、日本の柿の木で最初に栽培されるようになりました。
江戸時代の元禄期には人気の“水菓子”ともてはやされ、日本全国各地で栽培されました。明治時代には明治天皇に献上したほど有名な柿でした。その後、大粒で甘い富有柿や次郎柿などが出回わり、栽培地の宅地開発で伐採され衰退の一途を辿りました。
また近年、この禅寺丸柿が地域起こしの“主役”として注目されています。地元、川崎市麻生区に「禅寺丸柿保存会」が発足し、地元の名産「禅寺丸柿ワイン」が造られ、そのワインの風味を生かした「禅寺丸ケーキ」、また禅寺丸柿を使った羊羹や最中などの和菓子が作られています。また、柿生地区あげてのお祭り、「禅寺丸柿まつり」は毎年10月の恒例行事となり、年々盛況になっています。子どもも大人も参加する「柿タネ飛ばし大会」「柿皮むき大会」をメインイベントに、押すな押すなの大盛況。祭り会場にカキにちなんだ商品が並び、飛ぶように売れているそうです。
禅寺丸柿の原産地は、昔は「柿生村」と村名に、そして今は小田急線「柿生駅」と駅名にその姿を変え、その名を留めています。
※ゼンジマルガキ(禅寺丸柿)の花は「木花World」21ページNO.12に掲載されています。 |