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立ち上がって発言するスタッフ。広い部屋では大きな声で発言しないと声が届かない |
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順調に進んだ20号“松”
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表紙絵は碑文谷公園とポニーに乗る子。絵:井崎一夫 |
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一字のミスが出た20号裏表紙
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写真も撮影し、良い出来栄えだったが、最後に落とし穴があった |
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お寺の本堂での編集会議
13坪余りの編集室は、ふだんの編集や20人ほどの集まりには不自由しない。が、多くの会員に呼びかけての編集会議やイベントは収容しきれず、悩みのタネだった。編集会議は二部制にし、昼間は主婦や年配者、子どもたちの小中高生を対象に、夜間は勤め人や大学生らを対象にして開いた。
綱島西口の東照寺の程木住職に新刊を届けるたび「編集室が手狭なときはどうぞウチをお使いください」と有難いお言葉を頂戴していたので、20号「学芸大学・妙蓮寺特集」の編集会議は本堂2階の法事などに使う広い部屋を借りた。
真夏8月だったが、50人ほどの有志会員が集まった。広々した畳の間に壁面沿いに「ロ」の字形に座卓を並べ、その中間に広い空間ができ、コミュニケーションが取り難く、いつもの編集会議とは雰囲気がガラッと違った。
男女大学生コンビのデスクキャップ。順調な仕上がり20号
東京側を「わが街シリーズ」で取り上げるのは初めて。取材の街は「学芸大学」に決めた。
それを取り仕切るデスクキャップは、男女大学生コンビ。男子大学生で奥沢に住むNHくんと女子大生で田園調布のNMさん。二人とも、知らない街を飛び込みで回って広告取りや取材の経験は初めてのことだ。
どうなることやら・・・と私も心配したが、若い人は順応性があるものだ。熱心に街に通っているうちに、だんだんと人に接することに慣れてきた。取材終盤には街の有名人取材の「沿線住民酷勢調査」登場者23名、昔の写真を探して載せる「アルバム拝借」などの情報をすべて集めた。夜は編集室に来て、他のスタッフの進行をチェックしたり、原稿書きやレイアウトに深夜まで明け暮れた。
終電もなくなり、娘を車で田園調布からお迎えに見えるのはNMさんの母上。編集室前に駐車して娘が編集室から出てくるのをじっと待っているのだ。それが毎晩のように続く。そのお母さんの車を見るたび、こんな真夜中まで年頃のお嬢さんを編集にコキ使っているような罪悪感に駆られ、まことに申し訳ない気分になったものだった。
もう一人の女子大生のSKさんは「妙蓮寺特集」のスタッフで毎晩終電ギリギリまで編集をしていて時計を見ては「さぁ〜、終電だ〜!」と全速力で日吉駅に駆けつける毎晩だった。いつの間にか、「終電おとめ」の愛称がついていた。彼女も母親が毎晩妙蓮寺駅着の終電を出迎えにきていたのだった。
こうした学生諸君のお蔭で、20号は8月から取材に入り、11月末には原稿は印刷所に入稿し編集は終了した。この号ほど順調に進んだ号は初めて。正月早々の納品が楽しみだ。
数字一文字のミスが飛んだことに・・・
新年の初仕事は、配本で明けた。裏表紙「日本能率進学研究会」の広告を担当したDくんから電話が入った。
なんと、肝心カナメの電話番号の数字が一文字、間違っていたのだそうだ・・・。先方から見れば、最も重要な“電話番号”である。これを間違えるなんて、当編集室としても今まで経験したことのない最大のミス・・・。当然、たった一字の数字のミスでも日能研の電話番号でないのだから、電話機能を果たさない。もちろん、広告代金40万円の請求はできない。こちらとしても大きな損害だ。
義母と私が5〜6回新横浜の日能研本部に通ってようやくいただいた広告。これにカメラマンのDくんが撮影した写真を2枚使って、人の好いDくんが「レイアウトまでボクに任せてください!」というので担当させたものだった。Dくんが電話番号の校正を怠ったことが事の発端。でも、結局、どんなことがあっても最終責任者は編集発行人の私である。何はともあれ、私は、同本部宣伝部長のもとに駆けつけ、ただただ誠心誠意の謝罪の言葉を繰り返すだけだった。
一字のミスが他者に迷惑。こちらも40万円の損害
帰って間もなく、同宣伝部長から電話。「あの間違った電話番号の持ち主が、『日能研の電話が急に何本も掛かってきて困ります!』と怒っています。何とかしてください!」。また苦情の電話だ。
電話番号記載のミスは、その電話番号先にも大変なご迷惑をかけてしまうのだ。そちらへの謝りは、Dくんと義母が果物の詰め合わせを持参し、謝罪に出かけた。こちらは幸い、『とうよこ沿線』の愛読者だった。 「人間ですもの、ミスもございます。日能研の電話でしたら、私がそちらに回しますので、ご心配なく・・・」。 奥様が優しく、穏便に済ませてくださったので救われた。
数字一字の間違えで40万円の損。だが、仕事は1パーセントのミスも許さない。「仕事は100パーセントを旨とすべし」を学んだのが40万円の月謝だった。
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