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この雑誌を出した人って
一体どんな人?
選挙に出る人? 新興宗教の人? |
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読者の疑問を晴らすために義母・鈴木善子が書いた2ページ記事の1ページ |
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3号まで無料配布。会員300冊、非会員100冊進呈
『とうよこ沿線』は創刊号から3号まで読みたい人には無料で差し上げてきた。中にはレストラン、ガソリンスタンドなどから「店に置いて読みたいお客様に差し上げたいのでそれもOKか」という問い合わせがあり、こちらは配本の手間が省け、店側でもお客サービスにつながることになるので、一軒当たり100冊まで無料進呈することにした。とくに会員は一人当たり最高300冊まで進呈した。
読みたいが後が怖い? その疑いを晴らす記事
新人の主婦会員が知り合いの銀行支店長のもとに50冊を車で差し上げに行き、帰ってきて憮然としている。聞けばこういう話だ。
「面白そうだから読みたいけど・・・。あとが怖い。この本を出している責任者の人って、選挙にでも出る人? それとも新興宗教でもやってる人?」と疑って自由が丘の某銀行支店長は受け取ってくれなかったという。この支店長のほかにもこちらから突然持っていくと「この世知辛い世の中にこれほど立派な雑誌を、なぜ他人にタダで上げちゃうの?」と疑問を抱く人が大半だった。これと同じ体験を何度も体験してきた義母・鈴木善子は、新人さんの話を聞くなり、こう断言した。
「次の号でワタシが書くわ! どんな男がどんな気持ちでこの本を作っているか・・・この点をみんなに理解してもらわなければ、喜んで読んでもらえないわ!」。その夜、私が家族と食卓を囲んでいると、義母が私に改まったようにいろんなことを訊いてくる。つまり、それは“取材”だったようだ。
真実を知らせることから編集は始まる
書き上げた原稿のタイトルを見たら「本誌『とうよこ沿線』に取り憑かれた男」・・・。私事でまことに恐縮だが、本会発起人の一人、鈴木善子が私のことを雑誌発行病に取り憑かれていると決め付け、すっぱぬいたものである。
この記事の異常さは、書かれた本人が編集発行人でありながら、それを敢えて掲載したことにある。発行後の読者の反響はいかに?と心配したが、それが上記の座談会に劣らないほどの電話や手紙が寄せられ、本号が最初の在庫ナシとなった。
お互いに見ず知らずの人たち同士が住む大都会。“真実を知らせて”、“説得する”ことがいかに重要であるかを痛感した。雑誌作りは、取材、原稿依頼、登場依頼、広告集め、いずれにしても“知らない人”への説得行為から始まる。それが編集の第一関門の仕事である。
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