編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.860 2016.01.20 掲載
 沿線のささやかな自然を訪ねて  E

      意外に緑豊かな菊名周辺
           菅野さんち
純度100% 地はちみつ
                                文・写真大崎春哉(菊名

        掲載記事:平成11年10月25日発行本誌No.73号名「李
(すもも)

   

 ミツバチを飼うなんて?

 「えっ、ウッソー」と思わず孫娘の口まね。菊名でミツバチを飼って、純度百パーセントのハチミツを採っている人がいるというのだ。ミツバチを飼うなんて、もともと田舎のほう、花と緑があふれる野山のことだろう。それがこの東横沿線で? ホントにホント?

 首をひねりっぱなしで駆けつけたのは、港北区役所近くの菊名6丁目、綱島街道と東横線に挟まれた住宅街だ。確かに町のまんまん中。2階のベランダにハチの団地″の木箱が並んでいる。
 主(あるじ)は菅野秀雄さん(65)。会社を定年、さてこれからは、と考えて、思いついた。
  北海道の網走で育った昔、岐阜県から養蜂業者が来た。北国の遅い春を花から花へ、ハチたちはぶんぶん飛び回って、せっせとミツを集めてきた。「あれだ」とヒラめいた。なにしろ今もしばしば海釣りになど、自然大好き人間の主なのだ。

  心配をよそに瓶100本超


 さっそく道具一式を揃えた。昨年春のこと。こんな町中で大丈夫? の心配は初年度から吹っ飛んだ。
 ハチたちは働き者だ。2、3キロ四方を職場として集めたミツは、600グラム入りの瓶に10本、20本……、軽く100本を超えた。


 「菊名産」「大倉山産」のラベルも手作り。「えっ、菊名産?」と、たちまち人気集中である。

  百花のミツを集める働き蜂

 今年は5月から9月までに15回ほど絞った。春先はアカシアのミツで淡い黄色。それが夏に向かってだんだん濃くなり、クローバー、タンポポ、キバナコスモスなど百花のミツがミックス。

 菊名周辺、意外に緑が豊かなのである。鶴見川の川べり、大倉山・菊名・篠原の緑の丘、道路の並木、グリーンベルトに咲く花々を見つけては集めてくるのだ。菅野さん自身、空いている所を見れば草花を植えている。
 「ハチに刺されませんか」「私は時に刺されますが、すぐこすり落とせば平気です。ご近所で刺されたと言う人、いないと思いますよ」

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いじめたりしない限り、大丈夫というミツバチだけれど、ミツ絞りのときは万−に備えて頭にネットの完全装備。美智子夫人が手回しのハンドルをがらがら回してミツを絞る



ミツバチの木箱からハチがびっしりついた四角い木の枠(ハチの巣)を取り出す菅野秀雄さんはランニングシャツ姿でした
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