ミツバチを飼うなんて?
「えっ、ウッソー」と思わず孫娘の口まね。菊名でミツバチを飼って、純度百パーセントのハチミツを採っている人がいるというのだ。ミツバチを飼うなんて、もともと田舎のほう、花と緑があふれる野山のことだろう。それがこの東横沿線で? ホントにホント?
首をひねりっぱなしで駆けつけたのは、港北区役所近くの菊名6丁目、綱島街道と東横線に挟まれた住宅街だ。確かに町のまんまん中。2階のベランダにハチの団地″の木箱が並んでいる。
主(あるじ)は菅野秀雄さん(65)。会社を定年、さてこれからは、と考えて、思いついた。
北海道の網走で育った昔、岐阜県から養蜂業者が来た。北国の遅い春を花から花へ、ハチたちはぶんぶん飛び回って、せっせとミツを集めてきた。「あれだ」とヒラめいた。なにしろ今もしばしば海釣りになど、自然大好き人間の主なのだ。
心配をよそに瓶100本超
さっそく道具一式を揃えた。昨年春のこと。こんな町中で大丈夫? の心配は初年度から吹っ飛んだ。
ハチたちは働き者だ。2、3キロ四方を職場として集めたミツは、600グラム入りの瓶に10本、20本……、軽く100本を超えた。
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「菊名産」「大倉山産」のラベルも手作り。「えっ、菊名産?」と、たちまち人気集中である。
百花のミツを集める働き蜂
今年は5月から9月までに15回ほど絞った。春先はアカシアのミツで淡い黄色。それが夏に向かってだんだん濃くなり、クローバー、タンポポ、キバナコスモスなど百花のミツがミックス。
菊名周辺、意外に緑が豊かなのである。鶴見川の川べり、大倉山・菊名・篠原の緑の丘、道路の並木、グリーンベルトに咲く花々を見つけては集めてくるのだ。菅野さん自身、空いている所を見れば草花を植えている。
「ハチに刺されませんか」「私は時に刺されますが、すぐこすり落とせば平気です。ご近所で刺されたと言う人、いないと思いますよ」
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