編集支援:阿部匡宏
投稿:益田 勲(横浜市神奈川区神之木町)   編集:岩田忠利    NO.205 2014.9.08  掲載

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樹木  駅名の由来@ 
     猫がモチーフ、
“猫の駅”
       
横浜市営地下鉄「踊場」駅



 
   猫が夜、踊る町。踊場駅 (横浜市泉区中田南)


 
横浜市営地下鉄の戸塚駅よりは、厚木の湘南台駅に近いところに「踊場駅」があります。この駅は知る人ぞ知る猫の駅なのです。

 「とつか歴史ろまん」(戸塚区役所刊)によると、

 「昔、戸塚宿内に水本屋という醤油屋があり、そこの手拭いが一本ずつ無くなっていきました。不思議に思った主人が調べると、飼い猫のトラが口でくわえて逃げようとしていました。その訳は分かりませんでした。
 ある夜、主人がこの駅の辺りを通りかかると、猫たちが手拭いで頬被ぶりをして踊って居ます。「今日はトラちゃん、居ないなあ」「あっ、居ないねえ」「あいつ、家で熱いオジヤを喰わされて、舌を火傷したんだって」「トラが居ないと踊りの調子が合わないねえ」と話している処でした。驚いた主人は家に飛んで帰り、家人に聞いた処、やはりトラにオジヤを食べさせたといいます。主人は手拭いの無くなる理由が判り、ほっとしたそうです。」

 という昔話がこの地域には今も残っています。それからこの辺りを「踊場」と呼ぶようになりました。


 
   外からは猫のモチーフが分かりづらい

 
この踊場駅は関東の“駅百選”に選出されています。猫をモチーフにしているからです。駅の外観です。一見何も変わったところは無いように見えますが、内側から見たほうが良く分かります。上の三角の明かり取りが猫の耳の形に、下の窓が眼の形になっています。



踊場駅外観

2008年6月21日撮影:三角形の屋根が耳です



踊場駅入口

2008年6月21日撮影:庇の回縁に猫がいます




 駅の入り口の庇(ひさし)には、猫をデザインした縁が付いています。朝の忙しい時には、上を見ている人はいないので気づかれないと思います。



   駅舎内部は・・・

 
駅に入って直ぐの天井照明に、3匹の猫が踊っています。この駅以外にも、言われや由緒のある駅はありますが、これほど楽しそうにデザインされているのは見たことありません。



 天井照明

2008年6月21日撮影:3匹がくるくる回っています




通路の壁は、こんな大きな猫の目に

2008年6月21日撮影:猫バスの中にいるようです



駅の階段の手摺にもこんな猫のマークが付いていました。これ以外にも、猫をモチーフしたデザインがあるかもしれませんが、私が気が付いたものはこの程度でした。



駅階段手摺

2008年6月21日撮影:子猫でしょうか




   駅コンコースに地元高校生の猫の絵がいっぱい展示

 
「踊り場駅」の地下部は大きなアーチ状の空間です。

 この駅のコンコースには、神奈川県立上矢部高校の美術の有志が、猫の作品を数多く展示しています。結構、玄人はだしで、見応えのある作品が多くありました。
 この高校は美術陶芸コースとか、陶芸部があるとのこと。なかなか面白い校風です。この高校生たちの中から、将来、著名な画家や陶芸家が出るかもしれません。藤田嗣治のように、猫の絵ばかり描くかもしれない。

 先ほどの『とつか歴史ろまん』には、もう一つのエピソードが載っています。
 
 



    277年前の猫の慰霊碑


 駅の近くには、猫の慰霊碑があります。ご近所のお寺のご住職が、江戸時代中期の元文2年(1737年)に建立したものです。この住職さん、これほど立派な猫のの慰霊碑を今から277年も昔に建てるとは、無類の愛猫家だったのでしょう。また、この踊場地区、昨今の猫ブームにあやかっての地域活性化策かと思ったら、いや、いや、しっかり郷土史に裏打ちされた「猫の駅」でした。



江戸中期、天文2年(1737年)建立の猫の慰霊碑

2008年6月21日撮影
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