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乗り慣れた人なら、なんとも思わない停留所。でも、たまにしか乗らない人には、ちょっと気になる名前かもしれません。そんなバス停の名前を、今回は集めてみました。
春の一日、午後から気ままなバス・トリップなんていかがですか! もっとおもしろいバス停が見つかるかもしれませんよ。
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えっ、ここに“競馬場”!?
◆元競馬場 (東京都目黒区)
(祐天寺駅から東急バス目黒駅ゆき、目黒駅からバス多数)
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目黒通り沿いにある、「元競馬場」のバス停。その名の通り、ここは、元「目黒競馬場」のあった所である。
目黒競馬場は、明治40年に開設され、昭和8年まで、庶民の行楽地として賑わった。昭和7年には第1回日本ダービーも行われ、この時は権之助坂が人であふれたとも伝えられている。
しかし、周辺の住宅地化が進み、環境問題となったため、昭和8年、府中に移転した。これが現在の東京競馬場である。
現在あるのならともかく、昔あったことを表わす名前というのは、おもしろい。「多摩川園」駅あたりも、「元多摩川園」とでもしたらいいんじゃないだろうか。
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都会に光る“月光”
◆月光原 (げっこうはら)
(東京都目黒区)
(学芸大学駅から東急バス五反田行き) |
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子供に人気の“月光仮面”を連想するような地名の「月光原」は、この地の字名。昭和41年までは、「月光町」として町名も残っていた。
「月光」の名の起こりは未詳だが、この地が月の名所だったのかもしれない。あるいは縁起のいい名を選んだ“瑞祥地名”か。
このあたりには「原」のつく地名が多く見られる。月光原をはじめ、向原、東原、金杉原、そしてそのものズバリ、「原」。江戸時代には、この付近一帯が将軍家の鶉狩りをする地、鶉場(うずらば)であったというから、その名の通り野原だったのだろう。
月の名所だったといわれても不思議ではない。
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地元の高校生もビックリ!
◆神隠 (かみかくし)
(横浜市港北区)
(綱島駅から東急バス新羽営業所庚申堀経由、勝田折返所ゆき) |
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バス停の珍名ベスト1は、何といっても「神隠」だろう。仙人でもいるよぅな山奥を思わせるが、綱島の少し奥、新吉田町の住宅地にある。
この地には「神吉田神隠堂」といったお堂があり、これは綱島の“薬師”の一つとされていた。この「神隠堂」から、バス停の名が生まれたのであろう。それにしても、「神隠堂前」ならおもしろくないが、「神隠」であるところが珍しい。
このあたり、ほかにも「ししがはな」(全部ひらがな)や、「新羽営業所・庚申堀」といったバス停もある。
マニア≠ノは見のがせないところだろうが、果たしてマニア≠ネんているのだろうか。
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“こまる”が無いのが困る
◆大丸 (だいまる) 中丸 (なかまる)
(横浜市神奈川区)
(大丸−横浜駅西口から市営バス多数あり、中丸−横浜駅西口から市営バス35番)
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「大丸」といっても、デパートがあるわけではない。片倉町の字名であり、「中丸」もある。「中丸」はもう一つ、神奈川区内の町名に残っているものもある。
この「丸」とは、多くは「丘」の意味で、「大丸」なら「大きな丘」、「中丸」なら「中ぐらいの丘」か、あるいは「中央部の丘」であろう。
横浜市内は丘陵地帯であるためか、ほかにも中区に「竹之丸」、保土ヶ谷区には「千丸台」などの地名がある。丸っこい丘ばかりではないだろうが、丸っこい人なら親しみを感じる地名なのではないか、と思えてくる。
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「つぎは〇〇、××スーパーへおいでの方は…」。最近のバスの放送は、うるさくなりました。どれだけの広告料がはいるのかしりませんが、壁にも窓にも車体にも広告が溢れているところに、なお放送でも広告を流す必要があるのでしょうか。音は、聞こうとしなくても耳にとび込んできます。まさに音の暴力≠ナはないでしょうか。
運賃も高くなりました。ひと停留所乗っても160円。気ままなバス・トリップ≠焉A高嶺の花ですね。
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<主な参考文献、資料>
『角川日本地名大辞典 13東京都、14神奈川県』
『横浜の町名』 『目黒区史』 『地名用語語源辞典』
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