編集支援:阿部匡宏
投稿:益田 勲(横浜市神奈川区神之木町)  編集:岩田忠利  NO.108 2014.7.14 掲載 

画像はクリックし拡大してご覧ください。

樹木  駅名の由来@掩体壕跡(えんたいごうあと)
                                                 

 はじめに

  掩体壕(えんたいごう)とは、戦時中に造られたコンクリート製の戦闘機の格納庫のことです。
  山を掘ったり、掩体壕の上に植物を植えたりして、頭上の敵機からは見つからないようにカモフラージュして、攻撃されないように工夫された構造物です。
  英語では「バンカー」、航空自衛隊では「シェルター」といい、基本は前回の探照灯の格納庫と同様に、上から見ると岡のようにしか見えません。


 茂原掩体壕跡  
(千葉県茂原市)

  千葉県茂原市には戦時中に航空隊がありました。そのため、本小轡付近では随所に掩体壕があります。現存するものは全部で13個所と聞いていますが,判りやすい6個所を見て来ました。

.掩体壕A(地図参照)は道路の脇にありますのですぐに見つかります。

屋根部は草木で覆われていますが、年月を経たせいかコンクリートの躯体が現れています。
この内部はこのような空間で、零式艦上戦闘機とかが収まるのでしょうか。しかし、思ったよりだいぶ手狭で、床にも土がだいぶ積もっておりました。



茂原地区 2007年8月12日時点での地図です



掩体壕A跡
2007年8月12日撮影:戦闘機は意外と小さいのかも






掩体壕A跡内部
2007年8月12日撮影:意外に荒らされていません




.
この掩体壕Bは、今回の中で最も見つけにくかったものです。

 探検に行った時期が夏だったこともあり、躯体は竹林の陰に隠れてよく見えません。車で走って探していると、スピードに目が追いつかず、とても見つけることは出来ません。湿気でむっとする草叢を掻き分けてやっと辿りつきました。



掩体壕B跡
2007年8月12日撮影:何かが潜んでいるようで怖い

 
 C.
後ろの雑木林にフィッティングしている掩体壕Cは、民家の庭の中にあります。

 車2台とトラクター1台の格納庫になっていました。

 この掩体壕は今までのものと比べると、2周りぐらい大きく、戦闘機より大きな飛行機(?)、輸送機、爆撃機の機体を納めたのかも知れません。



掩体壕C跡
2007年8月12日撮影:これはかなり大きい



. 掩体壕Dです。ここはすっかりカモフラージュの土や木々は剥ぎ取られ、アスファルトの防水層が現れています。少し、痛々しいですが。

 妻側の壁は面戸板が張られ、まるで納屋のようでした。納屋ですけど…。



掩体壕D跡
2007年8月12日撮影:一句捻りたくなるような侘び


. ここは掩体壕Eのポイント、壕の上には樹木が覆いかぶさり、上空からではこれは察知できません。

 でも滑走路は草が生えたままにしておけないので、当時でも上から見ると滑走路を辿ると分かってしまいますね。



          掩体壕E跡
2007年8月12日撮影:全部似たような形で区別がつかない


.
 掩体壕E から南に少し離れたところに、掩体壕Fがあります。

 畑のど真ん中なので撮影するには、無断で畦道を行きますが、バランス感覚に乏しいせいか、畑に足を踏み入れそうになるので気を遣います。足跡をつけたら怒られますね。

 前回の高射砲台座と同様に、掩体壕の中は農機具や畑の草や収穫物のゴミでいっぱいでした。



          掩体壕F跡
2007年8月12日撮影:タイヤが丸田祥三の写真のようです
※丸田祥三:廃墟、廃線、少女、懐かしい町並みなどを撮影する写真家



 野島掩体壕跡  
(横浜市金沢区野島町)

  野島公園は小さな島で、中央に小高い山があります。標高にすると2030bくらいでしょうか。とにかくも野島の海岸線を巡ってみました。そこには茂原で見た掩体壕とは一線を画する、とても大きな掩体壕が出現しました。

 掩体壕の入り口は見えないようにしっかり、頑丈なフェンスで囲われています。それでもディ・キャンプに来ている若い者はフェンスを乗り越えて遊びに興じていました。

 それにしても大きい。一説には弐式大型飛行艇が格納されるはずだったとも言われていますが、どうやら掩体壕としては使われなかったようです。弐式大型飛行艇とは全長28b、全幅38b、高さ9bの代物です。こんなに大きいものが、とてもここには格納できそうにも無いと思いますが。

 さらに島を一回りしてみました。先ほどの海側のちょうど真裏に当たるところに、掩体壕の反対側の出口が見えてきます。先ほどの入り口の形状とは少し異なり、茂原の掩体壕によく似ています。

  この掩体壕の真上にある山の上に高射砲の陣地があったそうなので登ってみました。急な坂道で途中でダウンしそうです。ゼイゼイしながら登りきると、開けたところにUFO のような展望台がありました。この展望台の基礎が円形で、かつての高射砲の台座だと思われます。

 ここから磯子〜三浦半島まで見渡すことが出来ます。ここが戦争遺跡?というほどの素っ気無さです。



        野島掩体壕跡
2007年9月12日撮影:岩
肌と壕が魚のアンコウの顔に見えます



野島掩体壕跡裏側
2007年9月12日撮影:それでもかなり大きい




野島高射砲台座跡
2007年9月12日撮影:いかにも高射砲台座の風情です



       弐式大型飛行艇の例http://military.sakura.ne.jp/ac/emily.htm を参照しました










「とうよこ沿線」TOPに戻る 次ページへ
「目次」に戻る ご近所探検記(9)へ