青葉区内最古の医院
江田駅前に程近い246号線と旧大山街道が交わる所、旧道沿いに横山医院はあります。
現院長の横山博先生は5代目の医師。初代・豊次郎先生は東京の外科医と内科医の内弟子として8年間医学を学び、ここ荏田で安政3年(1856)に開業したというから今から157年前……。もちろん青葉区内で現在開業中の医院の中では最も古い。
この初代は本名・豊次郎のほかに“三省”を名乗っていました。「毎日、三たび反省すること」が信条。この謙虚な村医者は本業のかたわら山内村の村会議員や学務委員(現教育委員)として地域のためにも尽くされました。なかでも福祉事業への協力を惜しみませんでした。
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里親制度の普及に尽力
当時、東京麻布が本部の福田会(ふくでんかい)という家庭的に不幸な子や災害などで身寄りのない子を救う福祉団体があり、ここで3歳までの乳児たちを預かる院外養育、いわゆる「里親制度」を三省先生は都筑郡と橘樹郡に導入することに活躍しました。
先生は里子が里親のもとで病気になると治療費はとりませんでした。明治44年の記録では三省先生担当の里子が44名いたと記されています。
この子たちは成長すると親元や会に帰されましたが、中には養女や養子となってこの地に残って独立する男子や土地っ子と結婚する女子もいました。
本書の取材中、たびたび山内地区で里親制度の話が出ましたが、“里親の親”はこの横山三省先生であったことを初めて知ったのでした。
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