17 古来から紫色の染料として用いられてきた、ムラサキ(紫)の花
所在地 東京都板橋区赤塚5-17-14 区立赤塚植物園 
科.属など ムラサキ科ムラサキ属 多年草
見どころ  丘陵地の草地に生育し、草丈は40~70センチ、6~7月ころ、花径0.7~2センチ位の白い花を咲かせます。万葉集にもその名が出るほど歴史は古く、奈良時代から江戸時代末期まで栽培が行われてきました。しかし、明治時代以降は合成染料の登場により商業的価値を失い、「ムラサキ」自体も絶滅危惧種にランクされるまでになってしまいました。江戸時代には染められた絹を鉢巻にして、病気平癒の為に頭に巻く「病鉢巻」の風習が生まれました。根は暗紫色で、生薬「シコン(紫根)」です。抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などがあり、漢方の外用薬として配合されます。最近では、日本でも抗炎症薬として、口内炎・舌炎の治療に使用されます。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.29
02 互生して葉をつけるので区別できる、ヤマネコノメソウ (山猫の眼草)の花
所在地 東京都八王子市高尾町 高尾山野草園
科.属など ユキノシタ科 ネコノメソウ属
見どころ  北海道~九州までの湿気のある林下などに分布し、葉柄には軟毛が生え、ときに葉身にも軟毛が散生します。花は淡緑色、花弁はなく、萼片は扁円形で開出し、長さ約1ミリほどです。雄蕊はふつう4、または8個つき、ごく短いです。花茎は高さ5~15センチで、斜上または直立し、1~2枚の少数の葉を互生します。花茎にも軟毛が生え、対生する、ネコノメソウと区別ができます。果実は熟すと裂開して、多数の種子があらわれます。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.24
11 ドイツアヤメ(ジャーマンアイリス) に近い仲間、ニオイイリス(匂いイリス)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など アヤメ科アヤメ属 多年草
見どころ  

青色のニオイイリスの花
藤沢市辻堂太平台 長久保公園
2012.5.6 八城幸子撮影
 別名は匂いアヤメ。南ヨーロッパ~東南アジア原産。花の色は青紫色か白色。花に鼻を近づけて嗅いでぐみましたが、匂いはしませんでした。鼻だけは正常なはずなのに……。でも、乾燥させた根茎を2~3年間貯蔵し、成 熟させてから蒸留させ、さらに複雑な処理をすると、最も高価な天然香料の一つに仕上がるのだそうです。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
20 小さいながらも華やかな花、キキョウラン(桔梗蘭)の花
所在地 つくば市天久保 筑波実験植物園
科.属など ススキノキ科(←キスゲ科 ←フォルミウム科、ユリ科))キキョウラン属  常緑多年草
見どころ  中国南部、台湾、マレーシア、インドネシアに分布、日本では海岸近くに生えます。草丈は50~100センチ、葉は2列に互生し、長さ50~100センチくらいに、巾1~2センチの広線形で、革質で厚く光沢があります。花期は4月頃から長さ70~100センチの花茎を伸ばし、複総状花序に疎らに淡青色の花をつけます。花は下向きに平開し、花びらは長さ6ミリほどの狭長楕円形でそり反り返ります。ランの名前がついていますが、ランの仲間ではありません。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.1
03 虫眼鏡で見ないと見えないくらい小さな、ムシクサ(虫草)の花と茎葉
所在地 横浜市緑区新治町 恩田川・小山橋付近の田んぼ
科.属など ゴマノハグサ科クワガタソウ属の1年草
見どころ

ムシクサの茎葉
 本州~九州のやや湿った畑、水田や湿地に生えます。茎は下部で枝分かれして高さ15~20センチになり、無毛かまたは、まばらに腺毛が生えています。下部で枝分かれして斜上します。葉は下部では対生し、上部は互生し、長さ0.8~2.5センチ、幅2~5ミリの狭披針形~広線形で、先はややとがっています。4~5月に上部の葉の脇に白色にやや赤味を帯びた直径1~2ミリほどの花をつけますが、花を開かせないことも多いです。さく果は長さ2~3ミリで平たいハート形をしています。
 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.30
12 外側の花びらにひげ状の突起がある、ジャーマンアイリスの花 
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など アヤメ科アヤメ属 根茎性多年草
見どころ  別名はドイツアヤメ(独逸菖蒲)。ジャーマンアイリスはドイツ、フランスで育種された園芸交配種で日当たりの良い、乾燥した場所を好みます。開花は4~5月頃。外側の花びらにひげ状の突起があるのが特徴です。花色もいろいろあります。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1

「とうよこ沿線」TOPへ戻る

野草-World TOPへ戻る

次ページNO.21へ

04 名前のとおり生垣のように見える、カキネガラシ(垣根芥子)の花と茎葉
所在地 横浜市港北区新吉田町 早淵川付近の道端
科.属など アブラナ科 カキネガラシ属
見どころ  

生垣のように茎葉を横に伸ばす
 ヨーロッパ原産で、明治時代に欧州から帰化した帰化種で、全国の野原や市街地に広がっている1~2年草です。先のとがった細い円柱状の果実は花軸にぴったりくっついているのが特徴です。花は黄色の4弁花。直径4~5ミリほどで同じ仲間のイヌカキネガラシより少し小さめです。花期は4月後半から6月です。萼には長い毛が生えています。
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.30
13 外側の花びらに黄色と紫色の虎斑模様がる、アヤメ(菖蒲)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など アヤメ科アヤメ属 根茎性多年草
見どころ  日本各地の山野に自生し、日当たりの良い場所でやや湿り気味を好みます。開花は4~5月。ヒゲが無く、花色は紫色で外側の花びらに黄色と紫色の虎斑模様が入るのが特徴です。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
14 インディアンが種子を薬用としていた、ハナビシソウ(花菱草)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など ケシ科ハナビシソウ属 1年草
見どころ

ハナビシソウの群生
県立秦野戸川公園そばの畑の畔
 
2012.5.24 八城幸子撮影
 別名はカリフォルニアポピー。原産地はアメリカで乾燥した原野に自生しています。先住民のインディアンはハナビシソウの実を薬用として鎮痙、鎮静、鎮痛などに利用していたそうです。ただし使い方を誤ると呼吸、心臓麻痺などを起こす有毒植物。名前は花の形が4枚の花弁を紋にした花菱紋に似ていることから。日本には江戸時代に園芸用として渡来。花の色も白、黄、オレンジ、また八重咲きといろいろ。草丈は60センチほど、茎は根元からよく出て株立ちします。葉は掌状に3裂。開花は4月から5月。花は陽が出ないと、開きません。私が訪ねたときは曇天でした。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
05 サトイモ科特有の佛炎苞をつけた、カラスビジャク(烏柄杓)の花 
所在地 横浜市緑区寺山町291 県立四季の森公園
科.属など サトイモ科 ハンゲ属  多年草
見どころ  別名はハンゲ(半夏)。私は初めて観ました。葉は3全裂、小葉は楕円~披針形、先端は鋭突形してます。花は、緑色で花茎は葉の基部で分かれ葉より高く 伸び、花茎の先端に長さ6~7センチの筒状で上部が開いた苞(佛炎苞・ぶつえんほう)つけています。苞の中に1本の肉質の軸があって、苞の中ほどまで雌花群を形成し、その上は雄花群が花軸に密生しています。この苞(ほう)は、非常に特徴があって、この仲間のミズバショウ、ザゼンソウ、コンニャク、ウラシマソウなどの、サトイモ科に属するものに共通しています。漢方薬の半夏(はんげ)というのはこの球茎のことだそうです。(このことから、別名は半夏)。漢方薬になりすぐれた鎮吐剤で、吐き気を鎮める作用のほかに、のどがはれて痛むときや、腸がゴロゴロ鳴って苦しいときにも用いられます。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.4.30
06 ラッパ状の花、キルタンサスの花 別名:笛吹水仙(ふえふきすいせん)

オレンジ色の花
所在地 横浜市緑区寺山町291 県立四季の森公園へ行くプロムナード
科.属など ヒガンバナ科キルタンサス属 常緑性と半常緑性
見どころ  

淡いピンク色の花
 南アフリカ原産。昭和初期に渡来。草丈は20~30センチほどで、地際から細長い葉を出し、その間から花茎を長く伸ばして、その先端に数輪から十数輪の花を咲かせます。花は細長い筒状で先端が開いた細いラッパ状が多いです。開花期は1~3月(冬型)、8月(夏型) 草原や岩場に自生します。名前はギリシア語のキルトス(曲がった)とアンサス(花)からなり、花姿に由来します。
撮影者 石川佐智子 撮影日 2012.5.1
15 レモンの香りの種子を枕に入れ熟睡できる、クロタネソウ(黒種草)の花と実


クロタネソウ花の蕾? 実?
昭和薬科大学
 2012.5.26
石川佐智子撮影
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など キンポウゲ科クロタネソウ属 1年草
見どころ
 地中海沿岸地方原産。草丈は40~50センチ、葉は3~4回羽状に細裂しています。撮影者泣かせなのは、この花。どの花もみな、下向きに咲いているのです。花は直径4~5センチですが、植物園内にこれ以上立ち入ることができず、花弁を表から撮ることができませんでした。困ったクロタネソウ……。5月16日再度訪ね、ようやく花弁を上向きにした花を見つけ、撮ったのがこの写真です。黒い種子はレモンの香りがするいい匂い。これを枕に入れると熟睡できるそうです。

2012.5.30 日吉の街を散歩中、偶然出合った
クロタネソウ花の群落、嬉しくなってパチリ!
石川佐智子撮影
 

奇妙な形の不思議なクロタネソウの実
2012.6.27 星薬科大学薬用植物園
岩田忠利撮影

 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
07 ひと目で分かる若葉の赤、アカザ(藜)の葉
所在地 横浜市港北区日吉1丁目 道端
科.属など アカザ科アカザ属 一年草
見どころ  春のアカザほどすぐに見分けられる野草も珍しいですね。北海道、本州、四国、九州の全国に分布し、畑や道端に生えています。肥やしの効いた土地が好きなので、痩せた所では育ちません。秋には草丈が1.5メートルにも生長し、それを乾燥させると、軽くて丈夫な“杖”として使われ、お年寄りに喜ばれます。葉はゆでて食べることができ、酵素が多く、ほうれん草に似た味がします。生薬として下痢止め、健胃、強壮薬として効くなど、アカザは人間の生活に大変役立つ野草です。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
16 5月1日時点で横幅2メートルほどある巨大な、カルドンの茎葉
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など キク科チョウセンアザミ属  多年草
見どころ

豪華で華麗! カルドンの花
2012.7.14 昭和薬科大学薬用植物園
石川佐智子撮影
 今の時点でこれほど大きいと、もはや野草とは言えず、樹木のようですね。地中海沿岸地方原産。6ページNO.18に登場のチョウセンアザミ(アーティチョーク)の原種といわれ、アーティチョークと同じく、ツボミの中心部にある柔らかいガクと花托、それに葉の柄をヨーロッパの人は食べ、ご当地では野菜として出回っているそうです。花は野生のアザミと同じような花で、6月から夏の終わり頃まで次々咲きます。江戸時代中期にすでに観賞用に渡来し“江戸っ子”が目を丸くしたことが『草木図説』(1856~1862年)に載っています。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1

写真をクリックし拡大してご覧ください。
写真を連続して見るには、左上の「戻る」をクリックしてください。

08 茎は空で長く伸び、竹に似ていて、タケニグサ(竹似草)の茎葉

平凡な草だと思っていたが……
所在地 横浜市港北区日吉1丁目の空き地
科.属など ケシ科タケニグサ属 多年草
見どころ

タケニグサの花
片倉城址公園 
2012.7.23八城幸子撮影
 別名はチャンバギク(占城菊)。子どもの頃から野山でよく見てきた草です。今回インターネットで調べると、平凡な野草だと思っていたものに数々の魅力があることを知り、嬉しくなりました。本州、四国、九州の山地、山すそなどに自生し、根は太く深く地中に入り、葉は長い柄があり互生して卵形か掌状(しょうじょう)で、粉白色を帯びているので遠くから見ると全体が白く見えます。花は6~8月、大きな円錐花序をつけて白色の小花を多数つけます。
  茎を折ると黄色の乳液が出てきます。この汁を皮膚病、たむし、みずむしなどの患部に直接塗ると効果があるそうです。また、中国では、根を含む全草を乾燥したものを「博落廻(はくらいかい)」といい、生薬として、消腫解毒、殺虫止痒の作用があり、酒に溶かして関節リューマチや打撲傷の患部に塗布するそうです。
 
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1

2012.05.01~05.02 掲載20種

10 江戸時代藍染めの原料として渡来した、ホソバタイセイ(細葉大青)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など アブラナ科タイセイ属
見どころ  

菜の花にそっくりの花
 花は菜の花にそっくり。「大青」とはこの植物から取れる青色の染料のこと。葉は名前のとおり細い。ヨーロッパ原産で日本には江戸時代、葉を乾燥して粉砕し、水分を加えて発酵させたものを、藍染めの原料として中国から渡来しましたが、今は化学染料に押され衰退。その代わりに現在はバンランコン(板藍根)という漢方の生薬の原料として解熱などに用いられたり、葉からトリプタントリンという物質が得られ、水虫などの治療に使われます。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
01 細長いサヤにできた種が猫の眼に似ることから、ネコノメソウ(猫の眼草)の花
所在地 八王子市片倉町2475 片倉城址公園
科.属など ユキノシタ科 ネコノメソウ属 多年草の湿生植物
見どころ
 北海道、本州、四国、九州、千島に分布し、別名: ミズネコノメソウ(水猫の目草)と呼ばれ、日陰~半日陰の湿地から、用水路脇、山地の渓流畔、ときに水田にまで広く生育します。茎は長く地表を這って花茎は立ち上がり、高さ5~20センチになります。全体に柔らかく毛はありません。 花弁はなく、淡黄緑色~黄色の萼片4個が直立します。雄蕊の数は4個と安定しており、ヤマネコノメソウのように8個つくことはありません。葉は対生し、卵円形~広卵形で、4~8対の鈍鋸歯があり、長さ幅ともに4~17ミリで、基部は円形または切り形です。
 
撮影者 八城幸子 撮影日 2012.4.25
19 麦畑などに多い雑草だった、ヤグルマギク(矢車菊)の花 
所在地 横浜市港北区新吉田東5丁目 空き地 
科.属など キク科ヤグルマギク属 1年草
見どころ  別名はヤグルマソウ(矢車草)。ヨーロッパ原産。 明治初期~中期に渡来して、品種改良され、今では 春から夏にかけて色とりどりの花が咲きますが、野生種は青花で、古代エジプトのツタンカーメン王の墓からも発見された由緒ある花です。古代エジプトでは青い花が魔除けとされ 王様のミイラの胸のところに飾られたそうです。鯉のぼりの柱の先につける矢車に似ていることから「矢車菊」の名前になったそうです。和名で「ヤグルマソウ」とも呼ばれるが「ユキノシタ科のヤグルマソウ」と混同しないように「ヤグルマギク」と呼ばれることが多いようです。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.30
09高山の岩場や草原などに生える、ミヤマオダマキ(深山苧環)の花
所在地 東京都品川区荏原2丁目 星薬科大学薬用植物園
科.属など キンポウゲ科オダマキ属 耐寒性の多年草
見どころ  花は5~6月に、葉より長く花茎を伸ばして茎頂に白色や鮮紫色の大型の花を下向きにつけ、花には5枚の花びらがあります。ミヤマオダマキには、鎮痛、消炎作用があるとされ腹痛、下痢などに用いられます。関節炎や耳だれには生の葉の絞り汁を患部に塗ります。「おだまき」の由来は、糸巻きに糸を巻いた状態に似ていることから。
撮影者 岩田忠利 撮影日 2012.5.1
18 繁殖力が強い、トキワツユクサ(常盤露草)の花 
所在地 横浜市港北区新吉田東5丁目 空き地
科.属など ツユクサ科ムラサキツユクサ属 多年草
見どころ  別名はノハカタカラクサ(野博多唐草)。アメリカ原産。日本には昭和初期に観賞用として持ち込まれ、帰化植物として野生化しており、要注意外来生物に指定されています。やや湿っている日陰や水辺に生え、群落を形成します。草丈は50センチほど。初夏に白い花弁の三角形の花を咲かせます。結構清楚な美しい花ですが、枝をちぎって、コップに挿しておくと、すぐ発根するすごい繁殖力があります。花期は5~7月です。
撮影者 北澤美代子 撮影日 2012.4.30