編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.902  2016.03.01掲載
★平成10年1月発行『とうよこ沿線』第69号「Road To パソコン」から
筆者: 小林 富夫(菊名 ウエストン社長)

 
前編 インターネットから始めるパソコン入門



 パソコンを活用するためのインターネットをご紹介します。

インターネットは情報の宝庫です。「情報」ということばは「情け」と「報いる」という言葉からできています。悲しいこと、うれしいこと、おもしろいこと、いろいろな情報があります。

この情報とつきあう一番新しい方法がインターネットです。そして、この情報を処理する装置が「パソコン」です。だからパソコンはいろいろなお知らせの窓口なのです。

 しかし四角四面のいかめしい顔と100を超えるスイッチに圧倒されてこの窓は少し近寄りがたい存在になっています。

そこで私はインターネットという情報を運ぶ道路とその入り口、出口のパソコンを少しでも知っていただくために簡単なご案内役を引き受けました。




    Part.1  パソコンは怖くない


 テレビはもうだれでも使えるようになりましたね。テレビを見るには難しいことを考えずに「あ、ニュース見よう」「映画見よう」と思ってすぐにスイッチを入れて番組を見ます。ところがコンピューターとなると、まだその中に何があるのかわからない何か「不思議なもの」という感覚が消えません。

 まず、パソコンの恐怖から脱出しましょう。もちろん「簡単だー」と言い切ることはできませんが、うまくつきあう方法はあります。
 ここでパソコンをテレビのクイズ番組を見る感覚で使ってみることにしましょう。(カツコ内はパソコンの話)

1. 電源スイッチを入れる

(家電はみんな同じですね)

2.  見たいチャンネルを選択する

  (マウスを使って画面上の絵やボタンを選択します。これをクリックするといいます。専門用語で入力装置です)

3. 出題されたクイズに答えてみる

 ・電話を使って答える
 (最近のパソコンにはマイクがついていて声を録音できます。インーネットを使うと電話の代わりもします。これも入力装置です)

  ・メモして考える
 (プリンターという印刷装置があれば画面に映っているものを紙に印刷することができます。これが出力装置です)




 ・答えを書く
 (わかった答えを知らせるためには文字にしなければなりませんね。ここでみなさんが、嫌いなキーボードを操作します。これも入力装置です。)

 ・住所やFAX番号を控える(ビデオ)
 (パソコンで何が便利といっていろいろなことを覚えてくれることです。これを保存するといいます。これが記憶装置です)

  ・答えを手紙やFAXで送る
 (電子メールで送信します。ここでインターネットが活躍するわけですね。これも外に出すということでは出力装置に当たりますが通信装置といってもいいですね。)

4.  電源を切る

 これだけできればパソコンを使ったことになりませんか? テレビとあまり変わりませんね。

 この中で一番問題になるのが、「マウスやキーボードを操作する」ということではないでしょうか。大変だ! と感じる方は電卓をたたくつもりになって数字のキーを覚えるだけでも相当いろいろなことができます。
 あとは慣れるのを待てばいいですね。もちろん一番簡単な使い方は、2の見たいチャンネルを選択するだけでも十分楽しめます。会社の重役のみなさんは部下の仕事をみるだけでもいいのではありませんか。

 ここで専門用語として○○装置と書きましたが、パソコンの基本は、何かを「入力」すると何かが「出力」される。そして必要なものは 「記憶」しておいて必要なときに取り出す、という仕組みを理解することです。
 パソコン自体はこれを効率よく計算しながら作業しているにすぎません。



   Part2  カタカナ用語は絵を見て解決


 次にパソコンを始める上で怖いのが、カタカナ用語の嵐です。
 これを解決するには弊社で発行『絵で知るパソコン&インターネット用語』(宣伝です。以下に掲載)などの本を見てもらうといいのですが、最近はアイコンといって画面に表示される「絵文字」を選択するだけでパソコンがいろいろ仕事をこなしてくれます。
 
ですから無理して難しい言葉を覚えようとせず、とにかく使えればいいのではありませんか。

★右が、筆者の著書<絵で知るパソコン&インターネット用語>『インターネットワールド ワードウェーブ』



   Part.3  まずインターネットから……


 身近な情報伝達手段とインターネットを比較してみましょう。手紙、電話、FAXは自分の気持ちを相手に伝える手段です。いま、パソコン通信やインターネットによって電子メールという新しい情報伝達手段が仲間入りしました。

 ○電話とどこが違うの?

  電話だと道順を説明するときに苦労しますね。


 ○FAXとどこが違うの?

  FAXだと色や音、動きを伝えることは難しいですね。

 電子メールは、世界中のどこへでも一瞬にして手紙を出すことができます。(正確にいえば、電子メールを受け取れるパソコンがあって電話回線が使える相手に対して、手紙の内容分量に比例する時間はかかります)



   Part.4  インターネットって高いの?


 次にインターネットを始めようとして一番気になるお金の話をします。世界中のコンピューターとやりとりするインターネットは、さぞかし高いだろうと考えていませんか?

 インターネットは道路などの交通網と同じようなものです。高速道路や私道があると思っていただければいいでしょう。いろいろなサービスを提供している高速道路ではそれなりの料金がかかります。これに対して町や村、会社や個人の道路は無料だったり料金の格差があったりします。しかし道路がつながっていればいろいろな所へ行くことができますね。このあたりの利害関係は人間社会と同じように複雑なところです。

 インターネットでは、この仕組みに入る入場券を一般の方に斡旋しているのが「プロバイダー」と呼ばれる業者です。まず考えなければならないのがこの入場券の料金ですね。


 次にこの道路を整備している会社です。この会社に対して道路使用料、通行料を支払います。一般的にはNTTに対して支払う電話代です。条件がいろいろありますが、毎日30分程度インターネットを楽しむと仮定して月に7000円程度でしょうか。(インターネット接続料2000円、NTT電話料5000円とした単純な例です)。ここまでが毎月かかる費用です。

 この費用を高いと思いますか? 日割りにすると一日240円程度、東横線菊名から自由が丘までの運賃程度ですね。







   Part.5  パソコンはどうする?


 最後に問題となるのがパソコンです。道路のたとえを出したのでこれも車にたとえればスーパーカーから、もってけっ泥棒の中古車までいろいろあります。ご予算にあわせて選べばいいと思います。そうですねぇ、20万円もあればまあまの新車が買えるかな。10万円以下でもなんとかなりますね。


パソコンの世界には車検みたいなものがありませんから拾ってきた中古でもインターネットを使うことができます。
 要するに目的地へ到着する手段を重視するか、かっこよさを重視するかの問題ですね。車で言う燃費のことを考えると新しいものをお勧めします。



   Part.6  さぁ、始めるぞ!


 インターネットを始める上で最低必要なものを説明します。

1.パソコン本体

これには、「CPU」という電子頭脳と大脳に当たる「メモリ」そして情報を蓄える「ハードディスク」が必要条件ですね。処理速度が速く、容量が大きいもの程良いことになりますね。

 「マウス」や「キーボード」も必要ですね。ただし、これは絶対ではありません。他のもので代用することもできます。

2.電話回線

 NTTや新しい電話会社の電話回線です。特別なものではありません。最近はケーブルテレビや衛星通信を使うことも可能になってきました。また一般の家庭でもNTTの高速データ通信サービスのINSを契約する方も増えているようです。

3.モデムやTA(ターミナルアダプター)

 これは聞き慣れない言葉だと思いますが、インターネットの情報が電気信号なのでこの信号を解読するために必要な装置です。TAというのは最近増えてきたINSのサービスを利用するとき必要なターミナルアダプターという装置です。



  4.ソフトウェア

 パソコンや電話など準備ができたらいよいよインターネットに接続します。ここで必要なものがソフトウエアです。これはテレビで言えばリモコンのように機械を操作する仕組みですね。

 実際にパソコンを覚えるということは、このソフトウエアのことを覚えるといってもいいでしょう。ソフトウエアの準備というと少しややこしいのであらかじめ使える状態になったパソコンを買うか、専門知識を持った方に準備してもらうといいでしょう。
 深入りしないこともパソコンとうまくつきあうコツですね。

 最後になりますが、インターネットに接続するためには接続業者(プロバイダー)に契約することもお忘れなく。
           イラスト:H・長谷川(ウエストン)








   筆者:小林富夫さんの横顔

コンピューターを利用した教育ソフトの制作や、コンピューター教育相談などを手がけ、本誌のパソコン教育顧問。その丁寧さと熱心さには、定評がある。








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