全国11カ所の“鵜の木めぐり”
全国に点在する「鵜の木」という地名の地を調べ、そこを訪ね、「全国鵜の木まつり」開催を呼びかけ、実際に昨年第1回目の祭りを主催し、大成功をおさめた。
その実行委員長は、もちろん東京・鵜の木にいらっしゃる。
稲名清和さん(53歳。イネナ電気社長)がその人。
そのきっかけは、NHKテレビを見ていて秋田県若美町に「鵜木小学校」という学校があることを知ってから――。よそにも同じ地名があるのに驚き、すぐに全国各地の地名調べを開始、今までにわかっただけでも12カ所の「鵜の木」。
稲名さんは机上でのことだけでなく、忙しい仕事の合間をぬってはその地へ出掛け、この夏すべてを回り終わったという。
どこにも市町村名となっている「鵜の木」はなく、大字や小字の30戸から200戸の小さな集落であった。しかし、そこには非常に興味のある歴史・文化・産業があり、大都会で失われつつある人情の花″があった。
秋田県若美町の鵜木地区は、国の重要無形文化財「なまはげ」の伝承の地で有名であり、米の秋田こまち″やメロンの産地。また中日ドラゴンズの主砲・落合選手の出身地とか。
福岡県甘木市鵜木の「獅子舞」には独特の妙技を継承し県の重要文化財の指定をうけているなど、各地の鵜の木″に特有の風土と人とのかかわりをつづる文化や歴史、そしてその他の経済基盤を支える特産品の数々があった。
|
|
全国各地の「鵜の木」特産物が
東京・鵜の木に集合!
稲名さんはこうした全国の「鵜の木」が手を結び、地域間交流″や産業の発展に役立つことはできないかと考えた。それが、昨年7月大田区鵜の木の銀嶺商店会(加盟店35店)の創立40周年を記念した、表題のイベント。
秋田県若美町と岩手県前沢町からは町長が、各地の鵜の木からは役人や農協役員など、また地元の大田区からは西野区長が来訪し、祭りを盛りあげた。
なかでも最も人気があったのは、全国各地の「鵜の木」から持ち寄った特産品。福岡県大刀洗町の「蜂ミツ」、福岡県甘木市の「ぶどう」、宮崎県北郷町の「フキ」、秋田県五城目町のお米「秋田こまち」、岩手県前沢町の前沢牛″の精肉などの産直。
地元の東京ガスの協力で3・5キロ炊き大釜に産地の美味しいお米とフキ(宮崎県北郷町産)を入れた炊き込みご飯″。新潟県頚城村からはドジョウとホタルが土産に届き、子どもたちは大喜び。
こうして成功した初の試みは、今年から発展的に鵜の木全域の商店会である鵜の木商店街連合会、鵜商連″(渋井光三会長)にバトンタッチ、地域の祭りとして大きく飛躍することとなった。
文:岩田忠利
|