ボクは運動会にはちょっと恥ずかしい思い出があります。ボクが通っていた養護学校の生徒は体が不自由だけでなく、知能や精神面に、また言語などの障害を合わせ持っています。
小学校3年のとき、ボクは運動会の選手宣誓を命ぜられました。その頃のボクはまだ言葉が余り出ませんでした。でも、「先生」と言うだけは、はっきり言えましたのでボクに白羽の矢が立ったようです。
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家で繰り返し、繰り返し練習して、いよいよ本番……。とても緊張しました。校長先生の話が終わり、ボクはマイクの前に立ち、始めようとしました。でも、声が出ません。会場が一瞬シーン……。慌てた先生が後ろから小さな声で教えてくれました。ボクも先生の小さな声を真似して「センセイ!………」とやっと言えたのですが、みんなには全然聞こえなかったようです。
母は冷や汗をびっしょりかいたそうです。
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