横浜駅から歩いて10分ほど。大内えりかさんのお住まいは閑静な住宅街の中にある。
「まだタヌキが出るんですよ」という、まだまだ自然も緑も健在な松ヶ丘だ。お花が何より大好きとおっしゃるだけあって、お庭やリビングには、さまざまな植物が所狭しと並んでいる。
環境破壊の危機感を実感!
大内さんは『エコライフ研究家』という肩書きをお持ちである。「自分で勝手につけているだけなの」と謙遜なさるが、そもそもエコライフとの関わりは十数年前にさかのぼる。
NHK市民大学や放送大学を受講することに始まった。宇宙や自然科学などを勉強するうち、ある危機感にとらわれる。地球温暖化、酸性雨、ダイオキシン……。「世の中がこのまま進んでいくと、大好きなお花や植物が、そして人間の生命までも危うくなってしまう」。
日々出るゴミの多さにも心が痛む。もちろんリサイクルは大切だが、それで回収できるのはほんの一部。使い捨てが当たり前になっている、今の社会を根本から変えていかなければ…。大切な石油でわざわざゴミになるものを大量に作り、売り、それが即座にゴミとなる、という今の経済はどう考えてもおかしい。
42歳で超難関の慶応大学受験合格!
もっともっと地球環境を専門的に学びたい、という思いが膨らんできた頃、ちょうど長女の大学受験を迎えた。そうだ私も受験しよう。志望校は慶応大学の環境情報学部。その前年に開設されたばかりのこの学部は、文系と理系を融合する、まさに大内さんの思い描く理想の学び舎だ。そして30倍以上もの超難関を突破、見事合格した。42歳の春だった。
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大学は夢のような素晴らしい出会いの4年間となる。勉強することがもう楽しくて、楽しくて。大学の勉強って机の上でするだけじゃないでしょ。勉強って本来社会をよくするためにあると思うの。自然科学とか社会科学、人文科学って、みんなどこかでつながっていて、人間や美しい自然のためにあるのですよねぇ……。
自然や人への「愛」は米国人の祖母の 影響
えりかさんは、まるで美しい詩でも口ずさむかのように、エレガントにおっしゃる。空を飛ぶ鳥や、野原に咲く花を愛し、思いやる気持ちが、ものを大事にする、とか環境問題にも通じているのよね。
「将来の人のために、少しでも自然や環境を無駄使いしないで取っておいてあげたい。住みやすい環境を残したいの」と。大内さんの自然や人への「愛」は限りない。
しかし……。ご自身は決して愛に恵まれた環境で育ったわけではない。1歳にしてご両親の離婚、そして父親の死。ほとんど家庭の温もりを知らずに成長した。そんな中でアメリカ人の祖母の存在が大きな心の支えとなる。「死ぬまで勉強」が口癖で英語を特訓してくれたのも祖母。人の悲しみや痛みが分かるピューリタンのような人であった。その血はしっかり孫のえりかさんに受け継がれているのだろう。
「地球環境を守る事の大切さを一人でも多くの人に伝え、環境破壊の危機感を実感として持ってもらいたい」
大内さんの人生をかけた、大きなライフテーマは、今『エコライフかながわ』を拠点とし、実践されつつある。
(品田みほ)
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