編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.851 2016.01.14 掲載 

   WOMAN  PROFILE―――― はつらつ女性



1948年横浜生まれ。神奈川学園卒。46歳で慶応大学環境情報学部卒業。現在は東白楽の「エコライフ神奈川」市民代表であり、エコライフ研究家としてリサイクルの普及や講演をこなす日々。



 横浜市神奈川区松ヶ丘在住
 エコライフ研究家 
       
大内えりかさん



本誌今号「街角ルポ」の取材で知り合い、どうしてもまたお会いしたくなった。地球環境やリサイクルを熱く語る大内さんがあまりに素敵だったから。
  こんなにも、自然破壊や将来の人のために心を痛め、活動なさっている方がいらっしゃる……。 その思いの深さに圧倒され、すっかり魅了されてしまった。






   大内えりかさんにもう一度いしたくて…


 横浜駅から歩いて10分ほど。大内えりかさんのお住まいは閑静な住宅街の中にある。
 「まだタヌキが出るんですよ」という、まだまだ自然も緑も健在な松ヶ丘だ。お花が何より大好きとおっしゃるだけあって、お庭やリビングには、さまざまな植物が所狭しと並んでいる。

 環境破壊の危機感を実感!

 大内さんは『エコライフ研究家』という肩書きをお持ちである。「自分で勝手につけているだけなの」と謙遜なさるが、そもそもエコライフとの関わりは十数年前にさかのぼる。

 NHK市民大学や放送大学を受講することに始まった。宇宙や自然科学などを勉強するうち、ある危機感にとらわれる。地球温暖化、酸性雨、ダイオキシン……。「世の中がこのまま進んでいくと、大好きなお花や植物が、そして人間の生命までも危うくなってしまう」。
 日々出るゴミの多さにも心が痛む。もちろんリサイクルは大切だが、それで回収できるのはほんの一部。使い捨てが当たり前になっている、今の社会を根本から変えていかなければ…。大切な石油でわざわざゴミになるものを大
量に作り、売り、それが即座にゴミとなる、という今の経済はどう考えてもおかしい。


 42歳で超難関の慶応大学受験合格!

 もっともっと地球環境を専門的に学びたい、という思いが膨らんできた頃、ちょうど長女の大学受験を迎えた。そうだ私も受験しよう。志望校は慶応大学の環境情報学部。その前年に開設されたばかりのこの学部は、文系と理系を融合する、まさに大内さんの思い描く理想の学び舎だ。そして30倍以上もの超難関を突破、見事合格した。42歳の春だった。


大学は夢のような素晴らしい出会いの4年間となる。勉強することがもう楽しくて、楽しくて。大学の勉強って机の上でするだけじゃないでしょ。勉強って本来社会をよくするためにあると思うの。自然科学とか社会科学、人文科学って、みんなどこかでつながっていて、人間や美しい自然のためにあるのですよねぇ……。


  自然や人への「愛」は米国人の祖母の 影響

 えりかさんは、まるで美しい詩でも口ずさむかのように、エレガントにおっしゃる。空を飛ぶ鳥や、野原に咲く花を愛し、思いやる気持ちが、ものを大事にする、とか環境問題にも通じているのよね。
 「将来の人のために、少しでも自然や環境を無駄使いしないで取っておいてあげたい。住みやすい環境を残したいの」と。大内さんの自然や人への「愛」は限りない。

しかし……。ご自身は決して愛に恵まれた環境で育ったわけではない。1歳にしてご両親の離婚、そして父親の死。ほとんど家庭の温もりを知らずに成長した。そんな中でアメリカ人の祖母の存在が大きな心の支えとなる。「死ぬまで勉強」が口癖で英語を特訓してくれたのも祖母。人の悲しみや痛みが分かるピューリタンのような人であった。その血はしっかり孫のえりかさんに受け継がれているのだろう。

 「地球環境を守る事の大切さを一人でも多くの人に伝え、環境破壊の危機感を実感として持ってもらいたい」

大内さんの人生をかけた、大きなライフテーマは、今『エコライフかながわ』を拠点とし、実践されつつある。
              (品田みほ)


★平成12年7月31日発行『とうよこ沿線』第74号から転載
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