菊名駅から徒歩5分、静かな住宅街の中。学生時代同級生だったご主人と小学校1年生のお嬢さんとの3人暮らし。彼女は少女時代を菊名、高校・大学時代を鎌倉の生活。
「菊名に住んでいた頃、近くにNHKの社宅があり、母がお付き合いしていた人たちがみな良い人ばかりで…。両親の影響でNHKが好きになりました」。これが入社動機だそうです。
8年前の結婚当時は、当分は夫婦二人でのんびりエンジョイ、充実した家庭と仕事を築いていこうと張り切っていた。その矢先、赤ちゃんが誕生……。初めて赤ちゃんを抱きしめ、彼女は、こう決心しました。
「この子のために自分の目と足で、親と子の関係をしっかり指導してくれる育児所と育児ママを探そう!」
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当時住んでいた鶴見区は通勤にも便利、ご主人と励まし合いながら育児所探し。でも働く女性にはなかなか条件が適う育児所がない。そんな4月のある日、彼女はバスで菊名に降り、直感したのでした。
「あ、この匂い! 私が育った時と同じ匂い。子供を育てるのはここだ」。そしてすぐに彼女は「やはり私は地域の人たちに支えられて生活しているのだ」と気づく。
鮭が生まれた川に帰るように、彼女は鶴見から生まれ育った菊名へ帰る。そしてお子さんは保育所へ、さらに小学校も地元に。
今はお嬢さんを彼女の帰宅まで近所の子育てを終えたご家庭にみてもらっています。
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授業参観や運動会などには欠かさず行くよう努めるお母さん≠ナす。
黒田さんも子育て中にパニック状態に陥ったことがありました。それを救ったのがご主人であり先輩の女性アナウンサーや親友であり、そして暖かい地域の人たちでした。
その体験を彼女は2年前1冊の本に著しました。それは働く女性の子育て奮闘記『ママでなきゃ、だめ!』 という本です。お子さんが成長しこの本を読み、「ママはこうして私を育ててくれたんだ」と分かってくれることが将来の楽しみの一つのよう。
アナウンサーという仕事について彼女は「主婦が見て、考え、行動する番組が多いのでとても役に立っています。人の思いを人に伝える仕事に就けているのが嬉しいです。その仕事が続けられるのも、実家ではなく地域の人たちが助けてくれるお陰です」と笑顔で話す黒田さん。
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いわゆる有名人はとかく地域社会と遊離した生活をしがちなのに、黒田さんはしっかと地域に根を張って暮らしています。
(文:福崎克代)
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黒田あゆみ著/マガジンハウス発行 ワーキング・ウーマンの子育て戦争『ママでなきゃ、だめ!』 |
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