編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.815 2015.12.09 掲載 
故郷 わが家の味
NO.2
 
                          ★昭和56年3月1日発行『とうよこ沿線』第4号から転載

作る人:伊藤 治代(元女優・新劇俳優伊藤孝雄氏夫人・自由が丘)
 
    ★画像はクリックし拡大してご覧ください。

                        きのこ汁


 職業がら、私ともどもインタビューを受ける折、「ご趣味は?」とたずねられると、互いに顔を見合わせ、「無芸大食です」と答える。
 “無芸”の方は少々後めたく、“大食”の方は、これはまさに健康な証拠と、にんまりしながら……。この際、正直に告白してしまえば、戦後、ニボシがオヤツ代りという幼児期の思い出を持つ私たちは、そのせいか食物の噂好で結びつき、以来15年、その方面のトラブルは一度も起したことがないという徹底した似た者同士。
 俳優である夫、俳優であった私は、一つの芝居を持って、劇団の仲間と、日本中を旅する。一カ月もの間の宿の食事は、誰でもいい加減あきてしまうもの。そこで誰彼となく通い出したのがその土地、土地の市場。

 これはもう、私のような都会育ちの人間には目を見張るばかりの夢の園。下関の市場で、フグが丸ごと、白い切腹をブクブクふくらませてズラリ並んでいた時など、楽屋入りの時刻も忘れて見入ってしまった。
 盛岡の朝市は午前四時から。私がたびたび訪れた秋は、ハダカ電球が灯り、さまざまなキノコの山また山。初茸、舞茸、あみ茸、名の知れぬ雑茸。

きょうは寒い夜のためにキノコ汁はいかが?
 夫の故郷は岩手県。今日は良いのが入ったかー″今夜は寒いねェー≠ニ言っては囲むのが、このゴウカにして野趣いっぱいの大鍋。


     <材料>

  キノコ  56
◆キノコが入らない場合はシメジ茸2パック、
            エノキ茸2パック
  トーフ  2丁
  里イモ  56
  ダシ汁  6パック

◆キノコ類が数種入った時は水のみ
   酒    半カップ


     <作り方>

@ 里イモは乱切り、固めににゆがいて水にとり、ぬめりを取除く。

Aダシ汁を火にかけ里イモ、キノコを入れ、里イモがやわらかくなったら、トーフの乱切りを加え、塩、しょう油で昧つけ。

◆この料理はキノコを食べるので、合わせる野菜は本来これだけのこと。

 

                  
作る人:
作る人:千葉知子(主婦・上野毛)


 仕事が終わって毎晩、晩酌をする主人のために、酒の肴は欠かさないようにしています。お料理のグラビアは大好きで日頃から手軽にできるおつまみのヒントや盛り付けのコツなど仕入れています。

 これは最近、レパートリーに加わった大好評の1品で、もったいぶった名前が付けていますが、作り方はしごく簡単。材料も買い置きができ、ふいのお客様やパーティーにはもってこい。
 召し上ったお客様は必ず作り方をお聞きになります。皆様決まってレパートリーに加えておられるようですが、本家を名乗りたいと思っております。


   <材料>

 帆立貝の缶詰 大1
 長ネギ    1
 しょうが   大1カケ
 しょう油・こしょう・サラダ油・
 化学調味料  適宜





       <作り方>

 帆立貝をお皿にあけ、上に長ネギとショウガの千切りをたっぶりと盛り、しょう油、こしょう、化学調味料をふりかけ、熱したサラダ油をジュッとかけます。

 食卓で貝柱をほぐし良く混ぜ合わせて下さい。お好みでゴマ油を少々落としてもおいしくいただけます。

貝類のダメな方、葱のダメな方も不思議とこれだけはいただけるようです。どうぞ一度おためしになって下さい。

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