編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.813 2015.12.08 掲載 
故郷
駅長訪問
NO.9
国鉄横浜駅渡辺啓助駅長の巻
                         ★昭和57年1月1日発行『とうよこ沿線』第9号から転載
文:矢敷和子(主婦 綱島)  写真:川田英明(日吉)  

     ハマの玄関を預かる頑張り屋


  新米インタビュアーですので、と言うと「私も新米ですから」と答えてくださった、第42代横浜駅長。昨年3月に就任された小柄な身体に意欲満々の方でした



「何よりも安全第一です」と渡辺駅長

  大きく変わった、全国4位の横浜駅

 大正4年開業以来、66年の歴史をもつ当駅は、東西自由通路の開通、駅舎の改造、ポルタ、ルミネのオープンと大飛躍をした。

 乗降客一日平均68万人で全国4位。利用客は増える一方で、一昨年から一日平均8千人多くなっている。国鉄、私鉄をあわせると120万から130万人が利用するマンモス駅である。

 在職中に夜学で大学を卒業の頑張りや

 昭和4年山形県生まれ。2歳の時東京の大井町に転居、今もお母様、奥様、お子様3人の家から通っている。昭和20年、16歳から国鉄に入り、人事、総務畑での役職を経て、前職は新橋運輸長。
 その間に夜学の日本大学法学部を卒業した頑張り屋。苦労なさった方だけに、人に対する思いやりが大変強い。「まだ工事が続いていますので、職員はもちろん、お客様の怪我が一番心配ですね」
 と何度も口にされていた。巡回という仕事があり、駅構内線路、踏切、信号と2時間半から3時間もかけて見回るとのこと。ここにも安全第一の心遣いが感じられる。



70㌢もの大物を釣り上げた釣りキチだったが…

 激務に追われる身体、健康法は「早寝。11時には寝るようにしています」。朝は6時48分の電車で出勤、朝のラッシュにひと頑張りする。
 休日は静かに過ごしていることが多いそうだ。以前はよく釣りをした。子供の頃、近所の埋め立て地で、ハゼ釣りをして遊んだとか。海釣りが好きで千葉の大原などへよく出かけ、一番の大物は70センチくらいの〝ブリの子〟、50センチくらいの〝タイ〟。これくらいでしたと手を広げ、楽しそうに話してくださった。
  じゃ、釣りにいらっしゃると、奥様は待っていらっしゃるでしょうね。
 「いや、釣れないのを知っているからねー」と大笑い。



「わたしも新米ですから…」

   職員から見た駅長像

 「地域社会との結びつきを心掛けている方ですね」と開口一番。駅に貼るポスター一枚にも俗悪な物を避けたり、細かい配慮をなさる人。新しい試みをする時も、強引にひっぱっていくのではなく、回り道をしながらも、道を見失わないで着実に努力する。駅員にはいつも声をかけてくださるお方、との評だった。

          ☆ ☆

 駅是(駅の目標)に『誠実・明朗・協和』を掲げ、利用客、横浜の街の人々との結び付きを深くし、より良い横浜駅をと努力される。そんな中にも、お嬢様がお嫁にいらっしゃる時には「涙するんじゃないかなあ」なんておっしゃる心暖かな横浜駅長でした。
 

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