編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.812 2015.12.08 掲載 
故郷
所長訪問
NO.8
 東急バス日吉営業所
    松本長之所長
 の巻
                          ★昭和56年11月1日発行『とうよこ沿線』第8号から転載
文:小田美智子(主婦 大倉山)  

      「苦情、何でもお聞きします」


    ――着任1カ月目の所長さん

 今回の「発車オーライ!」は電車の駅長さん登場ではなく、バスの営業所長さんです。と言っても住民にはまったく馴染みが薄く、駅長さんと違ってお顔を拝見する機会さえない。

 そこで『とうよこ沿線』編集室とは目と鼻の先、すぐお向いの東急バス日吉営業所に松本所長さんをお尋ねした。

 「まだ一カ月しか経っていませんので……」と、しきりに遠慮なさるが、前任地は高津営業所で、東急電鉄に入社して30年のベテラン。
 乗務員86名、バス47台の総指揮官・松本さんは、数学か理科の先生、あるいはコンピューター会社の技術屋さんといった感じで、質問にもーつ一つ慎重で真面目な答えが返ってくる。



新任所長の松本さん

  ――親しまれる足、東急バス

 銀ネズの車体に赤の横線、東横沿線の住民なら誰でもご存じ、毎度おなじみの東急バス。
 ここ日吉営業所からは毎日6路線、9系統のバスが発着し、日吉駅を中心に住宅地と駅を結ぶ通勤・通学路線として欠かせない足となっている。


 下田住宅や南日吉団地への利用者が最も多く、朝夕のラッシュ時は大変なもの。とくに雨降りの積み残し(失礼!!)には苦情が殺到、頭を抱えているようで、増便もままならず、さりとて妙案もなし。「ご順におつめ願いまーす!」の協力を済まなそうに頼まれてしまった。

 観光バスかと見紛うピカピカのスマートな新車が8台。前面のガラスがワイドで、行き先表示も大きく、乗降口の幅や段もゆったりと改良され、老人や子供、体の不自由な人には親切な設計といえよう。

 横浜駅西口行、2系統には、港北区の総合庁舎や老人センターがあるためか、お年寄りの乗客が多い。運転手さんにはいつも「自分の親が乗ってきたつもりで」と、指導しているというが、お年寄りの方たちはどう感じているのだろう。

 赤い手帳を見せて「すいません」と乗ってくる老人を見るとそんなに遠慮しないで! おばあちゃん≠ニ声をかけたくなってしまうのだが……。



風の強い日、所長さんは広い営業所内を案内してくださった

   ――苦情は、直接お聞きします

 新任所長は利用者の声に耳を傾けることには熱心な方。「いつでも、どこでも、電話だけでなく自分で出向きます」という姿勢を示され「この目で確かめ、誠意をもって話し合いのうえ、解決したい」とも。その点は実に心強い。

 最後に「お楽しみは?」と伺ったら、「特別ありませんねぇ。でも6年生の一人娘がおりましてぇ、私が時代劇や刑事物が好きなので、よくチャンネル争いをするんですよ」と、初めて嬉しそうな笑顔を見せられた。

 帰りぎわ、整備士の方たちが油にまみれて車体の下で点検している姿が目に残った。
 所長さん、これからも安全第一に、“発車オーライ”お願いします。

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