6駅を守る駅長さん
独特の外観を持つ田園調布駅。ここの主、岩崎武さんは53歳。年齢をうかがってびっくりした。私の父ほどの方とは、とても思えない。
岩崎さんは、昨年の5月に田園都市線鷺沼駅助役から、田園調布駅長に転じられたばかりの、フレッシュな駅長さん。現在、田園調布をはじめとして、大岡山・奥沢・多摩川園・沼部・鵜の木の6駅を守っていらっしゃる。昭和20年に17歳で東急におはいりになってから、現在に至るまで、人生の大部分を電車と共に過ごしてこられたわけだ。
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6駅を管理する駅長さんは、毎日お忙しい |
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田園調布の顔とも言える山小屋風の駅は、大正12年以来のものだそうだ。他の駅がどんどん新しくなっていく中で、この駅は「古き良き時代」を思わせている。ここを通るのは、東横線と目蒲線。一日の乗降客は約4万7千人、乗り換え客も5万人。東急各駅の中では、中の上ぐらいだろう。
高級住宅地ならではのご配慮は
私は今までに田園調布については、色々取材をしたがここの駅は他の駅とはちょっと違う印象を得た。この点について岩崎さんに2、3うかがった。
田園調布は日本中に名前が知れわたっている高級住宅地。そして有名人も多い所。特にそういう点で気をつけられることはありますか――。
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「普通の駅なら、深夜になると酔っぱらいがいて駅員を困らせるものですが、ここではそういうことはほとんどありません。その分お客様の接遇(言葉づかい、態度、環境の整備、身だしなみ)には気を配っています」
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全国に名がとどろく田園調布。その街の玄関、駅を守る岩崎駅長の心遣いはたいへん |
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私がこの街を好きな理由の一つに、駅のまわりに放置自転車がないこと。自転車はどうしているのですか。
「駅の西口と東口に駐車場が一カ所ずつあるんです。そこにみなさん並べていますよ」
さすが天下の田園調布。駅のまわりにそれだけの土地があるなんて!
激務は乾布摩擦で
他の駅に比べて気苦労の多い駅長さん。健康管理をうかがってみると、なんと、もう20年近く乾布摩擦をしていらっしゃるとのこと。「風邪を引きやすいので」、と明るく笑って。
南武線の向河原のお宅に、ご夫婦と坊っちゃん2人のご家族でお住まいだ。休日はスポーツを見て楽しんでいらっしゃるとか。
バラや桜が咲く季節は、多くの人が訪れる田園調布。この美しい街にふさわしい駅を守る岩崎さんの一日は長い。
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