平野駅長――眼鏡の奥のやさしそうな目は、毎日5万人近くの人の命を預かる駅長さんというより、俳優さんのイメージ。
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「わたしは東急の職員ですよ! 帽子を見てください」
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昭和21年、東急に入社。35年間、駅の業務、乗務とひと通りの鉄道業務を経験され、駅長に就任されてからは1年3カ月。
「まだまだ新米ですヨ!」と笑いながらおっしゃるが、なんのなんの、駅長の指示に従う65人の駅員さんは、心から平野さんを慕っている様子。
ご趣味は? と、ワンパターンの質問に、駅長室の盆栽を指さし、
「あれですヨ、あれ」と楽しそうに答えてくださった。休みの日は、庭いじりをして過ごしていらっしゃる。
また、マルチーズを2匹も部屋で飼っている。この犬のことでは、奥様にひどく怒られたそうで、どうやら娘さん2人を加えた、女性上位の明るい家庭らしい。
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しかし根っからの明るい駅長さんにとって、いま一番気がかりなことは、5月に嫁ぐ娘さんのことだそうである。 「とにかく幸福になってほしいですね。それだけですよ」と淋しそうに、自分自身に言いきかせていた。
大倉山・妙蓮寺・白楽駅の3駅の駅長兼務
菊名駅は横浜線との接続駅で、国鉄業務である新幹線の切符予約、航空券やホテルの手配なども取り扱っているほか、ギフトショップや喫茶室『キュート』も営業している。さらに菊名駅だけでなく、大倉山駅・妙蓮寺駅・白楽駅の3駅の駅長も兼務されている。
その苦労は人並みではない。ゆっくり感傷にひたっている暇もないのでは――。
「これからは親切をモットーに」とおっしゃるが、まさしくその通り。東横線イコール親切な駅員さんというイメージ、大切にしてほしい。
「写真を1枚……」と三戸田カメラマンが頼むと、新しい帽子を手にしてくれた駅長さん。私たちの沿線農園≠ナ、今度いっしょに野菜をつくって気分転換、英気を養いませんか?
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恋人です!… って言ってもおかしくないでしょ? |
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