100人もの行列ができる人気店
ステーキハウス「ハングリータイガー元住吉店」は、いつ行っても大盛況。
ガラス張り、高い天井――店内は明るく広くモダンな造りだが、木をふんだんに使っているので、ファミリーレストランのような空虚さはない。
人気は牛肉100%のハンバーグステーキ、土・日ともなると、100人もの順番待ちの列ができるというから凄い。都内からも多くの常連を呼び寄せる味の仕掛人が、料理長の近藤胸一さん、その人。
たいへん温厚な人で、笑顔がまた実にいい。客席正面のオープンキッチンで肉を焼く表情は明るいが、それでいてプロの迫力″が伝わってくる。
「誠意と情熱を形にして、お客様にお出しするんです。やっぱりおいしい料理を食べていただきたいし、また、それは料理人の義務であり、存在理由でもあるわけです。料理ってものは、ウマくて当たり前、マズけりゃ詐欺だと思いますね」
と近藤さん。この心意気が最高の味を作りだす第一歩と言えそうだ。それを前提に、さらに技術的なもの――いわゆる“腕”が要求されるのかもしれない。
肉の焼き方“違いが分からない”その極意
「御覧のとおり、荒びき肉を丸めて塩・コショウして焼くだけです。極めて単純です。吟味された良い材料を使って、単純に料理する――これが一番うまいんですよ。フランスあたりでもそういった動向があるようです」
確かに、一見した限りでは他店と特別異った点は感じられない。
「無造作に焼いているように見えるでしょう? でもね、肉を裏返すだけでも、なかなか難しいんですよ。それから、焼度は同じでも、その日の肉質の微妙な違いなんかでも味が変ってくるんですね。あらゆる条件の中で、いつでも均一のおいしさに仕上げることが大切なんです」
|
|
記事を書くためには、やはり実際に食べて見るべきだ! と一人合点。かくしてテーブルに運ばれたハンバーグステーキは掛値なしに「うまい」ものだった。その旨を伝えると、「味ではどこの店にも負けない自信があります」
と、胸を叩いて答えてくれた。
近藤さんも家に帰れば2女の父。意外なことに料理はしないそうで、「家では女房が料理長ですから……」と微笑んだ。
近藤胸一(こんどうむねかず)さん
宮崎県出身。横浜・戸塚の高校へ。10代で料理の業界に入り、昭和51年「ハングリータイガー」入社。同55年、元住吉店オープン時に今の職場に移る。戸塚の自宅ではマイホームパパ。32歳
|
|