午前10時。「いらっしやいませ」。赤いユニフォームが迎えてくれる。横浜駅西口「シァル」の一日が始まる。
“ロシアル”ってどこ?
「レストランは何階?」「子どもの靴を見たいんだけど…」「コインロッカーはどこ?」――いろいろな質問にてきぱきと答える案内係の皆さん。なかには、おかしなことを聞いてくるお客もいることだろう。
「『六本木へ行きたいんだけど…』なんて尋ねられますね。それでも、できるだけお教えするんですよ」
「最近おもしろかったのは、『ロシアル』ってここですか、とか。『横浜西口・シァル』が『横浜西・ロシアル』だと思われていたんですね」。こんな時は「笑いをこらえるのに必死」という。
困るのは、「コーヒーのおいしい店はどこ?」とか、「どのレコード屋さんがいいかしら」といった質問。「シァル」には、多くの店がテナントとしてはいっているので、特定の店を「おいしい店」として紹介することはできないそうだ。
「初めの頃は、お店の名前も場所もわからなくて、いつもパンフレットを見ながら、でした」と3人は口をそろえる。でも今は、そんなことはないので、ご安心を。
「上にまいります」で下に
シースルーエレベーター″をはじめ、3基あるエレベーターも案内係の持ち場。こちらでも、初めの頃は失敗があったのでは……。
「上にまいります、と言いながら、下(▼)のボタンを押して、そのまま下に行ったり。お客様の話が聞こえて、案内そっちのけで、ついその話に加わったり……」
2、3人でご利用の時も、エレベーターの中ではできればお話は止めていただきたい、というのが3人のお願い。ほかのお客様の声が聞こえないこともあるそうだ。
狭い密室に女性がひとり。変なお客もいるような気もするが…。
「いますよー。夏、“ビアテラス”が開いている時など、団体に囲まれたり…。酔ったお客様は、やはり困ります」
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