編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.774 2015.11.27 掲載 
戦争
   学生のページから

中高生なんでもリサーチ
  第1報「マンガ」  

☆名物先生
No.6
 
           編集:『とうよこ沿線』学生部
  
        ★昭和61年5月1日発行『とうよこ沿線』第33号から転載
     

    第1報 マンガ

    (BGM・ピンクパンサーのテーマ)

調査場所:渋谷・中目黒・自由が丘・日吉の各駅頭 都立大付属高校・
      横浜翠嵐高校

調査対象:中高生を中心とした学生。男21名(平均約17歳)女17
      (平均約16歳)
調査方法・調査員による個別面接  調査時期:昭和61322日−25


 我々「え★なぁに」特別機動調査隊は、とあるA国の諜報機関より依頼を受けた。

 21世紀に、まだ名もしれぬA国は一気に世界の頂点の国へ登る予定であるという。無論、現在から着々と各方面に手を回し、準備もぬかりなく進んでいるそうである。しかし、その頃A国の行く手をはばむもの、邪魔になる存在として日本≠ェクローズアップされてきた。そこで彼らは現在の中高生、つまり未来の主軸たる人物の意識調査をして、その結果をもとに予防策を練るつもりなのだ。

 今回は、一番の興味の対象として、omic  コミック
 という指令が来た。つまり漫画である。

当然我々は正確な情報をA国に提供しない。ここに報告することの反対を送るつもりだ。だが、それは逆に君の答ひとつで、ウソが正しくなりかねないことを意味するのだ。そこのところ、よろしく頼む。キミの答が、日本の将来を決定するわけなのだから。


 1.  マンガは好きですか

 はい87%・いいえ13%と圧倒的。中でも男子のはい組96%という数字は、何を意味するか。女子は75%。
 以下しばらくは、「はい」組のみの質問。

 2.  月(週)に何冊マンガ雑誌を読みますか

 お目々キラキラ少女マンガ、これがどうも不調らしい。週に平均2.3冊という数字も、一部の男子の週10冊などという数に、平均をつり上げられてのこと。
男子2.3冊。女子1.4冊。

 3. そのマンガのタイトルは(複数回答)

 男子・北斗の拳・タッチ  25

 女子・タッチ       100

 恐ろしや、恐ろしや。なんちゃって、サンプル数が少なすぎたからだと思う。多くてこれだったら……恐ろしや。
 少数意見、得票の多い順。うる星やつら・TO−Y・生徒諸君・前略ミルクハウス・こちら葛飾区亀有公園前派出所・ガラスの仮面・小さな恋の物語・超人ロック・など

 4.  好きなマンガ家(男女とも)

  あだち充 50% (タッチの作者)
  以下 バラバラに分かれる。
 (意見上位・川原由美子・成田美名子など)

 5.   好きなマンガ雑誌(男女とも)

  週刊少年ジャンプ 63% (北斗の拳)

 週刊少年サンデー 42% (タッチ)

 週刊少年マガジン 26

 YOUNGジャンプ 16

 別冊マーガレット  11

 ジャンプ・ヤンジャン・別マで90%、これ全部、♪集英杜の雑誌です〜。

6. どういう点が良いのだと思いますか

 「絵がきれい、可愛い」 計24%男10%女46

 「ストーリーがいい」   21%・30%・8

 「別にない、知らない」  12%・15%・8

全体的に男子は話中心、女子は絵柄中心に見ているようですね。また少数意見の中には、面白いから、くだらないから、と相反するものがあったり、「タッチ」に関し、野球部の主人公が坊主頭でないのがいい(うらやましい)などあり、楽しませてもらいました。

 7. マンガの利点は(複数回答・男女とも)

   気晴しになる       24
   ヒマつぶし・夢が見れる  15
    いろいろ役立つ・ない   12
 (少数意見・友達との話のネタになる・ただ笑える・漢字が読めるようになる・など)
 しかし気晴しなんて最近の中高生は大変なんだな。




8. 何故マンガが嫌いな人がいると思うか

    頭のかたい人たちだから、 16
 
  話に奥行きが少ないから  9
 趣味で・嫌いな人を知らない・バカらしいと決めつけ読まないから・マンネリが多いから6
 答としてはこんなものだろう。実際にはいろいろあるんだろうが。
 では逆に、@でいいえと答えた、自称マンガ嫌い、という人達にもうかがってみる。

9. あなたの興味のあることは(男女とも)

  占い 18% あとは少数でバラバラ

今流行の占い雑誌(マイバースディ・等)も結局マンガによるものが多い……。

  10. 何故マンガが好きな人がいると思うか

  おもしろいから     27
  読みやすいから     18
  そこにマンガがあるから 18

えっ! マンガを否定する人がいない? 解答用紙にびっしりと安易性を求める国民性の権化であるとか、1億2千万人総白痴化などと、いきり立って書いてくるのがいると思ったのだが…。

  総評

 『とうよこ沿線』の立場としては中立″を守りたいのだが、嫌いな人の反論が全くなく、好きな人の手きびしい意見を聞くたびに、仮にではあるが、ひとつの結論らしいものが見えてきてしまった。それは嫌いな人には特に理由などなく、見栄によるところが大きいということだ。

もちろん本当に忙しく、読んでる時間などない人もいるだろう。人それぞれ好みが違うように、本当に嫌いな人もいるだろう。
 引っぱっておいて突きはなす形になって悪いが、このコーナーでは最終的な結論を出したり、一般的な見解を大きくふるうことはしない。これから先は各自で考えていただきたい。だってこの調査隊はA国にニセ情報を流すことが任務なのだから。

最後に好き#hからの意見を2つ紹介しておこう。

彼らは良質な読物を求めすぎているし、かたくなだと思う。またそれを美点と思う人がこの社会に多いから。(横浜翠嵐高・女子・2年)

中学の頃に友人が「俺、タバコ吸ったぜ」と言うと大人に見えた。(浪人中・男子・19歳)

      ――次号予告――

さて、早速次回の指令が来てる。食″とくに外食について調べてみたい、とのこと。

学校帰りのラーメン。夜中にこっそり牛丼屋。うまいよねぇ、そのへんからじっくり大調査をする予定だ。ついては一緒に調べてくれる人、クラス、学校を大募集。渋谷4館の映画観賞券などのプレゼントもあるゾ。
 『とうよこ沿線』編集室「リサーチ」係まで電話か手紙で。24時間受付。締切り、なしっ!  
       文:福田智之
(大森・予備校生)

  ウチの学校の 名物先生だよ〜ん

  

「まじめだった生徒より叱ってばかりいた生徒のほうが卒業してから思い出すことが多いですね」。9年間教えた悪ガキども(?)とも3月でお別れ。

早大文学部卒の国語の先生。さぞかし文学青年かと思いきや、運動のほうが好きで、大学時代マンドリン部の腕を生かし、ギター部の顧問も。大好きなカラオケではお得意の「北酒場」に始まり、マイクを握ったら放さない。「98点を出したこともありますよ」

そうは言っても専門の近代文学の分野になると授業では熱弁をふるうらしく「自己陶酔の宇田川」の異名を取るほど。

県立鶴見高 宇田川 実先生(国語)
 昭和27年生まれ 独身
  そんな先生のおススメは山本周五郎の「長い坂」だって。「スマートに生きる人よりも、ダサイ生き方をしている人のほうが、自分の生き方をしてるな」と思えるんですよ。今の時代には読みにくいかもしれないけど、だからこそ読んでほしい」
 「鶴高の生徒は悪いことをしても教員に対する思いやりがあった。良い意味で解放感がある。そんな鶴高の自由を大事にしてほしい」。去って行く先生の温かい言葉である。           文:五月女恵子(反町・大学生)

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