編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.769 2015.11.24 掲載 
戦争
     学生のページから
 スカート少年

  名物先生
第1回
 
           編集:『とうよこ沿線』学生部
  
                  ★昭和60年6月1日発行『とうよこ沿線』第28号から転載
えんせんの パフォーマー 登場!
       スカート少年



ダボつき気味のガクランを着た男の子。新入生かなっと思って通りすぎ――えっ? うっそぉ、赤いスカート、はいてるウゥ! 思わず振り返ってマジマジと見つめてしまった。

 時に、47日の3時頃、日吉駅での不思議な出会い。ここで会ったが100年目(?)、彼につられて、渋谷行・各停電車に乗り込む。
 「ねえ、ねえ、なんでこんなことしてるの?」「名前はァ?」
 と矢継ぎ早に質問を浴びせてみると、彼は自分のはいている赤いスカートよりもさらに赤い顔をして、はずかしそうに答えてくれた。<あら、変なカッコしてるくせにシャイなのね>

  意外にマトモな動機

 「えっ、僕? 吉谷(よしたに)博之、今中3デス。喘息(ぜんそく)で小さい頃から病院通いをしてたんだけど、やっと治ったから、その記念にと思って」とスカート少年。(フーン、動機はマトモね)
 「それにさあ、東横線と山手線を一周したらお母さんが1万円くれるって言ったから」
  だって。オットー! とんでもない親子だね。
 この時間帯の東横線はワリとすいている。ってことは。人の目も集まりやすいわけ。無邪気な小学生が「うわあ、みっともワルーイ!」と大きな声で言ったからたまらない。

 

 「ねえ、あれなあに?」とクスクス笑う女子高生。ゴマシオ頭のサラリーマンは、わざわざ彼を避けて遠のいて行った。「うん、いいことだ」と訳のわからないことを言う人も出てきたところで、3時13分、電車は多摩川を通過。

スカート少年も場慣れしてきた様子。なかなか似合うように見えてくるから不思議。
 331分、やっと渋谷駅着。「さて、今の感想は?」と聞いたら、突然「もうやだぁ〜!」と叫んでズボンに履き替えだした。公衆の面前で、一生懸命着替えるユデダコ顔の彼はなかなかカワイイ。

 そこへ、電車の中ではシッカリ他人のフリをしていた見張り役のお母様、登場!
 「まだ山手線があるのよ」とニッコリ。

 
文:杉村みゆき(妙蓮寺 学生) 
 イラスト:中島雅子
(田園調布 学生)
 ウチの学校の 名物先生

事件は技術の時間に起こった。先生がなにやら長い木の棒を磨いている。
 「先生、それ何に使うんですか?」と聞くと、「これは仏壇の柱にするんだよ。拾ってきたんだ」と言う。(いったい何を考えているんだろう?)

そう、この先生は自分で仏壇を作っちゃうんだ。それだけてはない。どのようにして仏壇が長い間に変わってきたかとか、宗派によって、その違いがあるかなど、研究をしているんだ。

 そのうえ、僕の学校に仏壇研究部を作りたいなどと言う。はたして何人の生徒が入部するだろう……。



茂木進先生(51歳)
世田谷区立奥沢中学校


未来のお盆と仏壇

ともかく「21世紀にふさわしい仏壇を作るんだ」と、張り切る茂木先生。

春に死んだ人用の仏壇は桜色のピンクとかにしたら楽しいね。

               文:磯野 猛(奥沢中生)

「とうよこ沿線」TOPに戻る 次ページへ
「目次」に戻る