ダボつき気味のガクランを着た男の子。新入生かなっと思って通りすぎ――えっ? うっそぉ、赤いスカート、はいてるウゥ! 思わず振り返ってマジマジと見つめてしまった。
時に、4月7日の3時頃、日吉駅での不思議な出会い。ここで会ったが100年目(?)、彼につられて、渋谷行・各停電車に乗り込む。
「ねえ、ねえ、なんでこんなことしてるの?」「名前はァ?」
と矢継ぎ早に質問を浴びせてみると、彼は自分のはいている赤いスカートよりもさらに赤い顔をして、はずかしそうに答えてくれた。<あら、変なカッコしてるくせにシャイなのね>
意外にマトモな動機
「えっ、僕? 吉谷(よしたに)博之、今中3デス。喘息(ぜんそく)で小さい頃から病院通いをしてたんだけど、やっと治ったから、その記念にと思って」とスカート少年。(フーン、動機はマトモね)
「それにさあ、東横線と山手線を一周したらお母さんが1万円くれるって言ったから」
だって。オットー! とんでもない親子だね。
この時間帯の東横線はワリとすいている。ってことは。人の目も集まりやすいわけ。無邪気な小学生が「うわあ、みっともワルーイ!」と大きな声で言ったからたまらない。
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「ねえ、あれなあに?」とクスクス笑う女子高生。ゴマシオ頭のサラリーマンは、わざわざ彼を避けて遠のいて行った。「うん、いいことだ」と訳のわからないことを言う人も出てきたところで、3時13分、電車は多摩川を通過。
スカート少年も場慣れしてきた様子。なかなか似合うように見えてくるから不思議。
3時31分、やっと渋谷駅着。「さて、今の感想は?」と聞いたら、突然「もうやだぁ〜!」と叫んでズボンに履き替えだした。公衆の面前で、一生懸命着替えるユデダコ顔の彼はなかなかカワイイ。
そこへ、電車の中ではシッカリ他人のフリをしていた見張り役のお母様、登場!
「まだ山手線があるのよ」とニッコリ。
文:杉村みゆき(妙蓮寺 学生)
イラスト:中島雅子(田園調布 学生)
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