編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.765 2015.11.19 掲載 
戦争
見上げてごらん 夜の星
第1回
 
           文・イラスト:高田信治(電気工事士  綱島)
  
                  ★昭和60年9月28日発行『とうよこ沿線』第30号から転載

ハレー彗星が76年ぶりに地球に近づいて肉眼でも見られる明るさになるんだよ。

 そこで、彗星のことについてアマチュア天文家の立場から書いちゃおう。

 僕は天文同好会の役員をやってんだけど、まだまだ素人。彗星のことについてうまく説明できるかな……。


 

 彗星ってなんだろう?

 「ほうき星」の名で親しまれている彗星も昔は“悪魔の使い”だ、とか言われて嫌われていたんだ。でも科学の進歩と共に少しずつ正体がわかってきたんだよ。
  ひとくちに彗星といっても2種類あって、尾も無くただボーッと光ってるものと、長い尾をもってるものがあるんだ。

では、この尾をもった彗星の構造を説明しちゃいましょう。


 

 彗星の頭のまん中で1番明るく光ってる部分を“核”といい、直径は数キロメートルほどの小さいものから数百キロメートルというでっかいものまで色々あるんだって。この核は何で、できているかというと、水、メタン、アンモニア、炭酸ガスなんかが凍って、それに金属や隕石なんかの塵がくっついてできてるんだ。

 太陽に近づくとその氷が溶けてガスみたいになって核を囲んじゃうんだよ。このガスをコマというんだ。
 コマは太陽に近づくとだんだん大きくなって、一番大きくなった時で百万キロメートルを超えることもあるんだって!

 

 


 彗星の尾! これは本体が太陽風という太陽から出てる高いエネルギーをもった微粒子に押し流されてできるんだよ。


太陽風というのはすごく速くて、地球の近くでも平均秒速400キロメートルもあるんだってサ。尾の長さも色々あって長いものでは太陽〜地球間の距離15000万キロメートルよりも長く延びるのもあるんだってさ……すごい!

ハレー彗星が帰ってきた!

 今年から来年にかけてハレー彗星が見やすい明るさになってくるんだよ。この彗星は古くから確認されていて、紀元前240年に中国で観測された記録が残ってるんだってサ。
 でもその時の人たちはこの彗星が76年もかけて太陽と宇宙の間を行ったり来たりしてたなんて知らなかったろうな。

 そのことに初めて気がついたのは、ユドモンド・ハレーという人だった。
 ハレーさんは古い彗星の記録を調べてるうち、ある彗星が76年満期で楕円軌道を回ってることに気がついたんだよ。
 そこでハレーさんは1682年に出現した彗星が1758年末か1759年初めにその彗星が再び出現するだろうと予言をしたんだって。
 ハレーさんの死後16年たった1758年のクリスマスにヨハン・パリッチというアマチュア天文家がこの彗星を見つけて、その1カ月後にプロの天文家のシャルル・メシュがこの彗星を独立発見して、ハレーさんの予言が的中したんだ。それからこの彗星は「ハレー彗星」の名で知られることになったんだよ。

 さて、駆け足で彗星の事を書いてみたんだけど、どうかな? もうすぐハレー彗星が見やすくなるんだけど、どんな姿を見せてくれるのか楽しみだね、とっても。

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