編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.758 2015.11.16 掲載 
戦争
裕二の
東西 比較文化論
第4回
 最終回
 
            文:山本 裕二(平塚・本誌編集委員・会社員)  

                    ★昭和62年3月10日発行『とうよこ沿線』第37号から転載

 

 日本は、明治維新により近代的な中央集権国家となりました。国家としてのさまざまな機能が東京に集められ、東京を中心とする考え方が一般的になっています。東京が日本の先端を走っていて、すべて東京から始まると考えている人も多いようです。
 しかし、必ずしも東京が中心ではないジャンルも少なくないようです。
 今回は、東京から全国に広まった例と、東京へ伝わってきた例を紹介してみます。


 銀座通り

 「銀座通り」という名の目抜き通りが、全国至るところにあることを皆さんはご存じでしょうか。もちろん本家本元は東京の銀座ですが、たいがいの町には、この銀座の名を借りた通りがあります。
 私の住む平塚市にも、東海道筋に平塚銀座がありますし、私の郷里の佐賀市などは、白山銀座・元町銀座・呉服町銀座と、
3つも銀座があります。

 私個人としては、街の名前に安易に銀座を用いることはあまり好ましくないと思います。その街の個性を最初から否定しているような印象をうけるからです。
 ちなみに、大阪には銀座はありません。また、長崎にも銀座がないのですが、そのかわり繁華街には「銀座町」という通りがあります。



イラスト:高田信治











  風俗は西から東へ

 へンな話で恐縮ですが、新手の風俗営業というものは、たいがい西の方で生まれるようですね。キャバクラ、デート喫茶等々、関西地区から東京方面へ進出してきたものが多いようです。
 例えば、一時期全国に旋風を巻き起こしたノーパン喫茶は、大阪・ミナミの「あべのスキャンダル」が発祥の地であるといわれていますね。その原形は遠く福岡の「天まであがれ」であるという説もあります。

  豚まん? 肉まん?

 大阪から東京へ来たある人が、ある店で「豚まん、ください」と言いました。ところが、店の女の子は、きょとんとしています。それで、その人は彼女が聞こえなかったのだと思い、大声で「豚まん、豚まん!」と連呼しました。そしたらその女の子は怒って泣き出してしまったそうです。彼女は、自分のことを言われているのだと思ったのです。

 東京方面では、肉まんのことを「豚まん」とは言わないようですね。佐賀では、「肉まん」でも通じますが、どちらかと言えば「豚まん」の方が一般的です。大阪では、もちろん「豚まん」です。
 このように、同じものを指すのに違った言葉を使う例は相当多いようです。

 
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