編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.757 2015.11.16 掲載 
戦争
裕二の
東西 比較文化論
第3回
 
            文:山本 裕二(平塚・本誌編集委員・会社員)  

                    ★昭和61年12月1日発行『とうよこ沿線』第36号から転載

  寒くなってきました。私個人としては寒いのはあまり好きではないのですが冬は冬なりの楽しみもありますよね。熱いラーメンを食べて腹の底から暖まるのもその一つでしょう。

 そこで今回は、ラーメンが地域によってどう違うのかという問題を考えてみたいと思います。あくまでも私の乏しい知識の範囲内ですので、異論や疑問のある方も多いと思います。そういったご意見等は、編集室まで郵便、電話、FAXでどしどしお寄せください。


 名前は同じ「ラーメン」でも…

 私が九州からこちらへ出て来て初めてラーメンを食べたとき、かなり驚きました。話には聞いていましたが、これほど違うとは思っていなかったのです。

 麺の太さ、スープの色と味、具の内容など、まるで違っている。より具体的に言うと、麺は関東は太く九州は細い、スープは関東では醤油味で色は茶色、九州ではとんこつスープで色は白い、チャーシューは共通して入っているが、関東のラーメンには紅しょうががない、そのかわりにメンマが入っているなど、相異点が非常に多いのです。

 また、サッポロラーメンはさらに異なっています。最も大きな差は、モヤシが入っていることでしょう。私としては、ラーメンにモヤシが入っているなんてとても信じられませんでした。「モヤシが入っているのはラーメンではなくチャンボンだ」 という観念を持っていたからです。

 極端な言い方をすれば、同じ「ラーメン」という名前がついていても実は全く別の食べ物だというわけです。皆さんはどう思われますか?





 ラーメンの立場

 ラーメンを提供する店、またはその店内でのラーメンの立場にも、地方によって差があるようです。
 こちらでは、ラーメンは主に中華料理屋で出されていますね。ラーメン屋もありますが、たいがいそれはサッポロラーメン専門のようです。大衆食堂にもラーメンはありますが、その場合ラーメンはメインではなく「ラーメンもありますよ」といった感じです。



イラスト:高田信治

  

一方、九州では、ラーメンは主にラーメン屋で提供されます。そういう店にはチャーハンやギョウザは無く、数種類のラーメンとチャンポンなどだけがあります。あくまでラーメンがメインなのです。
 価格では、九州の方が100円ほど高くなっています。関東では、ラーメンは「中華料理屋で最も安いメニュー」という印象が強いようです。

 このように、外観や味だけでなく、ラーメンの立場にも地域差があるということは、非常に興味深いものです。

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