編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.756 2015.11.16 掲載 
戦争
裕二の
東西 比較文化論
第2回
 
            文:山本 裕二(平塚・本誌編集委員・会社員)  

                    ★昭和61年9月30日発行『とうよこ沿線』第35号から転載

 「単一民族・単一国家・単一言語で1億2千万人」……。外国人は、こんな国があるということを信じないそうです。もちろん、日本以外にそのような国はありません。世界でも類のない、同一性の高い国だと言えるでしょう。
 しかし、いろいろな面での地域差というものは、やはり結構あるものです。前号にひきつづき、この相違点をさがしてみます。


献杯・返杯

 私の郷里は九州・佐賀ですが、大ぜいで酒を飲むときに必ず「献杯・返杯」が行われたものです。これは、自分の盃の酒を飲み干して相手に渡し、それに酒を注いで相手にも飲み干してもらうわけですが、そうすると「ご返杯」といって相手も自分へ盃を渡してきて、飲み干さなくてはならないのです。この繰り返しで2人はベロンベロンに酔っていくのですが、私は関東地方でこれを見たことがありません。
 どこに理由があるのかわかりませんが、私個人としては、献杯・返杯という風習は楽しくてよいと思います。

銭湯

ご存じの方も多いと思いますが、銭湯には、「タオルを浴槽の中に入れないでください」と書いてあります。
 ところが大阪の銭湯にはこのような注意書きはないのです。つまり、タオルや手ぬぐいを湯船に入れてもかまわない。どうしてこのような違いが出るのでしょう?







切符売りのおばさん

 昔、大阪の地下鉄の運賃が 円均一だったころ、回数券を1枚1枚バラ売りするおばさんがいたそうです。11枚つづりで100円の回数券を1枚10円で売り、110円の売り上げと10円の利益を得るのです。 「よくそんな商売を思いつくなあ」と思いませんか?
ちろん東京には、私の記憶の限りではこのような商売はありません。それこそ浪花のド根性を物語る話ですね。



イラスト:高田信治

  歩行スピード

私が初めて東京へ出てきたとき、通行く人が恐るべきスピードで歩いているのに仰天しました。新宿の地下道を歩いている人に、走らなければ追いつけないのです。
 ところが、大阪の人は歩くのがもっと速い。ある調査によると、大阪の人の平均が分速
84メートル、東京が81メートル、ちなみに不動産屋の広告で「徒歩何分」というのは、分速80メートルを基準にしてあります。東西とも、やはり大都会の人は少しせっかちなのかな?

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