編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏
NO.736 2015.11.10 掲載 
戦争
後編
        
 
                 文:品田みほ(本誌編集委員)    イラスト:石野英夫(元住吉)
                    ★平成10年1月10日発行『とうよこ沿線』69号から転載


                     ガンバレ! 銭湯

  2700軒ほどあった東京の銭湯が、この30年間で1500軒ほどになってしまった。1週間に1軒の割合で暖簾を閉めている勘定だ。内風呂の普及がその大きな理由。
 そこで登場したのがサウナ・気泡風呂やカラオケなどの設備を備えたニュー銭湯だ。番台もフロントと様変わりし、脱衣所も篭ではなくロッカー。

 お年寄りに月何回か無料デーを設けている所も多い。銭湯は非日常の空間だ。内風呂では味わえない人情と温もりがある。子どもの日にはショウブ(菖蒲)湯、冬至にはユズ湯と季節を肌で感じさせてくれるのも銭湯ならでは。街の社交場として、これからもガンバッテ欲しいものだ。 (品田みほ)



★左下の「住吉温泉」は掲載後、廃業。中央の「東京園」は平成27年5月から
工事のため休業中です。




ビジネスホテルと併設の超モダンな銭湯

   湯プラザ ウエルネス
   
田園都市線二子新地

    
 銭湯より安いクアハウス

まずその外観にびっくり! ビルの上には「ビジネスイン・ウエルネス、湯プラザ ウエルネス」と大きな看板が出ている。入浴券が370円(平成10年時)と銭湯より安い。

サウナは、10人位は一度に入れるスペースでテレビまで付いている。湯船の端の方にボタンー押しでジェットバブルが1分ほど出て(かなり強力)腰、背中の凝りをとってくれた。浴槽横の階段を上がると古代檜露天風呂。
  ここはもともと昭和25年に銭湯、「諏訪の湯」として先代の勇輔さんが創業。4年前に大改築、湯プラザウエルネスとして併設のビジネスホテルと同時オープンした。たまプラーザ、渋谷方面からのお客さんも多く、外国人の方も来られるとか。(文 俵賢一)

 休日:木曜  営業:平日は午後3時〜夜10時半、土・日・祝は午後3時〜夜11

 入浴料(平成10年時):大人385円、子供170円 サウナ:580

 所在地:川崎市高津区諏訪1-12-1(田園都市線二子新地駅、徒歩3分)  044-844-7123



墨汁を煮立てたような真っ黒いお湯、いかにも効能がありそう……

     千年温泉
   
  南武線武蔵新城

   
お湯はコーラ色ではなく、真っ黒

「去年、あの間寛平が露天風呂のタイルを貼って行ってくれてねえ」と千年温泉のご主人、深沢国男さん(59)。昨年の暮れ、テレビ番組の取材を受けた時の話らしい。コメディアン・間寛平の下積み時代はタイル職人だったとか。

昭和334月に先代の父親、深沢藤一さんが「千年湯」として創業。昭和5310月井戸掘り中に偶然真黒なお湯が噴き出す温泉に突き当たり、分析の結果アルカリ性重曹泉と判明、県から温泉浴用許可がおりた。昭和60年に大改装し、「千年温泉」として12年目。

壁面には丹沢の山々が描かれ、露天風呂にはウグイスの鳴き声がスピーカーから流れている。2階は60畳分の大ホールになっていて食べ物持ち込み自由。出前もOKでカラオケもあり、近所の人の憩いの場になっている。
 アルカリ泉でリューマチ・冷え性などに効き、お年寄りから若者までと客層は幅広い。(文 俵賢一)

 定休日:金曜

 営業:午後1時半〜夜12時半

 入浴料:大人470円 中学生370円 小学生200円 未就学児無料  サウナ:600円(入浴料込み)
        土曜日は“福寿手帳”持参者に入浴料半額。

 川崎市高津区千年新町204 (武蔵新庄駅から徒歩7分)   電話0447666240




丸子温泉といえば新丸子の名所の一つ。50畳もある休憩室、ここでゆっくりくつろげる
   丸子温泉  新丸子

    
   昔懐かしい風情が漂う

 「♪赤い手ぬぐいマフラー−にして〜」なんて歌が出てくるような、懐かしい温泉が新丸子にある。


昭和20年に創業、現在は息子の厳さん夫婦が受け継いでいる。浴場の奥には浴槽が二つ並び、一方の浴場の岩間から吹き出すコーラのような褐色のお湯が丸子温泉名物の重曹泉。手ざわりは水道水に比べて非常に滑らかで、心なしか芳しい。
  神経痛やリューマチ、婦人疾患に効くということで、遠くは干葉や栃木などから訪れるファンも多いとか。
  2階には50畳の休憩室があり、10時から4時半までなら1000円で何度でも入浴できるという、実にありがたいサービスもある(土・日・月・火)。
  こんなに近くで、内風呂では味わえない贅沢が楽しめるなんて、感動もの。(文 高津利恵)

  休日:金曜

  営業:昼3時〜夜10時半

  入浴料:大人470円 中学生370円 小学生200円 未就学児無料
         朝風呂550円(10時〜昼3時)

    川崎市中原区新丸子町675(新丸子駅から徒歩3分)  044-711-3378



老舗中の老舗綱島街道端の東京園

 綱島ラジウム温泉 東京園
  
★平成27年5月から工事のため休業中

    
 安く、皆が楽しくくつろげる
 7時から開園を待つ人がいる。通勤途中に驚いたことがあるが、ここの居心地の良さを知って納得。飲食物持ち込み可のうえ、売店でも安く買えてお酒も飲める。

明るい大広間が大中小と4部屋と個室もあり、カラオケする人、三味線を弾くおじいちゃん、食べ物を囲むおばあちゃんたちがいた。
  天然100%の鉱泉は4142℃に沸かしてある。「沸かす」といえば、北海道から出てきた少年がこの鉱泉を沸かしていた。ある日、大広間で歌う専属歌手が休み、その代役をその少年が務めた。それが大好評、お客さんの語り草に。少年はここ東京園の中村社長の支援で夜間高校に通い、歌手を志す。長じて天下一の美声歌手、そう、あの三橋美智也だ。
  だいぶ脱線したが、湯は黒くて湯船の底が見えないが浅いのでご安心を。リューマチ、神経痛に効き、まろやかで肌にも良く、なんと言っても温まる。飲むと糖尿、胃腸に良いそうだ。創業昭和8年、東横線が開通した大正15年〜昭和19年までは「綱島温泉駅」という駅名で熱海のように旅館が建ち並んでいた。いま温泉はここ1軒だけ、地域の社交場にもなっている。(文 近藤睦子)

  休日:年中無休

 営業:10時〜夜830分(広間利用は午後5時まで)

 入場券料金:大人900円 中人600円 同伴幼児無料(10時〜17時)

 入浴料:大人450円 子供180円 同伴児童無料(1時間以内、午後4時〜845分)

 ☆港北・緑・都筑各区在住者60歳以上は1450

 ☆こどもの日小学生以下無料 ☆敬老の日 60歳以上無料

 横浜市港北区綱島東(綱島駅1分) 045-531-0003

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