デパートの試着室を思わせる個室
教えられたコマ劇場の近くへ行ってみると、あるわ、あるわ、そこいらじゅうノゾキ部屋だらけ。その中から、呼び込みの声をスピーカ−で通りに流している雑居ビルの2階の店に入ることに決め、急な階段を昇って行きました。 ホテルのフロントのような入り口で2000円を払うと、デパートの試着室そっくりのカーテンの付いた個室が5、6個並んだ狭い通路に通され、「ここへどうぞ」と、そのうちの一つをあてがわれました。
それは80センチ四方位の広さの部屋で、正面に30センチ四方位の窓があって、丸椅子と大きなゴミ箱とティッシュが1箱置いてあるだけでした。
「ずいぶん狭いのネ。入れるかしら?」「だいじょうぶですヨ。アベックで来る人だって多いんですヨ」 ホントかしら‥…?
|
|
穴から千円札が。すると彼女は…
狭い個室の中でヒザがアゴにつくような格好で座り、暗い洞穴のような部屋の中をノゾクと、奥の中央にはビデオがあって、壁には〈バストタッチ1000円〉、〈バスト+ヒップタッチ2000円〉という貼り紙がしてあるのが見えました。ハテ、どうやってお金を払うのかと思って見回すと、個室の上の方に穴があいていて、<チップはここから>と書いてあるのに気づきました。ナルホド…。
まず始まったのは、ビデオでした。つぎつぎと男女が登場して、ヤルベき事をヤルだけのもので、性殖についての記録映画を見せられているような気がしました。
20分以上過ぎてから、部屋の明かりがついて、ミニスカートとブラウス姿の20歳位の女の子が、とうとう現れました。ムード音楽に合わせて踊りながら全裸になる。とその時、千円札が投げ込まれました。彼女はお札が飛んで来た個室の窓を開け、胸を触らせ、しばらくそこで踊っていました。その間、他のお客さんが退屈しないようにビデオはついたままです。
そのあと彼女は、部屋の中央に寝ころんで、エアロビックスのように足をバタバタさせ始めましたが、誰もお金を投げ込まないのがわかると、ヒョイと手をのばしてビデオを止めてしまい、ふてくされた顔で足の運動を続けました。間もなく明かりが消え、女の子はスッといなくなってしまい、あとには暗がりだけが残りました。
それは、正味10分位のショーでした。
|