編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏 / ロゴ:配野美矢子
NO.699 2015.06.24 掲載

 
『とうよこ沿線』No.70…平成10年(1998)5月30日

 B5判 紙数:60ページ
 頒布:有料  定価300円
   
 読者と編集室との架け橋

        東横線の草創期と学校誘致

  東横線のこぼれ話を少々書きます。
  実は、東横線は走り出だしたものの、当初は乗客が少なくたいへん苦労したようです。なにしろタヌキが轢かれるようなド田舎の元住吉や日吉、大倉山を走っても乗客はわいてきません。 日吉で竹の子掘りをやったり、「夏は涼しいガラ空き電車」という広告を出したりして頑張ったそうですが、折からの大不況で、昭和4年から昭和8年にかけて、創始者の五島慶太氏は自殺を考えるほど苦しい思いをしたと言っています。
 分譲地のビラ配りに日比谷公園に行くと松の木がどれも首吊りの木に見えたと書き残しています。
 その最後の打開策は「コップに水理論」なのです。沿線の乗客はだんだん増えても、朝は都会へ向けて、夜は住宅地に向けて、ざあっとコップの水をあけるようなもので、反対方向の電車はガラガラ。そこで、分譲地用に買ってあった土地をほとんどタダ同然に放出して、学校を誘致したのです。
 日吉の慶応キャンパス、大岡山の東京工大、府立高等(現都立大学)、青山師範(現学芸大学)、法政大学(元住吉)、日本医科大学(新丸子)、昭和医専(旗の台)、武蔵商工(尾山台)などはこうして、都心から東急沿線に移り、反対側の電車にも乗客が乗るようになったのです。
 戦後まで、日吉行の電車は白抜きの「文」という文字の中に渋谷〜日吉の先頭マークをつけていました。これで、東横沿線になぜ学校が多いか、そして、関東の中で最も乗客の品位が高くなった背景がおわかりになったかと思います。
   (日吉・プリンス幼稚園 田辺雅文)
      





本号は「沿線の私立中学・高校特集」、この沿線に学校が多いワケと先駆者のご苦労がよ〜く分かりました。(編集子)


       団地建て替え! 庭の花木は?

うちの近くにある公団・南日吉団地が建て替えられます。けっこう規模の大きな団地で、私が日吉台中学校に通っていた頃にはすでにあったので、相当古い。外から見ても、住人不在の部屋が目立つようになりました。
 団地内にはいくつも公園があり、車の心配がないので幼児を連れたお母さん方には評判がいいようです。この団地のいいところは、住人が思い思いに花を育てられ場所があることです。ベランダ側はもちろん、北側も道から入り□までの間にスペースがあり、どの道を通ってもいろいろな草花や低木が植えられています。春から秋にかけて、この団地の庭は本当にきれいです。それも、きちんと計画された植栽では見られないような、なんとも言えない不思議な調和があります。
 建て替えが迫るにつれて、この草花たちはどうなるのかと気がもめて仕方ありません。
 数日前、息子が「カナヘビがいる場所」といって連れていってくれた所は住人がもういない部屋の前庭でしたが、壊れかけたプランターの中で、春蘭がとてもきれいに咲き誇っていました。
 毎年毎年、この団地の花を見ながら季節を感じてきた身にとっては、ブルドーザーで根こそぎ掘り起こされてしまうのかと想像だけで胸が痛みます。
 引っ越していく方が残していく草花を何とか救う手だてはないものか、と住人でない身なのに勝手に考えたりしています。
 団地が新しくなったら、もうこんな贅沢なスペースはつくらないでしようね。これも時代といえばそれまでですが、失いたくない風景です。
  (綱島・会社員兼業主婦・安田澄子)







 安田さんの植物への思いやりに感動し、私は住宅都市整備公団の本社広報課へ質問状を出しました。建物解体前に草木を育ててくれる「里親」を地域に公募したらどうかと。1カ月経っても未だに返事がありません。どうしたの、公団さん?
(岩田忠利)

       世相に見る日本人の心――2題

        その1――学内で盗られた財布

 最近、犯罪が増え、人の心がすさんできているように思えてなりません。巷のニュースでは、現金が強奪されたり、人を簡単にナイフで刺したり……。
 私事ですが、従業員が仕事で超有名某大学に行って、机の上にうっかり置いていたお財布がなくなってしまいました。必死に探して見つかったお財布は女子トイレのごみ箱に捨ててありました。中身のお金(9万8干円)は、空っぽでした。
 学生に良い印象を持っていた彼女は、お金がなくなったショックと裏切られた気持ちを泣いて私に訴えていました。
 日本も安全だった時代は残念ながら過去のことなのでしようか?
 (向河原・主婦・糸井京子)

        その2――言葉づかいが最近の日本人の象徴

  最近日本人の気持ちがすっかり変わってしまったように感じています。考え方や行動が子供じみているといった方がいいかもしれません。
  子供は善悪の見境がなく自他の区別もできません。私はできるだけ執着心をなくそうと思っていますが、なかなかそうはいかないものですね。
   この話を聞いて先日老人を襲った女の子の話を思い出してしまいました。関係ないかも知れませんがひとつ気になっていることがあります。それは言葉づかいです。確かに自由な社会になってなんでも自由に発言できます。でも、ことばはその人の人格をつくります。
  (菊名・会社社長・小林富夫)





 お二人の問答から、最近の日本の世相と私たち日本人をあなたはどう見ていますか?
 (編集子)


         最近の鯉のぼり

  最近、鯉のぼりを見なくなりました。
 団地やマンションのベランダから、遠慮がちに突き出ているものでもなく、観光地でやっているような、ロープにたくさん吊されているものでもなく、庭先の柱から揚げられた数匹の鯉のぼりらしい鯉のぼり。やっぱり鯉のぼりは、ああじゃなくちゃ、というのが私個人の鯉のぼり観です。

 住宅事情等でなかなか無理なのでしようが、身近な所で見たいものです。

 息子が通っていた保育園でも、毎年鯉のぼりを出すのですが、木と木の間にロープを渡して鯉のぼりをぶらさげるので迫力ありません。せめて、幼稚園や保育園では、高々と「揚げて」欲しいのですが……。
  (綱島・安田澄子)





  そう言えば、♪屋根より高いこいのぼり〜 と歌われた5月の歳時記、見かけませんね。(編集子)
 

    スタッフの英気を養う

  「東横ファーム」オープン!


 編集の仕事といえば車で取材先へ、帰ればパソコンに向かって原稿書きやデザイン。
終日お天道様に当たらない私の体型など、まさに陸に上がったトド。

 スタッフ山室まささんの案内で新羽町・間野重夫さん宅に取材にうかがった折のこと。「こんな自然がいっぱいの中で畑でも耕せたら」と私が話したのが事の始まり。 数日後、山室さんを介して「草さえ生やさなければ無料で」と間野さんから願ってもないお話が舞い込んだのでした。



共に耕す「東横ファーム」の仲間です

 畑は北に目と鼻の先に市営地下鉄「新横浜北駅」、南に鶴見川を挟んで新横浜のビル街。都市化の波が四方から押し寄せる中での大地、約90坪の畑。
  太陽を浴びて英気を養うこの畑を「東横ファーム」と名付け、私たちはかくして週1度キーボード打つ手を鍬に持ちかえ、土を耕し種を蒔く“日曜農民”となったのです。
 私たちの汗が結実、次号で「収穫祭」の模様をレポートできればいいのですが。
 (岩田忠利)

       情報の“送り手”、延べ2333名の声

  編集の音(抜粋)
  は本号から参加の会員です






プロ野球開幕でSG戦を3日間テレビ観戦。新品の高級品とリサイクル品の差を見せつけられ胸が痛んだ。多数の有能スタッフを揃え、宣伝も派手にできる出版社と違って、零細なわが編集室とがオーバーラップして、やっぱりお金の世の中か!
(編集室 鈴木善子)







4月から横浜にあるカルチャーセンターの英会話のクラスに通い始めた。レベル判定テストを行い、中級と診断された。英語に真面目に取り組むのは学生時代以来。皆さんが米人の先生と楽しく四つに組んでいる姿に新鮮な刺激を受けた。
(菊名・鈴木みづえ)







ある日の『とうよこ沿線』編集室……。「足元が暖かいと思ったら、ズボンの下にパジャマはいてたよ」。え〜! 一同大爆笑。こんな名物編集長のいるオモロイ部屋です。ぜひ遊びに来てくださいね。
(反町・フリーター主婦・品田みほ)






陶芸の体験ルポで作らせて頂いた我が小鉢、見るほどにいじらしさがジワリ。何にでも作った人がいるんだな、なんて改めて実感したりして……物は大事にしなくちゃね。
(鴨居・高津利恵)














「しかつめらしい」とあるのは「しかめつら」の誤植では? と聞かれた。「いや、いいんだ」と、しかつめらしい顔で答えた。それにしてもと語源を調べたら一書に「しかつめらしい」はシカツベラシの訛りで、それはシカリツベクアラシの略だと。「えっ、それって、なに?」はいたる所に。
(菊名 大崎春哉)







はじめまして。今号より参加のタカギです。OLと編集記者、二束のワラジで自称「ムーンライター」(月夜に原稿書く人、の意味)で頑張っていきますので、皆さんよろしく。(自作のホームページも)
(白楽・OL・高木あきこ)







美術館めぐりから町のアートギャラリーに目を移し、渋谷、銀座、横浜などを探索しています。美しい絵を見れていいのだけど。話し込んじゃうと買わされそうになるのがちょっとつらいかな。
(武蔵中原・俵 賢一)






岩田さんの分身でもある、歴史と人との関わり合いにおいて成り立つ『とうよこ沿線』に掲載していただけることに、心臓パクパクです!
(向河原・主婦・糸井京子)







ホームページのメニューに、「私の街のお医者さん」が追加になりました。356件の中から目的別に検索ができます。貴方のかかりつけの頼りになる、すぐ掛かれる良いお医者さんをお探しください。
(武蔵新城・会社員・菊池清美♂)







 ホームページ関係と、編集のお手伝いをしている片桐といいます。東横沿線には活気がある町が多いですね。これから、雑誌内外でいろいろ協力していけたらと思っています。
(鴨居・会社員・片桐 悠)







春になり急に忙しくなってしまい、3カ月ほど休みがありません。新しくなった編集室へ早く入ってみたいのですが……。新しいスタッフの方々、古くからのスタッフの皆さん、私もこれからがんばります。どうぞよろしく!
(日吉・兼業主婦・近藤睦子)







庭の十二単が1カ月以上も早く咲いた。ツツジも満開。我が家のツツジは白と赤の咲き分けだったのが白、赤、ピンク、白に赤縞、赤に白縞が同居となつた。面白いので、出来ればこのままでいて欲しい。
(綱島・千葉 望)






















 最近の国内ニュースは暗いことばかり。不況、金融不安、中学生の殺傷事件……。
「これでは21世紀の日本どうなっちゃうの?」なんて先行き不安を抱くのは私だけだろうか。なかでも連日のように起こる中学生のナイフ事件、これは21世紀の担い手、中学生のことだけに切実な問題です。

 先日新聞のコラムを読んでいたら、米国・カリフォルニア州の非行が進むある学校の話。校庭に農園を設け、生徒たちに野菜を作らせ収穫した野菜でバーベキューの楽しい収穫祭。これを学校行事に取り入れたら、窓ガラスを割る生徒はいなくなるなど非行防止策が大ホームラン。この事例に習った学校がカリフォルニア州だけで1000校に及ぶという。
 日本でも減反政策で遊んでいる農地を学校や中学生に開放し耕作させたらどうだろう? 英語の「カルチャー」には「耕す」という意味もあるのだから。
 (編集長・岩田忠利)

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