10年は発起人みんなの願い
「なんとしても、l0年間は発行し続けたいなあ!」これが、55年4月会発足当時の発起人みんなの願いでした。“なにごとも10年続けて一人前”といわれるように、10年というサイクルが個人や組織の持続的行為を社会的存在として認知する基準とされているようです。
長期計画と編集方針
まず私は10年間続けるための長期計画を立てました。3年を1期とし、基礎・成長・熟成の各期に分け、最後の1年間を完成期とする。そしてこれを仲間の会員に発表したものです。しかし計るは易く、行うは難しで、やはり問題は、計画どおりの実行と成果でした。
こんな薄っぺらな雑誌を発行するのにも、1号ごとに何かしら必ず新しい問題が起き、その行く手の障害となる。とくに私たちの『とうよこ沿線』だけは、「政治・経済・宗教には厳正中立。特定な組織の“ヒモ付き”には絶対ならず、私たち住民の自由意思で編集する」の基本方針を貫いてやってきました。それだけに、金権万能の社会風潮がますます蔓延化する大都会の中で独自に持続する困難さは、私自身の予想をはるかに超えるものでした。
ヒト・カネは慢性的難問
人材と資金、いわゆるヒト・カネ問題は慢性的難問で、薄氷を踏む思いの連続です。このほかにも新しい問題や出来事が毎号降って湧くように。そのたびに私は、青菜に塩のようにしぼみそうになる自分に「問題こそは発展の源泉。これを乗り越えれば未来がある」と言い聞かせては試行錯誤の繰り返し、全力投球してきました。
それでも体調のすぐれないときなどは、1号を発行するエネルギーのことを考えると、目標の10年が果てしなく遠い、荒海の向こうの岸辺のように思えたものです。
幾多の人に支えられ、すぐそこに…
それがとうとう――来年の春、念願の満10年という歳月が現実となります。どんなことがあっても走り続けて10年目、もうゴールは目前。
いま、過去の悲喜こもごもの記憶が走馬灯のように去来します。貴重な資金源として広告提供くださった延べ3千軒の、あの人この人の顔.取材や配本で出会った数千人の顔、顔、顔。さらに編集室で締切前に原稿に向かう編集仲間と広告スタッフ、発行後の配本やチラシ配布にがんばる諸君……。それぞれに持てる力を振り絞って深夜まで、いや連日連夜の徹夜でがんばった顔、顔、顔……。
こうした人たちこそ、神が私に過ぎ去った10年間の代償として与えてくれた、掛け替えのない財産です。
次号は49号.これが順調に進めば次々号は待望の「創立満10周年記念号、第50号」となる予定です。この記念すべき号では、いわゆる風雪10年を区切りとし、さらに21世紀に向けて飛躍する“改革的企画”を誌上で発表したいと今から検討しています。
ご愛読者のなかに、本誌の一層の発展をはかる“斬新な具体策”をお持ちのお方は、ご一報くださいますようお願いいたします。
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