編集:岩田忠利 / 編集支援:阿部匡宏 / ロゴ:配野美矢子
NO.644 2015.05.18 掲載

 
『とうよこ沿線』No.18…昭和58年(1983)9月1日

 B5判 紙数:76ページ

 頒布:有料 定価200円
   
      参加して…

漫画家・畑田先生の紹介で入会。第4号「椿」の表紙の写真を担当したカメラマン。映画監書・森谷司郎氏のスタッフになったり、お忙しい人です。


     
愛されたいから出会うのです


    
カメラマン  八木 欣也(上野毛

 人間にとって時間、距離間とは実に曖昧なものである。親しい友人と酒を飲み、話をしている時、仕事に追われている時、アッという間に時間は過ぎてゆく。逆にテレビのわずか数分のCMがやたら長く感じることもある。

 人と人との出会いも、これほど曖昧でこれほどウレシイことはない。日々、街中を歩き多くの人とすれ違うなか、誰かの知り合い、職場の同僚、共通の話題によって話が広がり、しだいに一つの集団となっていく。その中で、人は心の奥底では必ず相手に理解されたい、認められたい、そして愛されたいと願っていることを認識したい。それが人と人との本当の意味での和のように思う。

 数年前のある夜のこと。いつもは散らかり放題の机の上に置いてあった一冊の薄い本。ウィスキーを飲みながらスタンドをつけ、他の資料の合い間に1ページ1ページと見ていると、人の心のあたたかさが誌面から伝わってきて、共感したことを覚えている。この時が『とうよこ沿線』との初めての出合いだった。

 あれから数年、今でも扉を開くと同じぬくもりが伝わってくる。これからも本作りを愛する人が、それを読む相手をも愛する誌面でいてほしい。

14号「橙」から参加の山火さんは、東北大出身。ご主人(神奈川大教授、のち同大学長)とは同窓生。綱島の見晴らし抜群のマンション生活は2年目。   

  今日も楽しい“恥”かいてます


    主婦  山火 典子(綱島


 綱島に引越してきてようやく1年たちました。1年前、駅名すらなじみのないこの『とうよこ沿線』とこんなにもなつかしい関係になろうとは夢にも思いませんでした。

 生まれつき消極的(?)で、自分からシャシャリ出るなんて少しも考えたことのない私は、引っ越して間もなく、主人が買い込んできた『とうよこ沿線』のクイズに何気なく応募しただけ。「景品のTシャツがみたい」とちょっとした好奇心にかられただけ。それがどういうわけか、あれよ、あれよという間に編集の仲間入り。これはもう一種の詐欺ではないでしょうか、と憤慨したりして。

 さて、仲間となれば、これはもう「釣った魚に餌はやらない」という言葉を思い出したが、遠慮もない。
 「初対面の人は苦手だなァ」とか、「文章を書くのは恥をさらすようでいやだなァ」と言ってみても、「生きるってこと自体、恥をかくことではないのですか」といわれては、返す言葉もみつからない。背中を突きとばされるようにして人に会い、文章を書いて、恥かいて……。

 お陰で今では東横沿線に住む楽しさが、何倍にもなりました。

 学校、塾、子供会、そして『とうよこ沿線』。一日を四分割した活動はご立派。簡潔にしてユーモアある文体は定評。編集室に来室した人たちが気楽に読んで書く『記楽帳』の責任者です。

     
忘れられない、この気持ち


    
奥沢中2年  数野 慶久(奥沢


 あれからもう1年。早いものですねェ。そう、中学生になりたての僕がこの雑誌に載るようになってから。

 最初の仕事は12号の配本でした。電車にたくさん乗れるというので喜んでついて行ったら、重い荷物を持たされ駅の階段を昇り下り、これまた重い返本を持って帰ってくるという有様でした。でも、今はこれが一番楽しい仕事です。それに返本が無いときは「さあ、やるぞ!」という気分になります。

 今も忘れられないのは、初めて雑誌に載ったときの心境です。うれしい気持ちとこわい気持ちがゴチャゴチャになって、文では言い表わせません。これを読んでいらっしゃる皆さんもこの会に入ったらこういう心境になれると思います。おっと、ここで入会のお誘いをしてしまった。

 編集室の行事も非常に楽しいものです。「UNO大会、七夕祭、旅行、初もうで」などなど。
  あのおもしろかった日のことを思い出しては僕がニヤニヤしていると、母が言うのです。「あんた、アタマがおかしくなったんじゃないの?」


    情報の“送り手”、延べ2333名の声の中から

   編集の音(抜粋)

    は本号から参加した会員です。




先日『とうよこ沿線』を近くの人達に配ったら、どういうわけか「ようこそ沿線(?)、アリガトウ」とお礼をいわれた。一瞬ギョツ!? でもなかなか、いい雑誌名だ。「ようこそ沿線」に改名したらどうだろう、編集長。
(武蔵小杉・鍼灸指圧師・坂田勝則)




5行の、この原稿でもう頭をかかえている私……。こんなことで、これから先、だいじょうぶかと、自分で自分に、不安を抱いています。原稿のむずかしさ、いま全身で感じています。
(武蔵小杉・看護婦・伊勢直美)






「駕籠(かご)に乗る人担ぐ人その又草鞋(わらじ)をつくる人」。私の好きな言葉です。人と人とがかかわり、幾多の過程を経てこの世は成り立つことは本づくりも同様。『とうよこ沿線』が店頭に並ぶまでのプロセスは我々の貴重なドラマだ。
(田園調布村の住人・上井 徹)





「今年もあと11カ月か…」と冗談をいっていたのは初詣の日。編集室恒例七夕祭も終わった。残暑が過ぎると月日の経つのが早い。何の進歩もなく無為に終りそうなこの1年。3カ月余りを有意義に過ごさねば。
(日吉・カメラマン・森 邦夫)




ジャガイモ、ナス、キュウリ、トマト、インゲン、カボチャ、エダマメ。これは我家の家庭菜園で採れたものです。新鮮な野菜を十分に食べました。秋・冬へとスタミナは蓄えましたゾ!
(日吉・和裁士・加藤悦子)





今号は祐天寺のイラストマップも載るということで、数少ない祐天寺地区住民としては非常に嬉しい。入学以来初めての定期試験もなんとか乗り越えて、あとは楽しい夏休み!
(祐天寺・学生・一色隆徳)




私が「大和魂」と言ったら「どんなお化け?」と聞いてきた若者に出会いました。答えようがない、と片付けてはいけない。こんな時、現代っ子に理解出来るような答え方をこちらでお伺いしたいです。(ちなみに私は大正生まれ)
(大倉山・会社員・山室まさ)





東横線の窓外を眺めてふと思った。渋谷から桜木町まで線路の両側に直接沿っている家は全部で何軒あるのだろうか?  なんて。あんまりいい発想ではないようですね。
(祐天寺・会社員・一柳 幸)





この号が街に出も頃はギラギラ残暑の真最中。ところが、この原稿を書いている今は、冷たい雨の降り続く毎日です。とってもサマーバケーションてな気持ちにゃなれないゼ。やはり、地球滅亡の日は近いのだろうか?
(妙蓮寺・公務員・込官紀子)





もう、やんなっちゃう。何がいやだって、「四捨五入」っていう言葉が一番いやだわ。なんで4が20で、5が30なの? プツブツ……。本人ちっとも気にしないつもりでも、やっぱりね。
(日吉・会社員・久保島紀子)






編集室専属の“お坊様”(写真下)が来ました。1回10円をお坊さんの頭にある賽銭投入口に入れてください。失恋・失敗・没原稿など、各種供養いたします。読者のみなさんも供養するものをご持参で、お越しください。年中無休で受付けいたします。
(日吉・必殺調理見習人・斉藤真一)














悩める会員や愛読者を救うため、このたび編集長に乞われ仲間になった「編集山 誤字脱寺」住職“ポクポク坊さん”じゃあ――。悩み事があったらどんなことでも持ってらっしゃい! 
 さぁ、一発で解決してみせやんしょう! 
 (日吉・僧侶・ポクポク坊主)











ひな祭、七夕祭――と祭好きの編集長ほかスタッフの面々は、雑誌づくりが一段落すると編集室はもうお祭り騒ぎ。飲んで歌って、ダベって、夜もシラジラ……。いやあ、人生って楽しいですねえ。
(日吉・編集室・鈴木善子)




でんわ、大好き……。外界との接続が電線一本の生活に、ひょんな弾みでなってしまった数週間。気付かされたのは、感覚が鈍ってしまった、そして有っても無くても時間の使い方がへタだという自分。
(田園調布・学生・中島雅子)





前号「編集ノート」続編。自由が丘のおまわりさんは息子から汚れた10円玉を受けとると一言礼をいった後、サイフからピカピカの10円玉を取り出して息子に手渡した。「正直にいってきたご褒美だよ」
(自由が丘・漫画家・畑田国男)





私も『とうよこ沿線』を作りを始めて早3年。思い出すのは初仕事だ。編集長が「今度ぜひ渋谷〜桜木町までをみんなで歩こうよ」と言われ、1カ月かかって地図を描きあげたことだった。
(妙蓮寺・会社員・菅間映二)





9月にあるもの。二百十日の台風。すこし色あせてきた肌の色。夏休み明けのレポート提出。暑さには似つかわしくない、いわし雲。そして、西武ライオンズの優勝。私の就職内定。ちなみにあとの二つは希望的観測であります。
(自由が丘・大学生・西野裕久)




鳥、鳥、鳥……。まるでヒッチコック映画。ハトに餌をやる風景ってとても幸せそうで素敵だと思っていた。が、餌袋に手をかけたとたん、黒い波が押し寄せ、手が腕が、ハトだらけ。白い落し物がないだけ助かった。
(日吉・全社員・板垣ふじ子)




巷では、ミニFM局なるものが流行中。簡単な装置ですぐ開局できるそうな。我が編集室も、ミニ放送局にしてみては……。地域の情報や近所の話題など生の声で流しては? 誌面と電波の立体放送なんてどうですか。
(尾山台・絵の先生・斉藤善貴)




活気のある町だから、前向きな人になる。ステキな人がいるから、ステキな町になる。まるで「タマゴとニワトリ」。どちらが先かはわからないけれども、ただ実感≠フイラストマップでした。
(自由が丘・もうすぐ人妻・丸田起弥)




今、世間でかすかなブームの兆しを思わせるお話。ズバリ、パーソナル無線。メリットといえば身近な情報交換などなど。興味をお持ちの方、思い切ってブレイクインしてみてはいかが?
(菊名・火曜日の女・鈴木和枝)




このところ編集室に顔を出すと、初対面の人達が多くなりました。少しずつ友達の「わ!」が広がってきているようです。私もセッセと編集室へ通わないと忘れられてしまいそう。
(桜木町・団休職貝・伊奈利夫)





この編集ノートはもう何度目かな?  今だに梅雨が明けない『とうよこ沿線』。そんなムシムシ温度に負けじと頑張っているスタッフに脱帽。18号発行時頃、みんなが夏バテしていないかな。と、心配しつつあまり協力できませんでした。反省!
(奥沢・フォトグラファー・小椋 隆)





人から好まれない、つる科の植物、秋の七草の一種の葛(ツタ)が可憐な花を咲かせている。その姿は大きな葉に隠れて余り人目につかないが、薬草でもある。人知れず野に咲く花、紫色をした、いとも可憐な花、私は好きだ。
(日吉・写真館経営・川田英明)






『とうよこ沿線』は偶然の出会いと思い出に残る楽しい別れ、そんな時間を乗せて2カ月に1回発車。銀河鉄道のように行先は乗客が決める。代官山の隣に元住吉があってもいい。そんな時間と空間を超えてる雑誌にしたい。
(元住吉・文具店経営・佐藤孝一)





『とうよこ沿線』も無事3周年、いよいよこれからが大変ですね。小生も綱島に転居して4年目がこようとしています。下手なカットではありますが、頑張っていきたいと思っております。みなさま、よろしく。
(綱島・公務貝・吉松孝男)





本誌も創刊3年が過ぎ、巷の歌ではないけれど、他のタウン誌へ3年目の浮気をされないよう、意欲新たにがんばろう、ナーンてかっこうつけてるこの頃です。
(向河味・似顔絵担当・大和功一)














 今回「イラストマップ特集」第1回目として日吉、元住吉、祐天寺を取り上げてみたが、出来栄えはどうかな?
 スタッフ20人ほどが3グループに分かれ、一度も降り立ったこともない駅前商店街の、協賛店さがしのお店訪問、それは勇気のいる行動だったようだ。見ず知らずの店舗への飛び込みを繰り返すセールスまがいの活動は、なにしろ生まれて初めての連中ばかり。得意といえば編集室で文を書いたり、イラストを描いたりのデスクワーク。
 なのに、かれらは毎日曜日ごとに街に繰り出し、『とうよこ沿線』のバックナンバーを両手にどっさり持って、何軒も何軒も訪問してくれた。それぞれにいろんな意味の社会勉強をしたようだ。ある店はけんもほろろに、ある店は励ましの言葉を、と応対される中で大半が無愛想な断りだという。

 こうした広告募集のニガイ体験は義母と私だけがやれば、と私は今まで覚悟していた。それだけに今回のスタッフ諸君の活動とこれに応えてくださった
144軒の協賛店のご好意はホントに嬉しい。心からお礼を申し上げたい。
   
 
(本会代表・編集長・岩田忠利)

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