編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.618 2015.05..01 掲載
 激動の20世紀を残す写真集  第6巻
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『わが町の昔と今』第6巻「緑区編」
サイズ A4判
紙数 126ページ
発行日
平成15年(2003年)1月20日 発行
頒布方法  定価2500円
表紙
題字:山下静雨(書家・緑区霧が丘在住)

掲載写真:(表紙左上から)
 1. 昭和27年、オート三輪くろがね号
 2. 現在の市営住宅十日市場ヒルタウン
 3. 昭和22年、大石神社の祭礼
 4. 昭和61年、旧山下小学校
 5. 鴨居ばやし

巻頭「はじめに」 緑区連合自治会長 中丸平八(緑区新治町在住
装丁
デザイン:品田みほ(三ッ沢下町)
目次と掲載画像点数
 
1. 鴨居駅地区(写真76点)
2. 中山駅地区(写真84点)
3. 十日市場駅地区(写真81点)
4. 長津田駅地区(写真85点)
5. 旧中里村地区(写真70点)

    「緑区編」の写真から・・・


           大正初期の中山駅

私鉄「横浜鉄道(現横浜線)」が開通した明治41年(1908)から5〜6年経った大正初期の中山駅。ホームに植えた桜の木もまだ、か細い。空がひろ〜く感じられる中山駅の光景です。
     提供:鈴木 交さん(青葉区恩田町)



大正10年、中山駅頭で

明治期創業の、駅前の中田屋の皆さん

提供:佐藤フサエさん(寺山町)


昭和44年11月、中山駅を出たSLの貨物列車。白煙をあげて鴨居駅の土手を登る                                                           撮影:岩間茂次さん(中山町)










昭和44年3月、蒸気機関車SLC586が長津田駅へ
         提供:河原一昭さん(長津田5丁目)

 明治41年(1908)9月、八王子・長野・群馬・山梨で生産された生糸の輸送目的で横浜鉄道(横浜線の前身)は開業しました。区間は東神奈川〜八王子間の42.49km。
 横浜港の貿易の始まりは生糸で、その貿易量が8割を占めるほど。その生糸を輸送する横浜線は日本の“シルクロード”と呼ばれ、その牽引車は貨物列車を引っ張るこの蒸気機関車でした。



住民の手で1年をかけた2キロの道路拡幅工事

 
十日市場の村道は人馬が通る昔ながらの狭く、曲がりくねっていました。それを村人は昭和7430日から翌年の331日まで1年をかけ、十日市場地内2キロを農村振興道路として幅51メートルに広げました。
                  提供:石井憲保さん(十日市場町)



  昭和8年5月、十日市場本道開通式当日

 写真左の村道がついに完成、記念すべき喜びの日を迎えました。高台のこの場所に記念碑も建てました。

        提供:石井憲保さん(十日市場町)



 昭和6年、下長津田・竹之内用水池の造成

 
水は農作物の命、農作物は農民の命。下長津田の人たちは灌漑用の溜池を造るため手に手に鍬やスコップを持って土を掘り起こし、土砂を運んでこんな大きな用水池を造りました。
     JA田奈50年記念誌から




昭和10年十日市場の加藤圭一家で馬力脱穀の試運転
                  
               提供:加藤圭一さん(十日市場町)








横綱・谷風梶之助の置き土産、手製の馬のワラジと江戸時代からそれを保管していた平本家のケース
                     提供:仲丸平八さん(新治町)

 大相撲史上最強の横綱・谷風の逸話

 
江戸時代後期(175095年)に谷風梶之助という横綱がいました。その谷風と同時に横綱に昇進した小野川との対決は江戸の街を二分するほど人気がありました。とくに谷風は年間、272番の取組中で負けが14番という強豪。彼はその豪腕だけでなく、円満で高潔な人柄とが相まって多くの逸話を残しています。
 谷風が新治村に巡業に来たのは大関時代の天明時代(178188年)。そのとき現新治町の「お頭」という屋号の平本正義さん宅に宿をとりました。帰り際、お世話になったお礼に馬のわらじを自らの手で作って平本家への置き土産としました。  



谷風のふるさと、仙台市青葉区の公園にある谷風の銅像







昭和21年11月3日中山駅前の新憲法公布祝賀会

  提供:加藤吉行さん(台村町)







 写真左の新憲法公布祝賀会場の舞台の前に集まった人々

 永遠平和の礎となる新憲法を祝う中山地区の人々。まさに“立錐の余地も無い”とは、こんな状況……。
 ちなみに東京都の祝賀会場は宮城前に集まった人たちが10万人だったそうです。

 
    提供:加藤吉行さん(台村町)




 昭和30年代、緑区最大の商店街の中山商店街

 左側手前が便利屋呉服店。
   提供:斉藤佐喜男さん(台村町)



  写真左の同じ場所、平成25年時

 左側手前の一角は横浜銀行
撮影:石川佐智子さん(日吉)



   昭和33年夏、国鉄横浜線長津田駅桜木町行、上りホーム

  東京・横浜郊外の長津田地区への転入者が増えはじめ、朝夕のホームが通勤通学者で賑わってきました。 
            提供:小池一夫さん(長津田町)



昭和37年12月25日、住民“自前の駅”鴨居駅、竣工式を迎えた当日

 
水田に小石と砂利を敷きつめて埋め立て、祝いのアーチも杉の葉で作り、いかにも住民手づくりの駅らしさが伝わってきます。                 
  提供:柳下 勤さん(鴨居)



平成25年の鴨居駅

撮影:石川佐智子さん(日吉)




昭和39年の長津田駅前

 
手前右がスルガ銀行、左角が河原菓子店、中央に国鉄宿舎。
  
提供:林 加東さん(長津田町)



    平成25年時の長津田駅前

 
駅前の街並みがすっかり様変わりし、写真左の説明にある建物はいずれも見当たりません。
     撮影:石川佐智子さん(日吉)








昭和41年4月1日、田園都市線長津田駅開業

  テープカットは東急社長・五島 昇さん(左)

  『緑区のあゆみ』から



  昭和44年2月の大雪、翌朝の駅ホーム

  電車はストップ、ホームで雪だるまを作る駅員。
   撮影:千原康夫さん(神奈川区神大寺)


  昭和43年6月、乗降客が増える駅前広場

   周囲に新しい住宅が急増し駅前が賑やかに。
   提供:斉藤佐喜男さん(台村町)



  写真左の中山駅南口、平成25年

 撮影:石川佐智子さん(日吉)


 昭和45年6月、田植え中の遠藤茂家の水田

 
右手後方はユニー。2年後の昭和47年、ここに緑区役所総合庁舎が建ちました。
     提供:遠藤トシ子さん(寺山町)


写真左の水田は、現在緑区役所

 撮影:石川佐智子さん(日吉)



    編集後記      岩田忠利(編集長) 



             対照的な2面性をもつ緑区

 
本巻は横浜市18区の中で最も多く自然が残るといわれる「緑区」です。
 大きく変わった所と全然変わらない所、この両地域が織りなすのが緑区‥…。これが今回取材で歩き回った第一印象でした。

 近年大きく変わった地区の代表は鴨居駅周辺や十日市場駅周辺など。これらは対比写真をご覧いただければ別世界を見るようにその変貌ぶりは一目瞭然。かたや、駅周辺から少し離れると、むきだしの自然がいっぱいです。昔ながらの細く曲がりくねった道の周囲は静寂そのもの、野鳥のさえずりが響きわたっています。
 こうした道筋には旧家があり、そこにはいかにも昔の写真がたくさんある“宝の山”のように映るものです。しかし、尋ねても「昔の生活は写真機どころじゃなかったよ」という返事がしばしば。

 ここで本書取材の経過を記しておきます。
 第5巻「青葉区編」の編集と同時進行で昨年3月2日、緑区担当・金森長保と打ち合わせ。彼が2カ月をかけて調査、情報収集、氏名のリストアップ、5月から取材依頼文書の郵送。そして初夏の6月から了解済みのお宅を真夏を過ぎた9月まで回って一巡。
 写真枚数の少なかった旧中里村地区にはスタッフ・森邦夫が9月と10月、日吉から通いました。「最初はよそ者扱いで警戒されましたが、徐々に打ち解けて協力してくれました」は彼の感想。二人が集めた写真は糸井京子と私がパソコンに取り込んで予備編集。
 第5巻の配本が一段落したところで私も取材と撮影に参加。夜は、文を書きながらのレイアウトに明け暮れました。

 最近変化のテンポは急速です。それだけに地域の過去を現時点でとらえ、次世代に写真で残し伝えなければ永久に伝えられない時代にさしかかっています。それは大正・昭和初期生まれの人の高齢化や死去、移転や家屋の建て替えによる散逸などで、昔の貴重な写真が日増しに消えているからです。

 掲載写真には撮影年月が記入してないものがあります。その場合、持ち主の記憶や推測をもとに複数の人に聞き、事実に近づけるよう努めました。もし誤りがございましたらご容赦と当編集室あてご指摘くださいますようお願いいたします。

 企画段階でお世話になった緑区役所区政推進課の加藤眞知子課長はじめ皆様、また貴重な写真やお話、大切な資料などをお寄せいただいた皆様、ご多忙中に巻頭文を執筆された仲丸平八さん、題字をお書きくださった山下静両先生、当編集室スタッフの諸君と出版に正月休み返上でご協力くださったフジプランズの緑川喜代次さんに厚くお礼を申し上げます。
                        平成15110日        本書編集発行人 岩田忠利

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