「梅一輪、一輪ずつの暖かさ」と梅が春へ歩み出す。3月に入るとすぐにサンシュウユやオウバイの黄色の花が咲き、香木の中でもいちばん香りの高いジンチョウゲと同時に、枝々がどれも三叉になるミツマタがこれも春の花木に多い黄花を開き、茶庭の趣をかもし出す。
585編に登場の「楮(こうぞ)」と同様にミツマタも樹皮の繊維を和紙の原料にするため室町時代に渡来し栽培されていた。が、今では各地で野生化している。
来年はぜひ、花のお寺で知られる大和市福田の常泉寺を訪ねてみるといい。
参道の両側を100本以上のミツマタが咲き揃う様は壮観だ。これほど黄花、紅花が芳香を放って咲き乱れるのは全国的にも珍しいという。とくに山門前の紅花ミツマタは強い芳香が漂い、花見客の足を引き止めて放さない。 加藤弘年(綱島)
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日吉本町の民家で咲くミツマタ
撮影:岩田忠利

左記に紹介の大和市・常泉寺、ピンクのミツマタ
撮影:阿部芳子さん(高津区蟹ヶ谷)
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