編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.598 2015.04..22 掲載
    第61号
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第61号「桷(ずみ)
号名  「桷」
サイズ B5判
紙数 68ページ
発行日 平成6年(1994年)9月20日
頒布方法  定価300円
表紙 写真とイラストの合成

「第11回鶴見川花火大会の花火と主人がドイツ人の家族」

表紙作成者
写真:深谷光男(写真家 元住吉)

イラスト・畑田国男(漫画家 緑が丘)
特集
 
 
. わが街シリーズ 綱島とその周辺特集

 
    表紙の裏ばなし     岩田忠利(編集長) 

  全国各地で観測史上最高を記録する猛暑が続く。10日以上も一滴の雨も降らない。

「明日は鶴見川の花火大会、絶好の花火の写真が撮れる」。ところがその日に限って昼から雨。しかも夕方になるにつれ、雨脚がひどくなる。

大曽根側の鶴見川土手沿い路上に駐車し、小雨になるのを車の中で待っていた。降りしき雨の中を何度も土手を登り降りしては、打ち上げ場所を見にゆく子供や青年がいる。「待ちに待った花火、やるのかな、やらないのかな?」相当気になるらしい。

周囲の家々には遠来のお客さんが来ているようだ。車庫には札幌や熊本、姫路ナンバーの車が停まっている。
  開始時間が迫った。と、計ったように激しい雨がぴたっと止んだ。

<ヒュル、ヒュル、ヒュル……、ズドーン……>
  一瞬、一面明るくなる。地響き。ビルの谷間を揺るがすような音響。
 いよいよ第
11回鶴見川花火大会の始まりだ。
  数分のうちに土手の片面は人で埋まる。次々と打ち上げられる花火。それは幻想の世界をよみがえさせる。まさに光の芸術。
  上空を眺めるこちらは首が痛くなるほどだが、表紙担当のカメラマン・深谷君はそれどころじゃない。シャッターチャンスを逃すまいと、何を話かけても“上の空”だ。

 号名「桷」とは…   

  5月上旬、編集長に「桷の木の写真を撮ってきて!」と頼まれ、私は慌てた。それまで桷を私は知らなかった。急いで本で調べた。全国的に分布している木だが、花期を終えているので見つけにくいようだ。

そこで各地の緑化センターなどに電話して訊いたが、殆ど枯れてしまっていた。

近所の井上寛史さん(元農水省勤務)にお願いして東京都森林科学園(八王子市高尾)の職員・船津さんに頼み調べてもらったら同園に本あった。

68日、恋人に会いに行くような気持ちで高尾へ。やっと出合ったのが、立入禁止の場所にひっそりと生えている本の桷だった。

バラ科リンゴ属のズミ()は「酸実」とも書き、別名を「コナシ」や「ミツバカイドウ」とも呼ぶ。上高地の小梨平はズミの別称にちなんだもの。名前のズミは「染み」を意味し、樹皮から黄色の染料を採ったことに由来する。

花期は5〜6月。つぼみは紅く、花開くと純白に。雪が降ったように白い満開の光景はじつに壮観だ。          (綱島 加藤弘年)



バラ科リンゴ属だけに、野生の大きなズミの木は真っ白い花が満開!

            提供:東京都森林科学園

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