編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
 NO.592 2015.04.21 掲載
    第55号
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第55号「棉(わた)
号名  「棉」
サイズ B5判
紙数 68ページ+8ページ(厚紙の「百選会」店名」・本誌販売先イラストッマップ付き)
発行日 平成3年(1990年)11月15日
頒布方法  定価300円
表紙 イラスト
 「田園調布駅前で“田園”を歌う住民合唱団」
表紙作成者
イラスト・畑田国男(漫画家 緑が丘)
特集
 
特集 
.1 わが街シリーズ 田園調布特集
  
2. 第8回誌上座談会
 「田園調布の今昔話と未来話」・・・住民代表7名

    
    表紙の裏ばなし       畑田国男(漫画家) 

 

4年前まで娘が田園調布のC幼稚園に通っていた。ボクも園の行事にはホトンド参加し、様々なことを体験した。
  横浜や渋谷方面など遠くから通園する児童には、必ず母親が付き添っている。彼女たちのことをボクは「送迎ママ」と名付けて大いに注目していたのである。

明日はどのワンピースを着てゆこうか、口紅の色はどれにしようか、とドレッサーの前で数十分過ごしてきたのだろう。どちらの送迎ママのオシャレも見事なまでにスキがなかった。
  毎朝、ここ田園調布の並木道を歩むにはカンペキなファッションとウエストを引き絞る緊張感が要求されたのである。
  ヨソ者が田園調布に臨むとき肩に力が入ってしまうのは仕方のないことである。

一方、生活者としての田園調布夫人はこのような現象を半ば迷惑そうに、半ばクールに眺めていたのが印象的だった。光が眩しいと、その影は濃い。田園調布に生きつづけるには様々のご苦労もおありになるようだ。

近い将来、東西が自由通路でつながるという田園調布・駅前事情。西側の格調が東側へ浸透するのか、東側の庶民性が西側へ拡張するのか、そして、その時のニュー送迎ママはどのような生態を見せてくれるのか。田園調布を愛して止まない一漫画家の胸の鼓動はいやが上にも高まってゆくのである。

 号名「棉」とは…   

  棉はアオイ科の一年生草木で、インド、エジプトなどの原産。繊維を採るだけの品種で40種に及ぶという。その花は、フレアスカードに似て華麗…。容姿端麗にして働き者といった風情の有用作物である。

  さて、かの渋沢栄一翁が田園調布の地に描いた夢は絹の気取りではなく、化繊の安易さでもない、木綿のような安らぎと確かさのある町づくりだったに違いない……と言ってしまってはこじつけになるだろうか。          (江川 久)








オクラの花にそっくりの“一日花”、棉の花

撮影:北澤美代子さん(綱島



綱島東の池谷光朗さんが毎年育てる棉の実

撮影:岩田忠利
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