改めて調べてみると、久が原は土の中にある文化財の宝庫、数々の遺跡が残っているのを知って驚いた。画面の女性が手にしているのは弥生時代の「久ケ原式土器」のつもりである。
ヤヨイさんの土器にバラを捧げようという男性は、千鳥町のライオグランデ大学日本校の学生さん。将来はバイリンガルをめざす親日家のアメリカ人。
原始、古代日本の歴史と先端の国際文化、二つのカルチャーが溶け合っているところが、高級住宅地、久が原・千鳥町の魅力の奥深さであろう。
そして横を走るのが、あの懐かしの、緑のイモ虫電車。正式には「デハ3450形制御電動電車」という。
歌謡曲ファンではなくても、西島三重子の『池上線』という歌をこ記憶の方は多いはず。
♪すきま風にふるえながら いくつ駅を過ぎたのか
という歌詞が示すように、池上線には恋を失って白いハンカチを握りしめる若い女性の感傷と、青春のロ−カル電車のイメージが交錯している。池上線沿線のスナックには、この歌の上手なお客さんが大勢いらっしゃる。いや、本当にいい歌だと思う。
池上線は東横線の姉妹線。東横線にも「歌」が欲しいですネ、と岩田編集長と盛り上がる春の宵。
|