編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.580 2015.04.18 掲載
    第43号
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 第43号「<枇杷>(びわ)
号名  「枇<杷>」
サイズ B5判
紙数 72ページ+8ページ(厚紙の「百選会」店名」・本誌販売先イラストッマップ付き)
発行日 昭和63年(1988年)8月15日
頒布方法 定価200円
表紙 写真とイラストの合成
「各国の民族衣装の美女がパルム入口に集合した絵」

表紙作成者 写真:一色隆徳(銀行員 祐天寺)

イラスト・畑田国男(漫画家 緑が丘)
特集
 
特集 
.1. わが街シリーズ
   武蔵小山とその周辺特集(46頁)

2. 『とうよこ沿線』と同い年の“えんせんっ子”特集
  昭和55年7月生まれの満8歳の子供たち9名登場!

    
    表紙の裏ばなし       畑田国男 

  もうすぐ‘88ソウル五輪が始まる。

 共産圏の諸国も参加して、久しぶりに「平和の祭典」をイシキさせてくれる大会になりそうでワクワクしている。

 武蔵小山商店街には知人も多く、時々フラリと立ち寄るが、近頃は外国人の姿がホントに多くなった。それも観光客ではなく大使館、商社マンの家族など在日、駐日の外国人たちだ。
 円高のせいもあろう。とにかく「安くて物のいい」武蔵小山の評判が、合理的なショッピングを指向する彼らの中に定着しているようなのだ。

 今回の絵は、そんなこんなの事情を踏まえて、世界各国の民族衣裳をまとった美女に集まってもらった。日本人代表は第1回ミス・パルムの片桐雅子嬢。(品川区東中延在住)。
  女性ばかりになったのは、この商店街を裏と表でしっかり支えている素敵な女性たちに敬意を表して。それと、「平和」って、やっぱり女性名詞だと思うから。

 朗惺寺の慰霊碑文を読むと、戦時中のこの商店街の意気と悲運を知って、胸が痛む。そして奇跡の復興44年。
 安くて物がいい。武蔵小山は戦後日本の集散だとボクは心から信じている。

 号名「枇<杷>」とは…   

 

 枇杷はバラ科の常緑高木。

庭先に集まって実る黄色の果実は、独特の甘味を含む初夏の味覚。少々ひょうきんな形のこのビワ、種ばかり大きくてね、などと言われながらも、どこの家庭でもなかなかの人気者だ。

食用果樹としてだけではなく、繊毛の生えた大きな葉は、昔から暑気当たりやアセモの民間薬として用いられてきたそうだ。そして、あまり人目を引かないが、冬に咲く黄白色のかわいい小花にはほのかな芳香。庭の枇杷の一枝を何気なく活けるのも楽しい。

職業の分からぬ家や 枇杷の花  正岡子規

  ここに歌われた情景のように、枇杷には飾り気のない木のイメージがある。ごく普通の家の庭の片隅に立ち、垣根越しにのびた枝に実がたわわ――武蔵小山は、そんな枇杷の木が似合う家並みがある、心地よい庶民の街だ。 (東白楽 石川映子)



当編集室近くの枇杷の実

撮影:岩田忠利



枇杷の花

撮影:石川佐智子さん(日吉
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