遠くて近きは男女の仲。
近くて遠きは、東工大への道。
目と鼻の先に住んでいながら、東工大は東大以上の難関で、縁がなかった。女子学生もホトンドおらず、同じ町にありながら、ボクにとっては遠い存在で、1年に1度お花見の時だけキャンパスに入れていただく桜の名所に過ぎなかった。
ところで昨秋、異形のビル・百年記念館のオープンとともに、ビル愛好家のボクと、東工大の二人の仲はグーンと接近したのである。東工大もイキなことをやる。
80年ぶりの春の大雪は、構内の八分咲きの桜の幹を沢山折り、その多くが商店街に提供され、わが町の緑は、しばし桜色に艶(なま)めいた。
新婚の宮崎 緑さんの非常勤講師の登用とあいまって、88年の東工大は、知性に美と艶を兼ね備え、心をときめかす、身近かな大学になったのだ。
追伸 東工大南2号館横のイチョウの木に、毎朝毎晩、無数のダルマインコが集まって、大岡山の名所になっている。このインコを表紙に登場させたが、ヒッチコック、ご存命ならば是非ご覧にいれたかった。
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