表紙絵を描いている畑田氏も、写真を撮った私も、共に上野毛の高校に通っていたので、おとなりの等々力・尾山台という街が妙に懐かしく感じられる。
表紙の舞台の等々力渓谷へは在学中も、大学へ入ってからも足を運んだ。(許しがたいことに畑田氏の場合はデートでよく行った場所だという)
渓谷沿いの小道に3年ぶりに立ってみると、不思議にかつてこの道を歩きながら思った他愛もないことが心によみがえってくる。そんな所だ、等々力渓谷は……。
等々力の地名の由来は、渓谷わきにある湧水の滝が「とどろく」ことによるらしい。
表紙絵のように時々滝にうたれる白衣の修験者(今てもそんな言い方をするだろうか)がいて、通りかかる女性たちが、「Oh,
my god!」とでも言いたげな表情で口をポカンとあけるのである。
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