編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.571 2015.04.11 掲載
    第34号
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第34号「樺(かば)
号名  「樺」
サイズ B5判
紙数 76ページ
発行日 昭和61年(1986年)7月10日
頒布方法 定価200円
表紙 写真とイラストの合成
    「奥沢駅前広場と白鷺と常盤姫の絵」
表紙作成者 写真:一色隆徳(学生 祐天寺)
イラスト・畑田国男(漫画家 緑が丘)
デスクキャップ
西野裕久(会社員 奥沢)/小田房秀(会社員 奥沢)         
特集
 
特集 わが街シリーズ 奥沢編(全39頁)

  
      表紙の裏ばなし      西野裕久

 奥沢というとまず浮かぶのが住宅街のイメージ。こういう街には、なかなか街の中心点″というのがないのが普通である。
 しかし、ここ奥沢には小ぢんまりとはしているが、ほのぼのとした、街のオアシス――奥沢駅の駅前広場がある。この広場、世田谷区の指定した「せたがや百景」にもはいっているとおり、区民の憩いの場として定着している。休日ともなると、子ども連れの家族や老人たちが三々五々集い、一時を過ごしている。表紙の写真のように噴水が吹き上がるや、涼しげな雰囲気がただようところである。


 ここも今から20年程前までは、木造のマーケットがあってそれはそれでなかなかの賑わいであった。私が子どもの頃、親に連れられてよく来たものであるが、下町っぽい所であったような気がする。今ではそのマーケットもすっかり模様を変えて、近代的なビルとなっている。

 さて、表紙に舞う一羽の鷺。これは「おくさわの昔話」(43ページ)にもある常盤姫の話にちなんだものである。「名残常盤記」によれば、自分の想いを短冊に託して飛ばした白鷺を、狩に来ていた吉良頼康が打ち取って二人の縁(えにし)は始まる。

ロマンティックな一瞬(!?)であるが、そんな場面を大きく掲げている粋な学校がある。浄真寺の裏の世田谷区立八幡中学校がそれである。普通の無機質なコンクリートの壁面に、タイル張りで姫と白鷺が鮮やかな彩色をもって描かれている。
  通りすがりの車の中からもはっきり見える姫と白鷺が450年の歳月を経て、今も心の温かみを人びとに伝えている。

※(畑田国男:この壁画(田中正秋先生画)を参考にさせていただきました)



湿地に自生するラン科の多年草、鷺草。鷺に似た白い花が美しい




 号名「樺」とは…   

渓あひの路はかなしく白樺の
   白き木立にきはまりにけり
           若山牧水

また夏がやってきました。ギラギラと照りつける太陽、じっとしていても汗がわき出てくるこの暑さ、なんとか逃れたいと思う方も多いでしょう。
 シラカバの茂る高原で休暇を過ごす、なんて最高ですよね。

この“樺”号は、読者の皆さんにそんな爽やかさをお届けできれば、と考え、号名としました。
  この木の特徴は白く、そして薄くはがれる樹皮。またその白さとは対照的に枝が黒っぽいのも特徴。さらに伐採や山火事でできた裸地にいち早く定着する逞しい生活力も持ち合わせています。

皆さんにそんな樺の長所が伝われば幸いです。
               (山本裕二)



八ヶ岳の白樺

撮影:山田紀子さん(地下鉄北山田)




互いに奥沢住民・25歳・独身コンビ

 第34号“樺”デスクキャップ
 西野裕久(奥沢2丁目・会社員)
 小田房秀(奥沢2丁目・会社員)
 



左:西野裕久 右:小田房秀

                          

           奥沢特集スタッフからメッセージ


  デスクキャップというにはおこがましく、スタッフというには人使いのあらい私ですが、本当にスタッフの皆様、よくぞやってくれました。本当にお疲れ様でした。西野裕久

 もしろかったこの町だけど

 ろうは絶えず眠れぬ毎日

 っぱり進まぬこの原稿

 っと机に放りなげ

 れからともなく集まった

 い町やっぱり奥沢の街

 「鷺草伝説」を規定枠文字内におさめるためレポート用紙を何枚も無駄にして文章を削除するのに苦労した。また、発刊までの時間がないのもあわただしかった。百武昌有子








 取材に行った奥沢囃子(はやし)の皆様、いろいろご親切にありがとうございました。とても楽しいひとときでした。これから、お囃子を聴くたび聞き耳をたてて違いを見つけられそうです。
倉田和枝

 鷺草の悲恋を甦らせ、いにしえに想いを馳せつつ現代版「鷺草物語」を作るとしたら。脚本・演出・役者と三拍子揃う我らスタッフ陣により、完全パロディ版ができるぞ、きっと。茂木早苗


 車輌が古くても、速度が遅くても、地域に密着した目蒲線万歳! 姿や地域で人や電車をバカに(差別)する奴は、私が許さんぞ!! 
目蒲沿線武蔵新田・赤壁毅彦


 雨の日も風の日も毎日歩き廻った奥沢、その間多くの人に接し、貴重な体験をすることができた。今号はかつてない総力戦で地元の方にも大変協力していただいた。特に玉川クリーニングの鯉沼さん、ありがとうございました。
 最後に編集スタッフの皆さん、お疲れさまでした。小田房秀

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