編集:岩田忠利/編集支援:阿部匡宏/ロゴ:配野美矢子
NO.565 2015.04.09 掲載
    第28号
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   第28号「栴檀(せんだん)
号名 「栴檀」
サイズ B5判
紙数 76ページ
発行日 昭和60年(1985年)6月1日
頒布方法 定価200円
表紙 写真とイラストの合成
 「田園調布西口駅前と渋沢栄一・長嶋茂雄両氏」
表紙作成者 写真:一色隆徳(学生 祐天寺)
イラスト・デザイン:石橋富士子(イラストレーター 横浜)
デスクキャップ 杉村みゆき(学生 妙蓮寺)            
特集
1. 
特集 わが街シリーズ 田園調布編(全35頁)

   
      表紙の裏ばなし        一色隆徳

田園調布という名を聞いたとき、まず何を連想されるでしょうか。

田園調布、モダンな駅舎、それとも「田園調布に家が建つ」なんて漫才のネタにまでなった超豪邸街でしょうか。いずれにしても、この街の持つ雰囲気は、うらやましいほど素敵なものにちがいありませんが、この街を代表する風景は何といっても「美しい並木道と駅」という構図でしょう。
 銀杏並木といえば落葉のシーズンが美しい、と相場が決まっていますが、新緑のシーズンもまた負けず劣らず良いものです。秋ならばシネマティックな気分、春ならばウキウキの透明感が楽しめる風景で、表紙の写真は若芽がようやく出揃った頃に撮りました。

  登場人物は、明治時代の財界の大物で田園調布の生みの親、渋沢栄一氏と、町内在住、ご存じミスター・ジャイアンツの長嶋茂雄氏で、イラストレーターの石橋富士子さんがコミカルに描いています。

ところで、田園調布というと、駅前の放射状街区のみが話題になりがちですが、その点、住民の手作り雑誌の『とうよこ沿線』は違います。田園調布の街というコンセプトを、田園調布東・西口はもとより、多摩川園・沼部といった地域にまで拡げています。

  その中には田園都市計画の一環として作られた多摩川台公園や宝来公園、同じように造られ、今はテニスコー卜に変わってしまった多摩川園遊園地、また巨人軍グラウンドや多摩川岸の貸ボートなど、外来者にも楽しめる場所も多いようです。
 とりわけ多摩川台公園から見る夏の夕暮れや、午後の多摩川畔は、私にとって最も好きな風景のひとつです。



多摩川・晴れた午後(巨人軍グラウンド付近)

 号名「栴檀」とは…   



センダンの花

川崎市宮前区・県立東高根森林公園で

撮影:岩田忠利





<栴檀は二葉より香(かんば)し>という諺があり、大成する人は、幼いときから人並み外れて優れた才能があるとのたとえ。この場合の栴檀は「白檀」のこととか。

川崎・宮前区の東高根森林公園を訪れたとき、直径1bもある太い木の周りに花弁が敷き詰めたように落ちていました。見上げると、8bほどの高い枝に白い花(写真左)がびっしりと…。事務所で係員にその名を尋ね、センダンと知りました。

 この木について調べてみると、上記諺どおり私たちの暮らしにとても有益なものでした。
 樹は庭木・公園樹、建築・器具材に。樹皮は駆虫剤(虫下し)に。葉は農家の除虫用。果実は外用でひび・あかぎれ・しもやけに、煎じて飲み整腸・鎮痛薬に。また、近年沖縄に自生するセンダンはインフルエンザ・ウイルスを死滅させる効果があることが分かったそうです。               (岩田忠利)

  初めてのデスクキャップ体験

  第28号“栴”デスクキャップ
    杉村みゆき(妙蓮寺・大学生)


 28号が出る頃、日吉の慶応大学の銀杏は緑が鮮やかだろうな。編集室に来る途中、ふとそんなことを思いました。

「編集は座ってやるもの」ではないのだ!

 「編集の仕事は、座ってやるものだ」なんて……はっきり言って考えが甘いノダ!
 最近そのことを実感してます。取材、広告、配本、チラシ配り、とにかく外へ出ることが多く、人と会う機会が多いので〜す。遺体が隣の部屋にあるという葬儀屋に恐る恐る入って行ったり、協賛店でちゃっかりピザをいただいてしまったり、私も色々な人と話しました。「マイ・ライフ」登場の菊名西口・椎橋医院の院長には、血圧まで測っていただいたっけ。数々のステキな出逢いをさせてもらいました。

   取材の苦楽

 で−も、楽しいだけではありません。特集の田園調布を歩いた広告スタッフ・末永氏は「あのでっかい高級住宅街を歩くと、ミジメさで疲れが増す!」と言ってました。

 連載の方では、学生のページ『え★なあに?』のため、一色氏を中心に、福田君・磯野(幸)君・浜田君ら学生スタッフは、沿線のおまわりさんをレポート。「日ごろのウラミを……うんぬん」とジョーク(本気?)を飛ばしながら出掛けて行きました。


 あまりのハリキリぶりに、「オイ、あいつら大丈夫なのか?」と編集長は心配顔。「何しろいろいろと世話になりすぎているからなあ」ですって。

 沿線に住むいろいろな世代、いろいろな職業の人と関わりを持っていくのは、編集室のスタッフがいくら明るくて、おしゃべり好きだとしても、かなり勇気がいることです。それだけに取材後の充実感は相当なものですし、本が納品されて、包み紙をビリビリ破く時の快感! だからみんな病みつきになるんでしょうか?

  こんな私でもなんとか……

  編集長の言葉を借りれば、「綱渡りをする思い」の雑誌作りです。
 本号も、高所恐怖症・バランス感覚ゼロ・おまけにボケな私がデスクキャップだったにもかかわらず、なんとか綱を渡り切れたようです。

 先日、読者の方から編集室に「新しい号はいつ頃できるんでしょうか?」というお電話。待っていて下さる方がいると励みになります。

 5月のイエローグリーンの光に包まれて、本号が納品されるのを心待ちにしている私です。





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